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第1回イベント
37:フード付きの防具を依頼する
しおりを挟む【錬金】の熟練度が上がって覚えたレシピの中から今作れるものを選んで作って売ってを繰り返している内に、日が殆ど沈みかけている時間になった。熟練度も少し上がったけどそれよりも次に日が昇る前に何か日の光を遮るような物が欲しいので、外にアイテムを拾いに行くよりも先にそっちの用事を済ませてしまいたい。
総合ギルドで教えてもらった防具を売っている住民のショップへ移動する。そのショップは総合ギルドから結構離れているので速足で移動している。しかも閉店時間が20時らしいので、残り時間は1時間半くらい。
距離的に速足で移動して1時間くらいかかりそうな感じなのでかなり急いでいかないともしかしたら早めに閉まってしまうかもしれない。
速足で移動すること1時間弱。ようやく目的のショップに辿り着いた。どうやらまだ営業しているようだ。
そしてそっとショップの中に入る。他の客はいないようで中は思った以上に静かだった。店員の人も見当たらないのでもしかしたら奥に行ってしまっているのかもしれない。
「おや、いらっしゃい」
「ひゃ…っ!?」
想定外に後ろから声を掛けられたから変な声が漏れてしまった。まさか店の中じゃなくて後ろに店員が居るなんて普通なら考えないのだから仕方ない…はず。
「ああ、すまない。驚かせてしまったか」
「あ…や、いえ。大丈夫…です」
「そうかい? ならいいんだけど。そういえばここに来たってことは何かお探しなのかな」
店員の男はそう言いながら私の横を抜けて店の中に入っていった。そして店の中に入ってもう一度私の方に向き直した。
「あ、えっと、フード…みたいに被れる物が付いた防具ってありますか? あ、別に防具じゃなくてもいいです。日差しが遮れればそれでも」
「フード…被るタイプの防具でも大丈夫かい? 簡単にいえば頭装備になるけど」
「あ、えっと、そういうのはちょっと。あくまでフードっぽい感じの付属機能とかそんな感じで日差しを遮れるような物があれば」
「なるほどそういう感じかぁ。そうなると今と言うか基本うちにはないな。1からオーダーで作れば出来るんだが、そうなると時間もASもここにあるやつより掛かっちまうな。嬢ちゃんの装備を見る限りそんなにAS持ってないだろう?」
「うぐ、…出せて3000ASまで…です」
オーダーメイドはさすがに無い。ASもそうだけど時間が掛かるのが目に見えている。できればリアルで明日の昼のログイン後には欲しいところなんだよね。
「いや、思ったより出せるな。さすがにオーダーだと少なすぎるが、リメイクならどうにかなるくらいだな」
「リメイク?」
「今持っている防具の形を多少変えるくらいだけどな。追加でアイテムとか必要になるがおそらく出せる分には収まると思うぞ」
なるほど、そういう方法があるのか。そういえば忘れていたけど今装備しているアクセサリーとか修復しないとそろそろ耐久値が危ないんだよね。
それに完全に認識の外にあったけどゴリラ倒した時になんかマントを手に入れていたし、それでどうにかなるのでは?
「じゃあ…マントから、フード付きにできたり?」
「マント? 形や大きさに寄るが、今付けてないけどあるのか?」
「これ」
そういってインベントリの肥やしになりかけていた[(アクセサリー)岩色のマント]を取り出して店員の男に渡した。そういえば【鑑定】すらしていなかったな。今のうちにしておこう。もしかしたらもう【鑑定】できなくなるかもしれないし。
[(アクセサリー)岩色のマント Ra:Ep Qu:B Du:100/100 SAS:4400]
岩のような色をしたマント。通常のマントに比べて防御性能が高い。マントの表面は岩のようにざらついており刃物などでこのマントを攻撃した場合、耐久値がより多く減ることがある。どのような素材からできているのかはわからないが元となった素材は通常の作り方では作成は出来ない。
効果:VIT+15 斬撃耐性(小) 土属性付与
思いの他性能が良かった。まあ、ゴリラの後は殆ど戦っていないから装備したところで意味は薄かっただろうし、単純に今の防具の状態でこのマントを着けて外を歩く勇気はない。
まあ、ちゃんと見ても結局インベントリの肥やしになっていたと言うことかな。もしかしたらSASが高いし委託掲示板で売っていたかもしれないけど。
「ほう、悪くないマントだな。しかも土属性付とは。ただまあ、ちとサイズが足りないか。もう少し大きければどうにかなったんだが、他には持っていないのか? 毛皮とかの素材でも大丈夫だが」
毛皮か…持ってはいるけど数は少ないし、それにグネズミーの皮は毛皮と言えるのかな。とりあえず出してみるけど。
「一応…毛皮なら持ってるけど、数はあんまり。これと、これは毛皮?」
「どれ、どんなのが…」
グネズミーの大皮と森影狼の毛皮、それとゴフテスの毛皮を男の前に出した。
「おい、これどこで取って来た? この辺どころか北の元帝国の森まで行かなきゃ取れないもんだが」
「? 多分…そこで取ったやつ」
「しかもこれはゴフテス? あいつ討伐されたのか? こっちには報告が上がっていないが」
「それは…倒さないとここにこれなかったから」
「は? マジ? い、いや、それよりそのことはギルドに報告したか?」
「……してない。しなきゃダメだった?」
「ダメってわけじゃねぇが、出来ればしてくれ。つーか報告したら多少なりとも報奨金が出るはずだが」
「え?」
なんですと? そんなの聞いていないんだけど。壁にいた人に言った時もそんなこと言ってなかったし、あ…でもセントリウスの街に入ってからは一度も話していないかもしれない。
「まあいいか。できれば後でギルドに報告しといてくれ。で、これなら十分に使える。この名前は聞いた事ねぇがネズミの皮でも出来る。ただ、使うならゴフテスか森影狼にしとけ。素材のランクが合わねぇし、使ったら十中八九性能が落ちる」
「そう、じゃあこれは無し」
グネズミーの大皮をインベントリにしまう。これで使うのはゴフテスかあの犬になったわけだけど、どっちがいいんだろうか。
「二つとも使うと性能が微妙になるから使うのは片方だけだが、どっちを使う。マントとの相性はゴフテスの方が上だ。属性が同じだしな。性能の方は単純に強化ってところだな。森影狼の方は、隠蔽とか強くはねぇが認識阻害系の能力が付くと思う。絶対じゃないが」
「森影狼の方で、…数は足りるの?」
隠蔽系の能力が付くなら犬一択だ。ただ能力強化じゃ私が使う分にはあんまり意味はないと思うし。
「そうか。数はこれぐらいのサイズなら1枚で十分足りる。値段の方は予算を若干超えちまうが、先に俺が足りるって言っちまってるから、3000ASだな。営業時間外になっちまうが時間の方はそんなに掛からねぇんだがどうする。2時間ぐらいだが今すぐ作るか?」
「可能なら…お願いします。その間にギルドの方に報告行ってくるから」
「それなら今から作るが、ギルド行ったら帰ってくるまでに3時間ぐらいかからないか?」
「大丈夫。さっき…もここに来るまで1時間くらいだったから」
「それならいいが。じゃあ9時までは開けといてやる。それ以降になるんだったら明日受け取りに来い」
「わかり…ました」
今回は道も覚えているし、その分時間も短縮できる。遅れそうだったら全力で走ればいいんだからそうしよう。そうして私は総合ギルドに向かった。
22
↓
私はかわいいテイムモンスターたちに囲まれてゲームの世界を堪能する
↓
森の中でひっそりと生活しようとしたのだが
いつの間にかハーレムになっていた
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