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廃村の復興と素材を探して
32:叫び声が聞こえる?
しおりを挟むアッシュボアを倒した後に出て来たウィンドウで、セントリウス側に戻る、を選択して戦闘フィールドから出た。
戦闘フィールドから戻って来てすぐに周囲を確認する。どうやら他のプレイヤーは居ないみたいだ。
しかし、今さっき出たアナウンスを聞いて、ここへ向かって来ているプレイヤーが居る可能性が高いので、早くここから離れた方が良いだろう。
そう判断してセントリウスの街へ向かって走り始めた。
走りながら先ほどのアッシュボア戦について思い返す。
そう言えば、アッシュボアの特殊行動で出現するデミボアは、WIKIに100前後の数が出て来ると書かれていたのだけど、実際に私の前に出て来たのは50くらいだけだったのだよね。少なかったのは良かったのだけど、なんでこんなに出て来る数に差があるのだろうか。
……あ、もしかして、挑んだプレイヤーの人数で出て来る数が変わって来るとか? まあ、今考えることではないね。検証する気もないし、兄に情報を渡しておけばいいか。
それより、やっぱり事前に情報があるか無いかによって戦いやすさが変わるよね。アッシュボアも掲示板の内容から面倒で強いエネミーとしての印象が強かったけれど、実際は結構あっさり倒せたし。
フィールド上に在った大きな岩とか、初見だとアッシュボアの突進回避用に使うくらいしか思い至らないだろうけど、本来の使い方はデミボアの攻撃回避用らしく、岩をアッシュボアの突進を回避するための盾として使うと岩は砕けてしまうようだ。
それで岩を全て砕かれてからデミボアが出て来ると数で圧殺されたり、対処しているところにアッシュボアが突っ込んできたりと、最初のうちはそんな感じの負けパターンが多かったと掲示板に多くの書き込みがあった。
まあ、最初にアッシュボアを倒したパーティーはゴリ押しで勝ったらしいけど。
私が岩を使ったのは、デミボアの攻撃を躱すために1回だけなのだけどね。アッシュボアの突進は普通に躱せたし、使う必要が殆どなかった。それと【影魔術】で範囲攻撃スキルのシャドウニードルを覚えて本当に良かった。あれが無かったら相当苦戦していただろうからね。勝てなくはなかっただろうけど。
だけど、アッシュボアの戦闘フィールドに在った岩が戦闘に使えたという事は、他のBOSSの戦闘フィールドにも使える物があるかもしれない。オルグリッチの戦闘フィールドにはぬかるんでいる場所があったから、それを使うことが出来るのかもしれない。
カエルのBOSSの所にも何かしら……ん? 何か叫び声が聞こえるような?
もしかしたら追いかけられているかもしれないと思い、足を止めて周囲を見渡してもプレイヤーの姿はない。【感知】を使ってもプレイヤーを指し示す点はなかった。
んん? 聞き間違いかな……いや、また聞こえてきた。またPKerでも出たのかな。それにしては悲鳴って感じの声ではないような。
気になったので、叫び声がどこから聞こえてくるのかを調べてみる。
うーん、あっちから聞こえてくるような。という事は南方面?
確かあっちは森があった方……さらに行けばエリアBOSSのカエルが居る所に着くけど、距離があるからカエルの所はないかな。
とりあえず確認しに行ってみようかな。
野次馬みたいであれだけど、何か変なことが起きていたら知っておいた方が良いし、PKerとかだったら駆除しておいた方が後々楽だよね。
セントリウスに戻るのを止めて、叫び声がする方へ移動を始める。一応、目立ち過ぎないように全力では走らない。
それに、十中八九、私と同じように聞こえて来る叫び声が気になって、叫び声の元へ移動しているプレイヤーが居るはず。幸い、ゲーム内時間は夜なので堂々としていればそれほど目立つことは無いはずだし、フードの隠蔽効果でそうそう顔も見えないだろうから、変なことをしない限り目立たないと思う。
10分程移動を続けている。確実に叫び声の元に近付いてはいるのは分かるのだけど、まだその場所には着いていない。それに未だに叫び声が聞こえてくる。
うーん、これはPKerだったらこんなに長く叫び声が聞こえ続けているのはおかしいよね。と言うかこの叫び声、プレイヤーの物ではないのでは?
叫び声の元に近付いたからなのか、聞こえて来る声が先ほどよりもはっきりと聞こえている。
うおおおおっ、とか、うわーっ、みたいな感じでは無くて、ぎゃおおおおっ、みたいな叫び声だ。これ、もしかして、新手のエネミーが出現している? 熊とかの叫び声だとこんな感じの物ではないし、聞いたことがない様な叫び声だ。
そう言えば、アップデートのお知らせ一覧にフィールドBOSSが出るとか記載されていたような。いつ出現するとか、何処に、なんて情報が無かったから流し見していたけど、これかなぁ。
この声の主がフィールドBOSSだったとして、戦うかどうかとは別に確認しておきたいところだね。
イベントの時に出現したイベントワイバーンも一応フィールドBOSSだったけど、ゴフテスよりも弱かったし、さすがにあれよりは強いはず。
あ、何か見えて来た。んー、鳥系かな。空飛んでいるみたいだし、ってもう結構な数のプレイヤーが集まっているみたいだ。魔術系スキルの攻撃エフェクトが光って見えている。
うーん、エフェクトの対比からして、あのエネミー結構大きいような?
暗くてエネミーがほぼ黒のシルエットしか確認できない中で、エフェクトの光が点でしか見えないし、結構な攻撃が当たっているのにエネミーのシルエットが怯んでいる感じが一切ない。
「ギャアアアァッ!!」
ああうん。今まで聞こえていた叫び声はフィールドBOSSの叫び声、もしくは咆哮だったようだ。
移動時間からして10キロメートル近く距離が離れている場所で、叫び声が聞こえてきたところからしても、フィールドBOSSのサイズは察せるよね。結構どころか大分大きそうだ。
さらに近付いて行くとフィールドBOSSの叫び声だけではなく、プレイヤーの悲鳴も聞こえてくるようになった。それと既にフィールドBOSSがどのようなエネミーなのかが、わかる位置まで来ている。
さすがにまだ距離があるから気付かれていないだろうけど、なるほどね。まさか、という思いもあるけれど、だからあのようなNAMEだったのかと、腑に落ちる気持ちの方が大きい。あれとは大分サイズが違うけど、あれは特別仕様になっていたのだろう。経験値のバグもその仕様のせいかもしれない。
私は近付くのを止めて、前を見る。
少し先のフィールドで、大きなワイバーンが群がってきているプレイヤーを一方的に殲滅している光景が見えた。
30
↓
私はかわいいテイムモンスターたちに囲まれてゲームの世界を堪能する
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森の中でひっそりと生活しようとしたのだが
いつの間にかハーレムになっていた
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