3 / 53
聖女の証を義妹に奪われました。ただ証だけ持っていても意味はないのですけどね?
取り戻す方法
しおりを挟む朝食後、義妹にどうやってそのペンダントを手に入れたのか、その方法を聞こうと近付いたところ、「私のペンダントを盗もうとしないで!」と過剰な反応をされて、呆気に取られている内に逃げられてしまいました。
盗んだのは貴方でしょう、と思いはしましたが何故あれ程の反応をしたのか、理由がわかりません。
ともかく、あれでは今後近付いただけでも同じような反応をして来るでしょう。
「どうしたものでしょうね」
義妹はあの後、どこかへ出かけているらしく昼食の場に出て来ることはありませんでした。さらに第2夫人の方の姿もありませんでした。屋敷のメイドの話を聞く限り、2人は一緒に出掛けて行ったようです。
何を企んでいるのでしょうか?
まさか売るつもり? いえ、義妹の様子からしてその可能性は低いでしょう。ですが、ある意味、売られてしまう事が私にとって一番困る状況です。
あのペンダントそのものはそれほど価値のあるものではありません。しかし、普通手に入る物ではないので、高値で買う者はいるでしょう。そういう物に買われてしまった場合、取り戻すのが困難になります。
私の信頼性が少し揺らぎますが、再度作ることは出来ますので、そうなった場合でも手が無いわけではないのですが。
夕食の場になっても2人は戻って来ることはありませんでした。
それどころか頭を抱えたくなるような情報が我が家に届きました。第2夫人と義妹が王宮に保護を申し立てたらしい、という情報です。
理解が出来ません。
あの2人に王宮で保護されるような価値はありませんし、理由もないはずです。
話の続きを聞くと、どうやらあのペンダントを悪用して自信を聖女として偽っているらしいですね。
あのペンダントは国の教会から認められた者だけに与えられる、所持している者を聖女と示す大事な物。だからそう簡単には手に入りませんし、売っていい物でもないのです。
まさか、そんなことをするとは想定外です。いえ、よく考えればおかしなこともありませんね。
あの2人は商家上がりで権力に貪欲なところがあります。だから私からペンダントを盗んだのでしょう。少しでも上位貴族、あわよくば王族に付け込めないかと。安直な考えですから正解かどうかはわかりませんけど。
商家出身でありながら、貴族の第2夫人となったことで思い上がり、あのような態度をするような者たちです。さらに上の権力を、と思う事に何ら不思議なところはありません。
しかし、王宮へ行ったとなれば取り返すのは容易になりました。
何せあそこには私の婚約者様が居るのですから。
650
お気に入りに追加
998
あなたにおすすめの小説

だってお義姉様が
砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。
ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると……
他サイトでも掲載中。

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた
菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…?
※他サイトでも掲載中しております。

私と婚約破棄して妹と婚約!? ……そうですか。やって御覧なさい。後悔しても遅いわよ?
百谷シカ
恋愛
地味顔の私じゃなくて、可愛い顔の妹を選んだ伯爵。
だけど私は知っている。妹と結婚したって、不幸になるしかないって事を……

思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。

「前世の記憶がある!」と言い張る女が、私の夫を狙ってる。
百谷シカ
恋愛
「彼を返して! その方は私の夫なのよ!!」
「ちょっと意味がわかりませんけど……あの、どちら様?」
私はメランデル伯爵夫人ヴェロニカ・フェーリーン。
夫のパールとは幼馴染で、現在はおしどり夫婦。
社交界でも幼い頃から公然の仲だった私たちにとって、真面目にありえない事件。
「フレイヤよ。私、前世の記憶があるの。彼と結婚していたのよ! 彼を返してッ!!」
その女の名はフレイヤ・ハリアン。
数ヶ月前に亡くなったパルムクランツ伯爵の令嬢とのこと。
「パルムクランツ卿と言えば……ほら」
「あ」
パールに言われて思い出した。
中年に差し掛かったアルメアン侯爵令嬢を娶り、その私生児まで引き取ったお爺ちゃん……
「えっ!? じゃあフレイヤって侯爵家の血筋なの!?」
どうしよう。もし秘密の父親まで超高貴な方だったりしたらもう太刀打ちできない。
ところが……。
「妹が御迷惑をおかけし申し訳ありません」
パルムクランツ伯爵令嬢、の、オリガ。高貴な血筋かもしれない例の連れ子が現れた。
「妹は、養父が晩年になって引き取った孤児なのです」
「……ぇえ!?」
ちょっと待ってよ。
じゃあ、いろいろ謎すぎる女が私の夫を狙ってるって事!? 恐すぎるんですけど!!
=================
(他「エブリスタ」様に投稿)

婚約破棄させたいですか? いやいや、私は愛されていますので、無理ですね。
百谷シカ
恋愛
私はリュシアン伯爵令嬢ヴィクトリヤ・ブリノヴァ。
半年前にエクトル伯爵令息ウスターシュ・マラチエと婚約した。
のだけど、ちょっと問題が……
「まあまあ、ヴィクトリヤ! 黄色のドレスなんて着るの!?」
「おかしいわよね、お母様!」
「黄色なんて駄目よ。ドレスはやっぱり菫色!」
「本当にこんな変わった方が婚約者なんて、ウスターシュもがっかりね!」
という具合に、めんどくさい家族が。
「本当にすまない、ヴィクトリヤ。君に迷惑はかけないように言うよ」
「よく、言い聞かせてね」
私たちは気が合うし、仲もいいんだけど……
「ウスターシュを洗脳したわね! 絶対に結婚はさせないわよ!!」
この婚約、どうなっちゃうの?

結婚式をボイコットした王女
椿森
恋愛
請われて隣国の王太子の元に嫁ぐこととなった、王女のナルシア。
しかし、婚姻の儀の直前に王太子が不貞とも言える行動をしたためにボイコットすることにした。もちろん、婚約は解消させていただきます。
※初投稿のため生暖か目で見てくださると幸いです※
1/9:一応、本編完結です。今後、このお話に至るまでを書いていこうと思います。
1/17:王太子の名前を修正しました!申し訳ございませんでした···( ´ཫ`)

婚約破棄されたので30キロ痩せたら求婚が殺到。でも、選ぶのは私。
百谷シカ
恋愛
「私より大きな女を妻と呼べるか! 鏡を見ろ、デブ!!」
私は伯爵令嬢オーロラ・カッセルズ。
大柄で太っているせいで、たった今、公爵に婚約を破棄された。
将軍である父の名誉を挽回し、私も誇りを取り戻さなくては。
1年間ダイエットに取り組み、運動と食事管理で30キロ痩せた。
すると痩せた私は絶世の美女だったらしい。
「お美しいオーロラ嬢、ぜひ私とダンスを!」
ただ体形が変わっただけで、こんなにも扱いが変わるなんて。
1年間努力して得たのは、軟弱な男たちの鼻息と血走った視線?
「……私は着せ替え人形じゃないわ」
でも、ひとりだけ変わらない人がいた。
毎年、冬になると砂漠の別荘地で顔を合わせた幼馴染の伯爵令息。
「あれっ、オーロラ!? なんか痩せた? ちゃんと肉食ってる?」
ダニエル・グランヴィルは、変わらず友人として接してくれた。
だから好きになってしまった……友人のはずなのに。
======================
(他「エブリスタ」様に投稿)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる