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聖女の証を義妹に奪われました。ただ証だけ持っていても意味はないのですけどね?
結末
しおりを挟む母親が兵士に囲まれていることで庇ってもらうことが出来ないことをしり、義妹の表情が絶望に変わりました。
元からわかっていたことですが、義妹がこういったように動いてきた背景にはあの第2夫人が関わっているようです。そもそも、この行動は親の影響を大きく受けるものですから、義妹の横柄な態度は母親譲りなのです。
今回も王宮に関わろうとしたのもあの母親の指示に従っていたのかもしれませんね。とは言え、自ら手を出してしまっている以上、罪は罪なのですけど。
「わ、私は……お義姉さまが落としたペンダントを拾っただけです。そもそも最初に落としたお義姉さまが悪いのです」
「ふむ。拾ったペンダントを自分の物だと主張し、あまつさえそれを使って王宮内に無理を言って入ったと。そういう事か?」
「あ、いえ、その」
呆れた表情の王子にそう指摘されると、義妹は助けを求めるように母親のいる方へ視線を向けました。しかし、その母親は娘を無視するように視線を逸らしました。
「へひ?」
まさか自分の親から見捨てられると思っていなかったのか、義妹の口から言葉にならない音が漏れました。
「どうなのだ?」
「あ、え、えと。は、はい」
どう言い訳をしていいのか思いつかなかったのか義妹は、とうとう観念したようにそう小声でペンダントを自分の物だと偽ったことを認めました。
「そのような事をした理由は何だ」
「王族のような権力者になりたかった。だから貴方の婚約者になりたかった。聖女になればどうにかなると思って。それに……」
「それに?」
「お母さまからそうすればより良い生活が出来ると」
「王子! 私はそのような事は一切――」
「黙らせろ」
義妹の主張を否定しようと第2夫人が大声で会話を遮りにかかりましたが、すぐにそうできないよう、より強く兵士によって拘束されました。
「拾ったというのも嘘だな?」
「……はい」
義妹の答えに王子が大きくため息を吐きました。
「私がミーシャと婚約しているのは聖女だからというだけではない。それに私は婚姻を結んだ段階で王家から外れ、公爵として国を支える予定だ」
王子の言葉を聞いて義妹は凄く驚いた表情をしました。おそらく義妹の中で自ら地位を落とすような行為はあり得ないことなのでしょう。まあ、王族から公爵になったところで地位はほぼ変わりませんけれど。
それを見ながら婚約者であるサジェス王子は私を抱き寄せてきました。
「それに、ミーシャが聖女でなくなろうとも私はミーシャとの婚約を破棄するつもりはない。聖女であれば誰でもよいという訳ではないのだ」
最初から私が焦っていなかったのは、ペンダントを盗まれたところで私が聖女でなくなる訳でもないことと、婚約者であるサジェス王子を信じていたからです。
「ありがとうございます」
私はサジェス王子だけに聞こえるようにそう呟きました。
しかし、王宮に対して虚偽を申したことも犯罪でありますが、聖女のペンダントを盗んだのも犯罪です。そして王子に対して何度も楯突いた行動も不敬にあたります。どんな弁明をしたところで罪に問われることは避けられないでしょう。
そうして王子の話が終わると同時に、裏から義妹に指示していただろう第2夫人ともども、義妹は応接間から連行され王宮の何処かへ運ばれていきました。
その後、第2夫人の実家である商家から上級貴族と関わるように指示があったことが判明。その指示を拡大解釈し王族と繋がりを持てば良いと考えたのが第2夫人のようです。
結果として第2夫人と義妹は投獄され、その根本の指示を出した商会も今回の事を受け、廃業することとなりました。そして我が家との繋がりも無くなることになったのでした。
_____
これにてこの話は終わりになります。
ここまで読んでいただきありがとうございました
サジェス王子とミーシャのその後は後世に伝わる程度に周囲にイチャラブっぷりを見せつけ、最後まで幸せに暮らしました。と言った感じです。
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