174 / 254
新規プレイヤーとあれこれ
21:コロニー殲滅
しおりを挟む鳴き声が聞こえたと同時に背後から何かが飛び掛かるように地面を蹴った音が聞こえたため、咄嗟にダメージを受けやすい上半身、特に頭部を守るようにしゃがむ。
そして、一瞬の間をおいて私の頭上を何か白い塊が通り過ぎて行った。
ぱっと見の見た目とタイミングからしてコットンマウスの上位種なのだろう。どれくらいの強さなのかわからないのですぐさま【鑑定】をする。
[(獣)マザーコットン LV:20 Att:―]
HP:820 / 820
MP:30 / 30
スキル:■
状態異常:―
私の目の前数メートル先に着地したマザーコットンはすぐにこちらに向き、私に向かって唸り威嚇している。
マザーか。まあ、見た目も大きくなったケサランパサランだし、そんな感じかな? 普通のコットンマウスに比べて10倍くらい体積ありそうな感じだし、HPも20倍以上ある。LVも高い。
LV20ならこのエリアで最高LVかなぁ。フォレストベアもLV20を超える個体は遭遇していないし、たぶん第2エリアに出現するモブエネミーの最高LVは20なのだと思う。
まあ、HPもそこまで高くないし、そう手古摺る相手でもないよね。そう判断して突っ込んで来ているマザーコットンに鞭を振るう。移動速度はコットンマウス同様に早いので
そして鞭がマザーコットンに当たった瞬間、ぼすっ、というかもふっといった感じの音がなったような気がした。
ん? あれ? 攻撃が当たったというのにマザーコットン、痛がると言うかダメージを受けたような素振りが一切ないのだけど。
慌てて再度【鑑定】を使う。
攻撃がファンブルした訳ではないようで、HPはしっかり減っていた。……たった5だけど。
VITがとても高いエネミー……にしてもダメージが少なすぎる気がする。特性持ち……となれば攻撃を当てた時の感覚からして打撃耐性? 最悪物理耐性の可能性もある?
確か第1エリアに居る羊も同じように打撃・斬撃耐性持ちだったらしいから、似たような感じなのかもしれない。
羊には普通に魔術系の攻撃で倒せるらしいけど、魔術系の耐性もある可能性があるので試しにシャドウニードルを使う。
これでダメだったら微毒か毒状態にして持久戦になるなぁ。
「ちゅー!?」
鳴き声、というか悲鳴からして普通にダメージは入ったようだ。となればおよそ羊と同じだろう。だったら話は簡単だ。
「バインド」
大きめのダメージを受け怯んでいる内に【鞭術】のスキルを使い、マザーコットンを拘束する。マザーコットンもSTRは低いのか人工血液で作られている鞭の拘束から逃げ出せそうな気配はない。
「ダークショット、ダークランス」
拘束している鞭ごと攻撃しマザーコットンにダメージを与える。微妙に人工血液のDuが減ってしまうけれど、水筒の中に戻してMPを注げば回復するので問題はない。
HPは残り半分くらい。3発食らって400ダメージとなればむしろ魔術系の耐性は低い方だよね。まあ、低いと言っても攻撃を当てるのが難しいエネミーだから、拘束系のスキルか魔術系の範囲攻撃スキルを使わないとそう簡単に倒せるとも思えないけど。
拘束が解ける前に倒さないと、また拘束するのは面倒だ。それにたぶんだけど、マザーコットンを倒せば周囲にいるコットンマウスも居なくなると思うのだよね。
というかマザーと戦っている間も増えているのだよ、あいつら。
なんだろう。近くに巣でもあったのだろうか。マザーコットンも突然出て来たし、近くに穴でもあるのかもしれない。
さすがにもうコットンマウスの素材は沢山ある。あればあるほど良いのは否定しないけれど、いまのところ手に入れた数でも使いきれるかどうかが怪しい。
「ダークバースト」
少しマザーコットンに近付いて【闇魔法】のスキルである[ダークバースト]を使う。
このスキルは【闇魔法】熟練度10%の時に習得したものだけど、使い勝手が微妙だったので今まで数回しか使っていない。威力はそれなりにあるのだけど、発動までの時間が他に比べて長く、射程が自分を中心として2メートル半と微妙に短いため、私の戦い方にあっていない。
今回は例外だけど、まず囲まれるような戦い方はしないし、近接戦闘もそうしない。そもそも発動まで時間が掛かる時点で近接戦闘向けではない。本当に囲まれた時に使うスキルなのだ。
攻撃を受けて残りのHPも1割を切りマザーコットンが瀕死の状態になった。
最後にダークボールを放ち、それに当たったマザーコットンはポリゴンになって消えて行った。
「ふぅ」
マザーコットンは倒した。予想の通りならコットンマウスも居なくなるはず……だ。
……減っていない。
むしろ増えている気すらする。いや、増えているな、これ。
まじかぁ。どう見てもBOSS的な位置付けのエネミーだったから、そうだと思っていたのに違ったらしい。
コットンマウスが増える。というか、目の前に生えている樹の根元にある穴から出てきていた。
「巣、近っ!?」
こんなに近くに巣があったらそれは減らないよね。まあ、子だくさん過ぎる気もするけど、イノシシの時も無限増殖ってくらい出て来たからなぁ。
「「ちゅおおぉぉお!!」」
おかしいな。さっきマザーコットンが出現した時と同じ鳴き声が後ろから聞こえて来る。しかも2重で。
すぐさま後ろを向き迫ってきている2匹を確認する。そして無理向きざまに見た方向、迫りくるマザーコットン×2の向こう側には今見ていたものと同じような穴が2つ。
巣、1つじゃなかったのね。
というかここ、コットンマウスのコロニーだったのか。なら減らないのも仕方ないよね。
それから1時間程かけて合計4匹のマザーコットンと1000に迫るほどのコットンマウスを討伐した。ついでに巣穴ももう出て来れないように【毒魔法】を使って潰した。意味があったかどうかはわからないけど。
最後にもう1匹マザーコットンが出て来た時は正直、面倒を通り越して虚無になりかけていた。5匹目が出て来たらさすがに逃げていたと思う。
―――――
コットンマウスは人気エネミー。ただし、愛玩目的。アンゴラネズミ? テイムスキル持ちの中で3割くらいがテイムしています。
第1エリアのコットンマウスはノンアクティブ
第2エリアのコットンマウスはアクティブ
コットンマウスのHPはLV10で30くらい。凄く雑魚だけど数が多いのが特徴
コットンマウスの攻撃でほぼダメージを受けていないアユですが、素のVITの状態で攻撃を食らった場合、普通に死に戻りしています。胴と腰の装備、コートが優秀って話
あと、マザーコットンは別に魔術系の攻撃が弱点という訳ではありません。普通にMND高めのエネミー。ダメージ量はアユのINTが高いのと装備の効果によるものです。※装備は3章第17話のままです
6
お気に入りに追加
1,208
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?
夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。
気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。
落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。
彼らはこの世界の神。
キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。
ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。
「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」
最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職
鎌霧
ファンタジー
『To The World Road』
倍率300倍の新作フルダイブ系VRMMOの初回抽選に当たり、意気揚々と休暇を取りβテストの情報を駆使して快適に過ごそうと思っていた。
……のだが、蓋をひらけば選択した職業は調整入りまくりで超難易度不遇職として立派に転生していた。
しかしそこでキャラ作り直すのは負けた気がするし、不遇だからこそ使うのがゲーマーと言うもの。
意地とプライドと一つまみの反骨精神で私はこのゲームを楽しんでいく。
小説家になろう、カクヨムにも掲載
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
【第1章完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO
無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。
名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。
小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。
特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。
姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。
ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。
スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。
そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる