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聖女の証を義妹に奪われました。ただ証だけ持っていても意味はないのですけどね?

教会

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 義妹たちが王宮内に居ると聞いた翌日。義妹たちの暴走を止めることと、ペンダントを取り戻すため私も王宮へ向かうことにしましょう。

 ですが、聖女の証であるペンダントが無い状態では王宮内に入る許可が出るかわからないため、先に王宮近くに位置する教会へ立ち寄らなければなりませんね。

「おや、聖女ミーシャ。本日、貴方がここへ訪れる予定はなかったと思いますが、何用でこちらへ?」
「司祭様、申し訳ありません。少々問題が起きまして」
「問題……ですと?」

 私は昨日、義妹に聖女認定の際に貰ったペンダントを盗まれたことを説明し、一時的に私が聖女であることを証明する、仮認定証の発行をお願いしました。

 すると、司祭様は少し悩んでいる表情になりました。まさかこの理由では仮認定証の発行は出来ないのでしょうか。

「盗んだ、という事はそれで聖女になれると思っているという事ですかね」
「王宮の方へ保護を申し立てたそうなので、おそらくそうかと思います」
「……そうですか。ああ、仮認定証の発行はしっかり致しますよ。早くに取り返していただきたいですからね」

 私の懸念が伝わったのか、司祭様は表情を柔らかい物に変え、そう言ってくれました。

 教会の奥に移動します。書類を作るにも礼拝堂では出来ませんので、奥にある執務専用の部屋に移動します。

「近年、平民からの教会や聖女の認識があまり良くない、というのは本当なのかもしれませんね。礼拝に来られる方も十年前に比べれば減っていますし」
「そうなのかもしれませんね。どうも、貴族関係の施設、と思われている節があると思います」

 教会は別に国が、貴族が運営している施設という訳ではありません。確かに王宮とは協力関係にありますが、完全に別の組織になります。そのため、教会は時に国と対立することもあるのです。ここ数十年はそのようなことが無いので、そういった印象が薄くなっているのでしょうけど。

「そのようですねぇ。そのような事は無いのですが。はい、聖女ミーシャ。こちらが仮認定証になります。ペンダントが手元に戻りしだい、こちらは返却お願いしますね」
「ありがとうございます」

 話ながらも、仮認定証の持ち出し許可の書類を書きだしていた司祭様から、私は少し傷みのあるペンダントと2枚の書類を受け取りました。

「貴方の婚約者様の方へ、よろしく言っておいてくださいね」
「わかりました」

 さて、それでは王宮の方へ行くことにしましょう。

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