UWWO ~無表情系引きこもり少女は暗躍する?~

にがりの少なかった豆腐

文字の大きさ
上 下
157 / 260
新規プレイヤーとあれこれ

7:本棚の本

しおりを挟む
 
 司書の男性が閉架書庫の中から戻って来た。

「こちらが閉架書庫内で貴方が読むことのできる書物です」
「ありがとうございます」

 カウンターに出されたのは3冊の本。その内1冊はA4サイズよりも少し小さなサイズの本で厚みは3センチくらい? 他の2冊はもう少し小さくてB5くらい。こっちは結構薄く紙を纏めただけの物。研究のまとめみたいな感じかな。あるいは論文系?

「えっと、アユさん……でしたよね? 貴方はギルドランクがD且つ【上級錬金】を取得済みでしたのでこの3冊の閲覧に許可が出せますが、【調合】の方も上級を取得されましたら閲覧可能になる書物が2つあります」
「なるほど」

 さっきそろそろ上級に成れそうだと言われたから有るだろうと思っていたけど、上級……2次スキルになる事で覚えられるレシピが各生産スキルにあるってことかな。【上級料理】のスキルに対して何も言われていないからそうじゃない可能性もあるけれど、それもどこかにある気はする。熟練度50%以上でバフ付きの料理を作ることが出来るらしいから、無い方がおかしいと思うのだよね。

「こちらの書物はギルド書庫内でのみ読むことが出来ます。外への持ち出しは他の本同様に出来ませんので、こちらの3冊はここを出る際に返却をお願いします」
「わかりました」

 そう言って私はカウンターから離れ、最初に示された生産スキルのレシピがある本棚の所へ移動した。

 とりあえず先に本棚を鑑定する。
 鑑定をしたことで表示された本は全部で14……15冊か。全部生産関係の本だった。1冊は生産について大まかに書かれた説明書のような物。後は各生産スキルについての説明が書かれている本とレシピ。

 大まかに書かれている本は読まなくても良さそう。各生産スキルの説明本は読んだ方が良いのか、読まなくても問題はないのかわからないので、とりあえず錬金のやつを取って見て……あれ?

 本棚から錬金の本を取り出そうとしたところであることに気付いた。

【細工】と【木工】のレシピだけ薄いグレーになっている? 他の奴は濃いグレーになっているから違うのはこの2つだけ。理由は……まあ、取得しているか、していないかだろうね。他に理由も思いつかないし。

【細工】スキルのレシピを取り出してみようとしたけれど、目の前に『この本を閲覧する条件を満たしていません』と表示されたウィンドウが出てきて、案の定取り出すことは出来なかった。

 うん。これは取得しないといけないやつ。…………スキルは今取得するのでいいかな。どうせ取得する予定だったし。ああ、でも【調合】が2次スキルになったらまた来ることになるのだよね。だったら別に今取得する必要も……いや、結局取得するのだからさっさと取得しておこう。悩む方が時間の無駄だよね。

『SKP:5を消費し【細工】【木工】スキルを取得しました』

 うん? 

 スキル取得欄から2つスキルを取得したところで、目の前にウィンドウが出現した。

 これってアプデ前に見たことがなかったから、新しく追加された部分かな。
 ログに残るようになった感じ? 前はスキルを取得してもログに残らなかった……ような、ないような。あまり気にしていなかったから覚えていないね。

 不都合がある訳でもないから気にしないで良いよね。
 さて、じゃあさっそく【錬金】の説明本らしき[生産:錬金のススメ]を見てみよう。

 内容は、【錬金】スキルでどのようなアイテムが作れるか、錬金板の使い方が書いてある。他は、基本情報くらいかな。あ、いや、【錬金】スキルの発展先についてもぼやかし気味だけど書いてあるみたい?

『【錬金】スキルを鍛えて行けば触媒を使い武器に属性を付与することが出来るようになる』と? これは前に作った毒の短剣が該当するのかな。
 でも、触媒ってキノコもそれに当たるのかよくわからない。しかも属性を付与するってことは武器の名前は変わらない感じにも取れる。もしかして別の物なのかも? 付与ってことはエンチャント系?

 んーまあ、とりあえずちょっとは読む価値はありそうな感じかな? 生産:〇〇のススメは厚みのある本でもないから全部読んでもそれほど時間はかからないはず。ちゃちゃっと読み終わらせよう。


 1時間も掛からない内に【錬金】【調合】【料理】【裁縫】【鍛冶】【細工】【木工】全てのススメを読み切った。

 内容は最初に呼んだ【錬金】の物とそう変わらない。ただ、やはりスキルの発展先の情報らしき記載はどれにもあった。気になる部分で言えば【料理】スキルの先にありそうな醸造。お酒には興味はないけれどお酢は作れそう。まあ、メインはお酒作りだと思うけど。【鍛冶】は武器か防具に特化するスキルを覚えられそう。
 そして一番気になっているのは【細工】。内容の中に『金属に模様を掘りそれにより能力を付ける』とあったことから彫金のスキルがありそう。
 もし、【錬金】から派生したエンチャントで属性を付けて、その上【細工】から派生した彫金で能力をさらに付けられるとなれば、結構な強さの武具が出来るかもしれないね。
 まあ、今の段階だと予想でしかないけど。あって欲しい。

 結構な収穫だったなぁ、と思いつつススメ系の本を本棚に戻す。そして本命のレシピが書かれている本を本棚から取り出して、机へ持って行く。
 
 レシピは読めば一気に覚えられるらしいし、サクっと読んで閉架書庫から出してもらった本を読むことにしよう。



_____
 ※生産〇〇のススメは、本文中にもあったように該当するスキルについての説明が書かれています。主にチュートリアルを受けなかったスキル用の本ではありますが、少し先のスキルの情報がチラ見せ程度に載っています。
 そして、気持ち程度ではありますが読むと熟練度が上がります。(1次スキル熟練度0%から1%になる程度)

 アユは本命を最後に残す派です。ショートケーキの苺とか最後に食べる系。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

悪役令嬢、資産運用で学園を掌握する 〜王太子?興味ない、私は経済で無双する〜

言諮 アイ
ファンタジー
異世界貴族社会の名門・ローデリア学園。そこに通う公爵令嬢リリアーナは、婚約者である王太子エドワルドから一方的に婚約破棄を宣言される。理由は「平民の聖女をいじめた悪役だから」?——はっ、笑わせないで。 しかし、リリアーナには王太子も知らない"切り札"があった。 それは、前世の知識を活かした「資産運用」。株式、事業投資、不動産売買……全てを駆使し、わずか数日で貴族社会の経済を掌握する。 「王太子?聖女?その程度の茶番に構っている暇はないわ。私は"資産"でこの学園を支配するのだから。」 破滅フラグ?なら経済で粉砕するだけ。 気づけば、学園も貴族もすべてが彼女の手中に——。 「お前は……一体何者だ?」と動揺する王太子に、リリアーナは微笑む。 「私はただの投資家よ。負けたくないなら……資本主義のルールを学びなさい。」 学園を舞台に繰り広げられる異世界経済バトルロマンス! "悪役令嬢"、ここに爆誕!

忌むべき番

藍田ひびき
恋愛
「メルヴィ・ハハリ。お前との婚姻は無効とし、国外追放に処す。その忌まわしい姿を、二度と俺に見せるな」 メルヴィはザブァヒワ皇国の皇太子ヴァルラムの番だと告げられ、強引に彼の後宮へ入れられた。しかしヴァルラムは他の妃のもとへ通うばかり。さらに、真の番が見つかったからとメルヴィへ追放を言い渡す。 彼は知らなかった。それこそがメルヴィの望みだということを――。 ※ 8/4 誤字修正しました。 ※ なろうにも投稿しています。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜

舞桜
ファンタジー
「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」  突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、 手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、 だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎  神々から貰った加護とスキルで“転生チート無双“  瞳は希少なオッドアイで顔は超絶美人、でも性格は・・・  転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?  だが、死亡する原因には不可解な点が…  数々の事件が巻き起こる中、神様に貰った加護と前世での知識で乗り越えて、 神々と家族からの溺愛され前世での心の傷を癒していくハートフルなストーリー?  様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、 目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“  そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪ *神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw) *投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい *この作品は“小説家になろう“にも掲載しています

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

だらだら生きるテイマーのお話

めぇ
ファンタジー
自堕落・・・もとい楽して生きたい一人のテイマーのお話。目指すのはスローライフ!

処理中です...