66 / 72
騒動の収束
ガーレット国からの手紙
しおりを挟むガーレット国からの騎士団がグレシア辺境伯家へ訪れてから約1月。
あれからガーレット国から何の音さたもありませんでした。
おそらくグレシア辺境伯様が予想していた通り、騎士団を向かわせたとはいえ、最初から私が戻ることはできないとわかっていたのでしょう。
「レミリア宛にガーレット国の国王と王太子の連名で手紙が届いたのだが」
そう言ってアレスが私の元に仰々しい封筒に入れられた手紙を持ってきました。
これまで何もなかったので今後もないと思っていましたが、ここに来てこれですか。内容が気になるところですが、同時に何が書かれているのかを確認するのが怖いですね。
「これは1度王宮を通して送られて来た物だから、既に内容は把握されている。さらに言えば父上も内容を確認し、レミリアに確認させても問題は無いと判断しているものだ」
「そうですか」
私に見せて問題ない。そうアレンシア王国が判断されたとはいえ、それはあくまでも国にとって問題になるようなことは書かれていない、そう言う事でしかありません。ただ、グレシア辺境伯様も同じように判断されたという事は、この手紙を読んでも不快になるようなことは書かれていないのでしょう。
そう判断して、封筒の中身を取り出して手紙の内容を確認します。
手紙の内容は確かに問題になるようなことは書かれていませんでした。
ガーレット国へ戻るように脅すような文言は一切なく、基本的に謝罪の言葉が書かれている感じです。
ただ、脅し文句のような物はありませんでしたが、やんわりと国へ戻らないか、現在婚姻を結んでいる者は次男であり、家名の継承権もないはずなので婚姻した状態で戻って来るのであれば、その者も受け入れることは可能である。
と言った感じの提案が記載されています。
また、私の実家であるオグラン侯爵家の現状を知らせる文章もありました。
この手紙に書かれていることが本当であれば、オグラン侯爵家は今回私が国外へ移動してしまったことも含め、いくつかの理由によりお取り潰しになってしまったようです。
手紙には私が逃げ出したことが原因、とは直接書かれていませんがおそらくいくらかは関わっている気がしますね。何故かお父様の処分理由がガーレット国に対する謀反となっていますが、これについてはよくわかりませんけれど。
まあ、お母さまが亡くなった事件の後から軍と王族に対して良い感情を持ってはいなかったようですから、その感情から何かをしたのかもしれません。
お父様はお母様の事が本当に好きでしたからね。
あの事件が起こる前から、軍には否定的でしたし、なるべくお母さまが軍の行動に関わらないよう意見を出して画策していたらしいです。まあ、王族の指揮下にある国軍にはその意見は却下され、結果としてあの事件が起きてしまった訳ですが。
そんな訳でお父様は昔からガーレット国の上位陣の事を信頼していませんでした。それが今回の謀反に繋がったのかもしれません。
それで、そのお父様なのですが、どうやら行方不明になっているようです。もし居場所がわかるようなら連絡をして欲しいと書かれています。
何となくお父様が居そうな場所に心当たりはありますが、私もガーレット国に良い感情は持っていませんので、関わりたくはありません。なので、連絡はしない方向にしようと思います。
23
お気に入りに追加
849
あなたにおすすめの小説
(完結)だったら、そちらと結婚したらいいでしょう?
青空一夏
恋愛
エレノアは美しく気高い公爵令嬢。彼女が婚約者に選んだのは、誰もが驚く相手――冴えない平民のデラノだった。太っていて吹き出物だらけ、クラスメイトにバカにされるような彼だったが、エレノアはそんなデラノに同情し、彼を変えようと決意する。
エレノアの尽力により、デラノは見違えるほど格好良く変身し、学園の女子たちから憧れの存在となる。彼女の用意した特別な食事や、励ましの言葉に支えられ、自信をつけたデラノ。しかし、彼の心は次第に傲慢に変わっていく・・・・・・
エレノアの献身を忘れ、身分の差にあぐらをかきはじめるデラノ。そんな彼に待っていたのは・・・・・・
※異世界、ゆるふわ設定。
父の大事な家族は、再婚相手と異母妹のみで、私は元より家族ではなかったようです
珠宮さくら
恋愛
フィロマという国で、母の病を治そうとした1人の少女がいた。母のみならず、その病に苦しむ者は、年々増えていたが、治せる薬はなく、進行を遅らせる薬しかなかった。
その病を色んな本を読んで調べあげた彼女の名前は、ヴァリャ・チャンダ。だが、それで病に効く特効薬が出来上がることになったが、母を救うことは叶わなかった。
そんな彼女が、楽しみにしていたのは隣国のラジェスへの留学だったのだが、そのために必死に貯めていた資金も父に取り上げられ、義母と異母妹の散財のために金を稼げとまで言われてしまう。
そこにヴァリャにとって救世主のように現れた令嬢がいたことで、彼女の人生は一変していくのだが、彼女らしさが消えることはなかった。
魔法が使えなかった令嬢は、婚約破棄によって魔法が使えるようになりました
天宮有
恋愛
魔力のある人は15歳になって魔法学園に入学し、16歳までに魔法が使えるようになるらしい。
伯爵令嬢の私ルーナは魔力を期待されて、侯爵令息ラドンは私を婚約者にする。
私は16歳になっても魔法が使えず、ラドンに婚約破棄言い渡されてしまう。
その後――ラドンの婚約破棄した後の行動による怒りによって、私は魔法が使えるようになっていた。
姉の引き立て役として生きて来た私でしたが、本当は逆だったのですね
麻宮デコ@ざまぁSS短編
恋愛
伯爵家の長女のメルディナは美しいが考えが浅く、彼女をあがめる取り巻きの男に対しても残忍なワガママなところがあった。
妹のクレアはそんなメルディナのフォローをしていたが、周囲からは煙たがられて嫌われがちであった。
美しい姉と引き立て役の妹として過ごしてきた幼少期だったが、大人になったらその立場が逆転して――。
3話完結
殿下は、幼馴染で許嫁の没落令嬢と婚約破棄したいようです。
和泉鷹央
恋愛
ナーブリー王国の第三王位継承者である王子ラスティンは、幼馴染で親同士が決めた許嫁である、男爵令嬢フェイとの婚約を破棄したくて仕方がなかった。
フェイは王国が建国するより前からの家柄、たいして王家はたかだか四百年程度の家柄。
国王と臣下という立場の違いはあるけど、フェイのグラブル男爵家は王国内では名家として知られていたのだ。
……例え、先祖が事業に失敗してしまい、元部下の子爵家の農家を改築した一軒家に住んでいるとしてもだ。
こんな見栄えも体裁も悪いフェイを王子ラスティンはなんとかして縁を切ろうと画策する。
理由は「貧乏くさいからっ!」
そんなある日、フェイは国王陛下のお招きにより、別件で王宮へと上がることになる。
たまたま見かけたラスティンを追いかけて彼の後を探すと、王子は別の淑女と甘いキスを交わしていて……。
他の投稿サイトでも掲載しています。
お姉様。ずっと隠していたことをお伝えしますね ~私は不幸ではなく幸せですよ~
柚木ゆず
恋愛
今日は私が、ラファオール伯爵家に嫁ぐ日。ついにハーオット子爵邸を出られる時が訪れましたので、これまで隠していたことをお伝えします。
お姉様たちは私を苦しめるために、私が苦手にしていたクロード様と政略結婚をさせましたよね?
ですがそれは大きな間違いで、私はずっとクロード様のことが――
まさか、今更婚約破棄……ですか?
灯倉日鈴(合歓鈴)
恋愛
チャールストン伯爵家はエンバー伯爵家との家業の繋がりから、お互いの子供を結婚させる約束をしていた。
エンバー家の長男ロバートは、許嫁であるチャールストン家の長女オリビアのことがとにかく気に入らなかった。
なので、卒業パーティーの夜、他の女性と一緒にいるところを見せつけ、派手に恥を掻かせて婚約破棄しようと画策したが……!?
色々こじらせた男の結末。
数話で終わる予定です。
※タイトル変更しました。
婚約者を奪われた私は、他国で新しい生活を送ります
天宮有
恋愛
侯爵令嬢の私ルクルは、エドガー王子から婚約破棄を言い渡されてしまう。
聖女を好きにったようで、婚約破棄の理由を全て私のせいにしてきた。
聖女と王子が考えた嘘の言い分を家族は信じ、私に勘当を言い渡す。
平民になった私だけど、問題なく他国で新しい生活を送ることができていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる