上 下
104 / 254
生産したい、色々作りたい

22:採取の成果

しおりを挟む
 
 うん、頭だね。さっき見た時はインベントリには無かったから、多分、犬リーダーを倒したことで手に入れたのだろうけどさ。うーん、要らない。

 委託で売っても良いかなぁ、一応委託は匿名だし、誰が売りに出したのかはわからないはずだよね。
 ただ、Ra的に売りに出したくないと思うのはゲームをしている人の性なのか。どんなに要らないアイテムでもRaがEpだと手放すのが惜しく感じてしまうよね。

 売らないとなると素材として使う必要があるのだけど、もう既に頭部剥製は持っているから必要ないし、そもそも使えない。と言うか、生産スキルは何を使えば出来るのだろうか? 細工はアクセサリー系だし、皮系だと裁縫になるけど中身を考えるとそれだけで出来るとは思えない。

 剥製だと飾るのが目的だから家具製作系になるはず。そもそも頭部剥製が家具ジャンルのアイテムだったから、家具製作系なのだろうけどそれに該当するスキルはまだ見つかっていないのだよね。少なくとも私が調べた限りだけど。

 あーでも、外側の皮だけはぎ取れば裁縫系でも加工は出来るかも。いや、剥ぎ取り自体どうやればいいのかわからないけど、皮の状態になればおそらくスキルの範囲内には入るはず。
 そうしたら出来るのは帽子とかフードみたいになるのだろうか? そう言えば尻尾も手に入っているのだよね。だったら着ぐるみとかも出来るかもしれない。いや、着ぐるみを作ったとしても着るつもりは一切ないけども。
 むむ、ガルスに渡せば何かしら作ってくれるかもしれないけど、とりあえずは放置かな。

 ログアウトの時間もあるし、頭に関しては採取が終わるまで放置しておくとして、今はここに来た目的通りにキノコの採取を進めて行かないと、現状何度もここに足を運ぶのは面倒でしかない。
 なので、出来る限りの数を採取していかないとね。



 採取を続けてログアウトの時間まで1時間を切ったので採取を切り上げ、急いで森に1番近い廃屋に駆け込みログアウトした。
 そして急いでいたためしっかり確認できていなかったインベントリの中身を再度ログインしてから、もう1度しっかりとインベントリの中を確認していく。

 今回の採取で手に入った物は、主な目的だったデストリマッシュと薬草。それから、第3エリアでしか取れない気がする素材だ。

 ログアウト時間を忘れるくらい採取に没頭した結果、デストリマッシュについては50個以上集まり、薬草に至っては草原で見つけた物と合わせれば100以上も手に入れることが出来た。
 マッヒカン茸も結構な数を採取することが出来ている。さらに言えば未だに用途がわからない謎の骨も数本採取済みである。

 それと、採取の途中に熊が出たけど、熊はイベント中にも多く倒したし倒し方も十分わかっているので、苦戦することなく倒すことが出来た。
 あの後も警戒していた犬たちについては、拍子抜けではあるけどあの戦闘の後から今まで一切出て来なかった。しかも感知の範囲にすら入って来た様子がなかった。もしかしたら、群れを倒すことで一定時間出て来なくなるとかなのかもしれない。リアルで考えれば群れの縄張りとかがあるから、それが仕様として組み込まれていても変ではないし。

 採取出来た数で言えば、充分に満足のいく結果ではあるのだけど、欲を言えばもう少し欲しいところ。ただでさえ他に採取できるプレイヤーが居ない状況なので、今後も継続して使うのであれば、沢山あった方が良いのは誰にでもわかる事だよね。

 しかし、残念なことに現在は日中。フードを被れば多少ダメージが減るとはいえ長時間の活動は出来ないので、廃屋周りで採取可能な素材を探して回る。

 あ、【日光脆弱】の熟練度が6%になった。
 これで後少しで0%になるのだけど、掲示板に書き込んでいたレッサーヴァンパイアの人曰く、0%になると【日光脆弱】のスキルは消滅して、それと同時に種族特性が解放されるとの事。

 情報の裏付けでステータスのSSもしっかり記載してあったから正しいものだと思うけど、私は後どれくらい時間が掛かるのか。少なくとも10%以下になってから相当時間が経っているにも拘らずまだ6%だから、結構な時間が掛かることは確かだとは思うけど。

「あああああああ!!!」

 え? 何!? 敵!? 突然の声に驚き、体がびくっと反応して、周囲を見渡す。

 色々考えながら採取をしている時に上がった声に驚き、咄嗟に周りを確認して声の元を探す。すると少し離れた位置に何やら凄く歓喜しているように見える推定プレイヤーが喜びからなのか両手を上げて、こちらに向かって絶叫しながら迫って来ているのが見えた。

 そして、そのまま推定プレイヤーは減速することなく私に向かって突進して来たので、とりあえずそれを回避。そうしたことで推定プレイヤーは私の横を通り過ぎ、草に躓いたのか盛大に顔から草原の中にダイブした。

 えっと、何か顔面から行ったのだけど、大丈夫なのかなって…あれ? 尻尾が付いている? 

 変なところでも打ったのか別の何かがあったのかはわからないけど、倒れたまま直ぐに起き上がらない推定プレイヤー…訂正、アバターの上にネームが出ているからプレイヤーなのはわかった。
 まあ、その倒れているプレイヤーのアバターから結構太めのしっぽが生えていることに気付いた。

 見た感じ爬虫類系で黄色い尻尾。結構ごつい感じで言うなればワニの尻尾の鱗っぽい。確か似たような感じの尻尾があるRACEでリザードマンが居るのだけど、リザードマンって基本的に緑系統の色合いらしいから、このプレイヤーのは黄色いし多分違う?

「はっ!?」

 倒れていたプレイヤーが、バッと起き上がった。事前動作もなくいきなり動いたため、また私の体がびくっと反応してしまった。

 怖い訳ではないけど、いきなり動くとか驚くから止めて欲しい。
 と言うか、別に私はこのプレイヤーの行動を見ている必要は無いのでは? このプレイヤーが倒れた原因は私ではないし、そもそもあのまま回避しないでぶつかっていたら、このプレイヤーに対してセクシャルガードが発動していた可能性もあるよね? どう見ても私がここに居たことを認識した上で突っ込んで来ていたし。

 うーむ、無視が一番安全かなぁ。ただ、無視しても付いてくる可能性も否定できないよね。まあ、程度にもよるけどそうなったら運営に通報するけども。

 どうするべきか判断に迷っている所でそのプレイヤーの顔がこちらを見て来た。

「あ、あ…や…」
「あや?」

 あや? まさか私が怪しいとでも言いたいの!? 確かにフードを被っているし、そのフードには弱めだけど認識阻害の効果で顔が見づらいから怪しいかもしれないけどさ。貴方も十分怪しいからね!

「や、やっと他の人に会えたーーーっ!!!」

 また、いきなり大声を上げてきたので驚いて体が反応してしまったけど、とりあえずこのプレイヤーが歓喜の表情で私に近付いて来た理由は分かった。


 まあ、うん。この人、私と同じ第3エリアが初期地点のプレイヤーだ。
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

女尊男卑 ~女性ばかりが強いこの世界で、持たざる男が天を穿つ~

イノセス
ファンタジー
手から炎を出すパイロキネシス。一瞬で長距離を移動するテレポート。人や物の記憶を読むサイコメトリー。 そんな超能力と呼ばれる能力を、誰しも1つだけ授かった現代。その日本の片田舎に、主人公は転生しました。 転生してすぐに、この世界の異常さに驚きます。それは、女性ばかりが強力な超能力を授かり、男性は性能も威力も弱かったからです。 男の子として生まれた主人公も、授かった超能力は最低最弱と呼ばれる物でした。 しかし、彼は諦めません。最弱の能力と呼ばれようと、何とか使いこなそうと努力します。努力して工夫して、時に負けて、彼は己の能力をひたすら磨き続けます。 全ては、この世界の異常を直すため。 彼は己の限界すら突破して、この世界の壁を貫くため、今日も盾を回し続けます。 ※小説家になろう にも投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?

夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。 気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。 落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。 彼らはこの世界の神。 キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。 ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。 「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」

最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧
ファンタジー
『To The World Road』 倍率300倍の新作フルダイブ系VRMMOの初回抽選に当たり、意気揚々と休暇を取りβテストの情報を駆使して快適に過ごそうと思っていた。 ……のだが、蓋をひらけば選択した職業は調整入りまくりで超難易度不遇職として立派に転生していた。 しかしそこでキャラ作り直すのは負けた気がするし、不遇だからこそ使うのがゲーマーと言うもの。 意地とプライドと一つまみの反骨精神で私はこのゲームを楽しんでいく。 小説家になろう、カクヨムにも掲載

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO

無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。 名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。 小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。 特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。 姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。 ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。 スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。 そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。

入れ替われるイメクラ

廣瀬純一
SF
男女の体が入れ替わるイメクラの話

処理中です...