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生産したい、色々作りたい
17:生産を一旦止めて、素材を集めよう
しおりを挟む生産設備が使えるようになってからリアルで2日程が経った。
オルグリッチの倒し方が確立されたのか、ウエストリア側からセントリウスに入って来るプレイヤーがちらほら確認できた。
ただ、セントリウスの街に留まっているプレイヤーはあまり居ない。理由としては掲示板でも出ていたエネミーのLV帯がそれほど変わらないため、セントリウス付近ではLV上げが出来ないからだ。なので、大半のプレイヤーはセントリウスのギルドを登録したら第1エリアへ戻っている。
一部のプレイヤーは第3エリアに向かうために色々とやっているようだけどその内容はよく知らない。かく言う兄たちのパーティーもそれに該当するのだけど、あれ以来、ゲーム内で接触もしていないため何をやっているのかはわからない。
同じギルドを使っているのに2日、いやゲーム内で4日間も接触しなかった理由はタイミングが合わなかったのもあるけれど、一番の理由は私が生産設備のある部屋にこもっていたからだ。
生産設備にこもっていた理由は、生産スキルの熟練度を上げるためもあったのだけど生産施設でアイテムを作っていると、それを眺めに来るプレイヤーが居たのでそれを避けるためでもある。おそらく次のアップデートで追加されるクランのメンバー集めの下調べなのだろうけど、相手の気持ちも考えずにじろじろ見て来るようなプレイヤーが居るような集団には加わりたくない。と言うか、そもそもクランに入るつもりは一切ない。
生産設備のある部屋であの錬金板を装備するために【上級錬金】の熟練度を上げていたのだけど、やっぱり2次スキルだからなのかゲーム内4日掛けても熟練度は50%を超えていない。容量拡張鞄を作った時にはそれなりに熟練度が上がったからあっさり上がると思っていたのだけど、どうも同じ物を何個も連続で作っていると得られる熟練度が減っていくようだ。
【上級錬金】の熟練度上げのために容量拡張鞄と圧縮鞄をそれなりの数を作った。私が使わない余分に作った物は他のプレイヤーが買うのかがわからなかったので、全て総合委託に流した。しかし、残念ながら流した物の半数はまだ売れ残っていて、少しではあるけれど赤字である。
圧縮鞄に関しては、どうやら重力石を使うことで容量拡張ではなく圧縮となるらしい。まあ、重力石を使うとSASが跳ね上がるので、圧縮鞄は委託に流した物の半数にも満たない。
他の生産スキルは【上級錬金】の熟練度が上がり辛くなったあたりから、【調合】と【料理】の熟練度も上げていた。
【調合】は錬金でポーションを作り始めたあたりから殆ど上げていなかったので、初級ポーションを作りまくって熟練度を上げた。途中から錬金と同じように熟練度が上がり辛くなったのだけど、1次スキルだからなのか全く上がらなくなった訳ではなかったので、それは無視して初級ポーションを作り続けた。その結果、【調合】の熟練度は70%を超えた。
【料理】は熟練度が60%を超えたところで一旦止めた。羊肉を使えばそれなりにASは稼げるのだけど、如何せん数を作るには時間効率が悪い。1時間で30個ちょっとしか作れないので、ASを払って利用している場所で生産するのは向いていない。
なので、【料理】の熟練度を上げるなら、いつもログアウトする時に使っている宿の部屋でやることになると思う。もしくはリアルの朝方とか、平日の昼はプレイヤーも少ないからその時に生産施設で熟練度を上げることになる。
それでこれからやることは第3エリアに向かって素材を確保することだ。
本音を言えばあまり行きたくは無いのだけど、デストリマッシュとか薬草って第1エリアと第2エリアでは取れないのですよ。その所為で委託にも一切流れていないし、私が確保していた物も尽きてしまった。
薬草についてはセントリウスに着いて直ぐに無くなったし、デストリマッシュはこの前ナイフと短剣に使ったのが最後だった。
デストリマッシュが欲しい理由は色々使い勝手がいいからなのだけど、薬草が欲しい理由は、HPが上がったから初級ポーションだと回復量が頼りないからだ。
まあ、私はあまりダメージを食らうような戦い方はしないから、ポーションはそれほど使わないのだけど、ダメージを受けた際に使うポーションの回復量がHP総量の10%にも満たないのは不安でしかない。出来れば最低でも10%は回復してもらわないと不安はぬぐえない。
そう言うことで一回第3エリアに戻る? 行くことにしたのだ。
それで今の時刻はリアルだと9時くらいで、UWWO内だと18時といったところ。まだ日差しのダメージを受ける時間帯ではあるのだけど、【日光脆弱】の熟練度下げも兼ねて今から出発する。
そして何事もなく2時間程走ったところで壁のある場所に到着した。前はここからセントリウスまで走って3、4時間掛かっていたはずだから、それと比べると大分移動速度が上がっている。
着いたはいいのだけど、残念ながら壁にある扉は開いていなかったので、ここに居るはずの住民と言うか軍人?に話しかけて扉を開けてもらうしかないようだ。
そう判断して周りを見渡して軍人を探す。
見る限り他のプレイヤーと思われる影は無いけれど、っと、軍人らしき住民を見つけた。何か待機場所みたいなところからこちらを見ている。まあ、もう20時は過ぎているし、こんな時間にここへ来るような人は怪しいから警戒しているだけだと思う。
ん? ……暗めの色のコートを着てフードを被っているって、私普通に怪しいやつなのでは?
…まあ、いいか。どの道話しかけないと向こう側に行けないし、さっさと扉を開けて通して貰おう。
「……何か御用で?」
「向こう側に行きたい…のですけど」
凄く警戒されている。そうするのもわかるのだけど、あまりいい気分ではないな。
「ああ、また異邦人か。通行許可証はあるのか?」
「これ」
ギルドカードに通行許可が記されているので、それを見せる。すると、軍人はギルドカードと私を見比べて難しそうな顔をした。これはもしかして偽造と思われている?
「…すまないが、そのフードを取ってくれないか? ギルドカードの偽造は無いと思うのだが、そのままだと他人のカードを出している可能性が否定できない」
ああ、なるほど。フードの所為か。これって一応認識阻害の能力もあるし、それが駄目だったという事かな。まあ、周囲に他のプレイヤーが居たら嫌だけど、今は居ないみたいだから問題はない。
「問題はないな。すまんな、疑って」
「別に問題は無い…です」
軍人が確認したのがわかったら直ぐにまたフードを被る。
ここで門番みたいなことをしている以上、疑うのは仕事の内だから、謝罪は要らないのだけど。
「基本的にここは閉まったままだから、戻って来た時はここに付いているノッカーを使え。それで気付いた奴がそこの窓から顔を出すはずだ」
扉を開けて貰って、第3エリア側に出たところで軍人が扉に付いている直径15センチくらいの輪を指して言ってきた。なるほど。前は気付かなかったし使わなかったけど、本来ならそれを使って開けてもらうのか。
「わかりました。ありがとうございます」
そう言ってから私は第3エリアに向かって走り出した。
32
↓
私はかわいいテイムモンスターたちに囲まれてゲームの世界を堪能する
↓
森の中でひっそりと生活しようとしたのだが
いつの間にかハーレムになっていた
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