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婚約破棄? いえ、そもそも貴方の家は先日お取り潰しになっていますよ?
貴族ではないのです
しおりを挟む私の発言を聞いて、コーリーは少し考えているような表情をしています。もしかして私の発言が嘘ではないかと疑っているのでしょうか?
「嘘だな」
まさか本当に疑っていたとは。しかし、コーリーの実家が無くなったのは事実です。もしかするとそのことがコーリーにまで伝わっていないのかもしれません。
「嘘ではありませんよ。嘘だと思うなら、教師のどなたかに聞いてみればいいのではないでしょうか?」
機器に行く前にその件のことがコーリーに伝わる可能性も高いですけれどね。
「嘘なのだから聞く必要は無いだろう。おそらくお前は俺の気を引きたくてそんなことを言っているのだろう?」
信じられない解釈をされました。
まさか、そんな風に考えるなんて、自分に都合のいい事しか考えられないのでしょうか。最近まで貴族だった者の考えだとは思えません。
「それはあり得ません。それに貴方の実家がお取り潰しになった段階で、私と貴方の婚約は破棄されています。いまさら婚約を破棄すると言われても、破棄する物は無いのですよ」
「いや……嘘だろ?」
さすがに私が強気に言えば、嘘ではない可能性は考えられるようですね。ですがこれ以上、対応していても私に何の利はありませんので、さっさと終わりにしてしまいましょう。
「それと、コーリー」
「なんだよ」
「貴方の実家がお取り潰しになっているという事は、貴方は既に貴族ではありませんよね?」
「え?」
「貴族でない、貴方はここに居る資格はないと思うのですが、何時までここに居るのでしょうか」
「……俺は貴族だ」
「いいえ。貴方の所属する家が無くなった以上、貴方は貴族としての籍はありません。そのため、すでに貴族ではないのです」
コーリーにそう言い放つと同時に夜会の給仕をしている者を呼び、コーリーを外に連れ出すように指示を出します。
「まて、俺は貴族だ! それにそこに居る、ノエル・ラテシア伯爵令嬢の婚約者だ!」
給仕に呼ばれた護衛の者に腕を掴まれたコーリーは、そう言って私に助けを乞うような視線を向けてきました。
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