UWWO ~無表情系引きこもり少女は暗躍する?~

にがりの少なかった豆腐

文字の大きさ
上 下
73 / 260
第1回イベント

運営裏話・2

しおりを挟む
 
「イベント開始したが、出だしはどうだ?」
「今の所、問題は無いです。ウエストリアとイスタットの一部で渋滞が起きて苦情が入っていますが、まあそれは元から分かっていたことなので」
「わかった。何か問題が起きたら随時報告な!」
「了解」



「え、ちょっと嘘だろう?」
「どうしたー?」

 いきなり声が上がった所の近くに居た男が声を上げた者が見ていたモニターを確認した。

「ワイバーンが討伐された?」
「まだ2時間しかたってないんだけどー!?」
「どうした! 何か問題でも起きたか!」
「主任。あ、いえ問題ではないのですが」

 いきなり上がった声に急いで駆け付けた主任に声を上げた者は歯切れの悪そうに答える。

「問題じゃないなら何で声を上げた?」
「あのですね、…予想以上に早くワイバーンが討伐されまして」
「ワイバーン? あれはまだ初期位置から動いていないだろう? それで討伐って」
「討伐したのはー、ああソロで……は? なんでソロで討伐できてんの!?」
「アバターNAMEはアユ。NAMEは秘匿していますね。って、ああこの子ヴァンパイアの!」
「あー、道理で。あの子ならソロでも討伐……できるか? このイベントで出るワイバーンって推奨人数10人くらいじゃありませんでしたっけ?」
「そんなもんだな。LV14で10人が適正討伐人数だな」
「RACEのことも考えるとLVとステータスを見る限り、出来なくはないか」
「ん?」
「どうした?」
「なんか、この子一直線に進んでいるんだけど」
「この方向だと……サウリスタ方面のワイバーンが居るところに近づきますねぇ」
「ああこれ、完全にワイバーンの初期位置バレてんじゃないですかね?」
「でしょうねぇ。普段のエリアBOSSが居る位置を初期位置にしたの完全に裏目に出ていませんか? 道が無ければ気付かれないだろうとか、完全に意味をなしていませんよね」
「過ぎたことだ。これは次回に生かすことにしようじゃないか」
「いい顔して言っても失敗は無くなりませんよ」
「ほら、お前ら問題じゃなかったんだから自分の持ち場に戻れ」

 主任の声で1つのモニターに集まっていた数人は蜘蛛の子を散らすように持ち場に戻って行った。



「イベントも2日目に入った! これからはPVPがメインになっていくと思うからその辺の監視はしっかりな。迷惑行為とかがあった場合は指定通りの方法で対処すること。まあ、その必要は無いと思うが、お仕置き用のモンスターとかで不具合があったら直ぐに報告して、修正に入る事」
「「「了解」」」

「レッドNAMEが討伐されてリタイアしました。不具合はありません」
「了解」
「思いの外早くリタイアしたなー。なんてNAMEだったっけ?」
「ププリ・ペペルペルポですね。さすがにもう少し粘ると思いましたが、2日目始まって1時間しか経っていないですよ」
「討伐者は、っと…ああ、安定のヴァンパイアちゃんか」
「討伐者が誰であろうと問題は無いですよね」


「あーこれは、迷惑行為だな。システムは…問題なく稼働していると」
「迷惑行為ですか?」
「1プレイヤーに多数で攻撃を仕掛けている感じだ。おそらく、無理やりペナルティモンスターを出して、ポイント半減させたいんだろう。ターゲットになっているプレイヤーは現在2位だし」
「なるほど、システムがちゃんと稼働しているなら大丈夫ですね。プレイヤーは…見る限り十分捌けていますし、問題は無いでしょう」
「そうだな。しかし、こいつらそろそろ無駄なことをやっているって自覚できんのかね。さっきから一切ペナルティモンスターが出てこないことは理解しているだろうに」
「いいじゃないですか。何をやるのも自由ですよ。それにこれで1位と2位の差が埋まりそうですし」
「ああ、まあ確かに。1日目が終わった時点でトリプルスコアだったしなぁ。さすがにあれはバグだと思ったが」
「討伐数が異常でしたからね。バグじゃなかったのは良かったですけど、あそこまで差が開いてしまうとイベントが盛り上がらなくなりますから」
「まだ2日目は半分以上残っているからどうなるかわからないけどな」



「そろそろイベント終わるぞ! ポイント集計はなるべく早く結果が出せるように準備しておけ!」
「「「りょーかーい」」」
「このままいけば、1位と2位がギリギリ逆転しそうだな」
「そうですね」
「他の順位はもう殆ど固まっちゃってますよね。2位の方はまだ上がり続けていますけど」
「1位のポイントの伸びがここ数時間悪いんですよね。慢心でしょうか」
「うーん。あーこれはあれじゃね? ポイント調整」
「調整?」
「多分2位になるようにポイント獲得しない様に動いていると思う。多少増えているけどそれも100ポイント以下だから、モンスターだけ倒しているんじゃないか?」
「いや、自分から順位を落とそうとするなんて普通じゃないですよね!?」
「普通はそうだと思うが、何か理由があるんだろう。単に目立ちたくないとかかもしれないけどな」
「目立ちたくないなんて、今まで1位をキープしていた時点で相当目立っているじゃないですか」
「いや、俺に聞かれてもわかる訳ないだろうよ」



「イベント終了で確定ポイントと各ランキングは出した。後はイベント報酬の配布で今回のイベントは終了だ。まあ、その後もやることはあるがそれは俺たちの役目じゃない」
「主任。チケットの配布数は規定通りで大丈夫でしょうか」
「うーん、まあ大丈夫だろう。馬鹿やってポイント2桁のプレイヤーもいるが、それにもチケットは配布する予定だしな」
「わかりました」
「ランダムチケットから出る“特別な”シリーズは制限しなくて大丈夫ですか? おそらくランキングトップ3は確実に獲得できてしまうと思いますけど」
「あれは現段階では確かに性能は良いけど、ずっと使える程良い訳じゃないから問題ないだろ」
「そうですかねぇ。確実に荒れると思いますが、主任がそう判断されるならこちらはそのようにしますよ」
「おう、そうしとけ。っと、他に確認したいことがあったら言えよ。…無いなら各自作業を進めるように」
「「「「了解」」」」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

追い出された万能職に新しい人生が始まりました

東堂大稀(旧:To-do)
ファンタジー
「お前、クビな」 その一言で『万能職』の青年ロアは勇者パーティーから追い出された。 『万能職』は冒険者の最底辺職だ。 冒険者ギルドの区分では『万能職』と耳触りのいい呼び方をされているが、めったにそんな呼び方をしてもらえない職業だった。 『雑用係』『運び屋』『なんでも屋』『小間使い』『見習い』。 口汚い者たちなど『寄生虫」と呼んだり、あえて『万能様』と皮肉を効かせて呼んでいた。 要するにパーティーの戦闘以外の仕事をなんでもこなす、雑用専門の最下級職だった。 その底辺職を7年も勤めた彼は、追い出されたことによって新しい人生を始める……。

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

冤罪を掛けられて大切な家族から見捨てられた エアコンまとめ

エアコン
恋愛
冤罪を掛けられて大切な家族から見捨てられた とエアコンの作品色々

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。

羽海汐遠
ファンタジー
 最強の魔王ソフィが支配するアレルバレルの地。  彼はこの地で数千年に渡り統治を続けてきたが、圧政だと言い張る勇者マリスたちが立ち上がり、魔王城に攻め込んでくる。  残すは魔王ソフィのみとなった事で勇者たちは勝利を確信するが、肝心の魔王ソフィに全く歯が立たず、片手であっさりと勇者たちはやられてしまう。そんな中で勇者パーティの一人、賢者リルトマーカが取り出したマジックアイテムで、一度だけ奇跡を起こすと言われる『根源の玉』を使われて、魔王ソフィは異世界へと飛ばされてしまうのだった。  最強の魔王は新たな世界に降り立ち、冒険者ギルドに所属する。  そして最強の魔王は、この新たな世界でかつて諦めた願いを再び抱き始める。  彼の願いとはソフィ自身に敗北を与えられる程の強さを持つ至高の存在と出会い、そして全力で戦った上で可能であれば、その至高の相手に完膚なきまでに叩き潰された後に敵わないと思わせて欲しいという願いである。  人間を愛する優しき魔王は、その強さ故に孤独を感じる。  彼の願望である至高の存在に、果たして巡り合うことが出来るのだろうか。  『カクヨム』  2021.3『第六回カクヨムコンテスト』最終選考作品。  2024.3『MFブックス10周年記念小説コンテスト』最終選考作品。  『小説家になろう』  2024.9『累計PV1800万回』達成作品。  ※出来るだけ、毎日投稿を心掛けています。  小説家になろう様 https://ncode.syosetu.com/n4450fx/   カクヨム様 https://kakuyomu.jp/works/1177354054896551796  ノベルバ様 https://novelba.com/indies/works/932709  ノベルアッププラス様 https://novelup.plus/story/998963655

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...