254 / 261
ハウジングとイベント
81:武器の課題と今更な話
しおりを挟むイスタットの宿屋を出てセントリウスの街を目指す。
移動中、イスタットの土地で木を伐採していく。
手持ちの木材の数が少なくなってきているので、補充も兼ねて今まで伐採したことのあるものも含めて、手あたり次第手を出していく。
【伐採】も上級スキルに上がっているので、第1エリアに生えている木はサクサク伐採できるようになっている。
「うーん」
道中、手を出せる範囲の木を伐採しているが宿屋で使われていたようなこげ茶色の木材は手に入っていない。
あの木材は別の場所に生えている木から手に入るのか、それとも何らかの方法で加工してあったのか。どっちなのだろう。
今まで手に入れた木材の中にも色の違いはあったし、その違いのような気もするのだけど、エンチャントが存在しているのだからそれを使っている可能性も全然ある。
宿屋の壁や天井を【鑑定】した時に詳しい説明が出てくれたらよかったのだけど、他の不破壊オブジェクトを調べた時と同じように宿屋の壁とか天井としか表示されなかった。
それに木材のアイテム説明文って、今のままだとどういった木の木材と軽い説明しか書かれていないのだ。木材の特性とかを調べるには【識別】を使って調べないといけないのだと思う。
第2エリアに近づいてきても今まで伐採したことのある木材しか取れなかった。
このまま手あたり次第伐採していくのも時間の無駄だと判断してWIKIを調べてみたのだけど、詳しい情報があまりなかった。一応、どこで何の木が生えていてどんな木材になるかは書いてあったのだけど、特性などは記載されていなかった。
WIKIの情報の中にはまだ手に入れていない木材はあったけど、こげ茶色の木材が取れる木はなかった。
となれば、あの木材は何かしらの処理がされていたということだよね。現実でも防腐処理で色がついた木材もあるしそんな感じなのだろう。
まあ、単純に着色されていただけの可能性もあるし、まだプレイヤーが見つけていない素材の可能性もあるけど。
とりあえずあの木材はなさそうだし、木材も十分補充できたからこれで木材の伐採は終わりでいいかな。
エリアBOSSのアッシュボアをサクッと倒し、イスタットから第2エリアに移動する。
最初は苦戦していたアッシュボアも今ではあっさり倒せるようになった。ステータスやスキルもそうだけど、装備している防具や武器の効果もあの時より数段強くなっているのを実感する。
強くなったなぁ、と思う反面、今まで一番火力を出していたブラッドウェポンと【闇魔法】で出せるダメージが変わらなくなってきているのだよね。
ロックワイバーンやオーレスワイバーンだとブラッドウェポンはあまり使えないからそこまで影響はなかったし気にならなかったけど、さっき倒したアッシュボアだとそれが明確に表れていた。
どうして火力差が埋まってきたというと、武器によるものが大きい。
ブラッドウェポンを扱うにはメイン武器に魔造血液か人工血液を装備していないといけないのだけど、その血液って本来武器ではないから武器としての効果が載せられないのだよね。
魔法はサブ武器に杖を装備しているからその分、火力が上がっている。
どちらもINTの高さで火力が決まるスキルだけど、どうやら武器の能力はその武器に紐づけされたスキルしかその補正が乗らないようだ。
それでブラッドウェポンのもととなる【血魔術】は魔法ではあるのだけど、杖の武器補正が乗らないタイプだった。
その結果、杖の追加効果であるINTの+値がブラッドウェポンのダメージ計算に乗らないから、杖を強化してもメインの攻撃方法がブラッドウェポンだと意味はないのだよね。
まあ、他の魔法スキルには影響があるから杖は強化するに越したことはないのだけど。
今はまだ大丈夫だけど、近いうちに確実に火力不足になるのは目に見えているから、どうにかしたところだよね。
人工血液が強化できるならそうしたいのだけど、その方法がわからないからお手上げ状態なのだ。
どこかで調べられたらいいのだけど、どこに情報があるのかわからないし、同じく【血魔術】を使っている人って今のところヴァンパイア系のプレイヤーだけだから、他のスキルに比べて圧倒的にプレイヤーの間でも情報がない。
こういうところがレアRACEというかレアスキルの欠点だよね。知っていそうな人も思い当たらないし、いっそガルスとかレミレンに聞いてみるのもありかな。あまりしたくはないけど、自力で調べるにも限度はあるし。
……今更だけど、知り合い少ないね私。
プレイヤーは意図して関わっていないからそうなんだけど、この世界のNPCの知り合いもほとんどいない。
プレイヤーや住民に関わらず、こういう時に情報を聞ける人が少ないっていうのはよくない。
ギルドにある書庫でも調べることはできるけど、何度か通ってみた感じどうにもあの書庫って基本的なものに毛が生えた程度の情報しかないみたいなのだ。
専門的な情報になるとやっぱりスキルに合わせた師匠を見つけて、弟子にしてもらうのが一番良いのだと思う。
防具の加工ついてもガルスに弟子入りしたから知ることができたし、他のスキル、特に錬金の師匠を見つけたいのだよね。どこにいるのか全く分からないけど。
掲示板を覗いてみても錬金の師匠になってくれる住民は少ないみたいだし、伝手も住民でもまともに関わりがあるのが2人だけだと、絶望的だね。
最初に【錬金】スキルの補助をしてくれたのはレミレンだけど、専門は【鑑定】って言っていたし、ガルスの知り合いに錬金専門で師匠にもなってくれる住民いないかな。アクセサリー職人の知り合いはいるみたいだけど、錬金師の知り合いがいるとは一度も聞いたことがない。
その話題が出るような会話をしていないからただ出ていないだけかもしれないけど。
これ、もうちょっと頑張って住民と関わっていった方がいいよねぇ。
あれこれ避けていたことをしなければならないと思うと気持ちが沈み、ため息が漏れる。
このゲームをプレイし始めてもう2か月くらい経過していて今更だけども、今まで避けて通ってきたものの弊害がここに来て出てきた感じだよね。自業自得……かぁ。
124
お気に入りに追加
1,220
あなたにおすすめの小説

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO
無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。
名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。
小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。
特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。
姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。
ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。
スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。
そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷
くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。
怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。
最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。
その要因は手に持つ箱。
ゲーム、Anotherfantasia
体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。
「このゲームがなんぼのもんよ!!!」
怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。
「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」
ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。
それは、翠の想像を上回った。
「これが………ゲーム………?」
現実離れした世界観。
でも、確かに感じるのは現実だった。
初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。
楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。
【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】
翠は、柔らかく笑うのだった。

異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?
夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。
気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。
落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。
彼らはこの世界の神。
キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。
ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。
「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる