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辺境伯領での生活
討伐からの帰還
しおりを挟むグレシア辺境伯軍で働き始めてから3カ月ほどが経過しました。
アレスの指示が嘘だったことが判明してから、私は訓練中に怪我をした騎士の治療を行うようになりました。ただ、やはりヴァルグが治療を担当することが多いです。私が担当するのは、アレスとヴァルグが居ない際に怪我をした騎士の方のみです。
そして現在、訓練所には騎士の姿は殆どありません。
これまで大きな事件もなく領軍の回復士として働いていたのですけれど、大規模な討伐の依頼を受けたため数日前から領軍の多くがそのための遠征に行っているのです。
残念ながら私は居残り組として、訓練所でこれまでと同じように仕事をしています。ですが、ヴァルグは今回の遠征に回復士として従軍していますので訓練所には居ません。
それとヴァルグも戦う事も出来るらしいので、今回のような大規模な討伐の際は毎回付いて行っているようです。
私も戦えないことはないのですが、あくまでも護身術程度のため良くて盗賊までしか対応できませんので、従軍したとしても足手纏いにしかなりません。魔物と戦う、となれば自らの身を守ることが難しい私では従軍できないことは仕方のない事ですね。
どうあれ、皆さんが無傷で帰って来てくれれば最良なのですが、それは無理な話でしょうね。
グレシア辺境伯軍の皆さんを馬鹿にしている訳ではありません。
ですが、いくら鍛えたところで人が魔物の身体能力を上回ることは出来ないものなのです。それに数が多くなれば対応も難しくなります。
そうなれば怪我の1つや2つは当たり前のようにしてしまうものでしょう。特に今回は大規模な討伐なので何が起きるかなんてわかりません。
さて、予定通りでしたら、そろそろ帰ってくる頃なのですが、少し遅くなっているようですね。
連絡も無いようですし、何かあったのでしょうか。心配になります。
遅くなっているということは、想定よりも規模が大きかったのでしょうか。それとも、前と同じように予定よりも早終わったがために、近くの村や町で休憩でもして予定よりも遅れてしまっただけでしょうか。
前と同じようにと言うのは、私がここで働き始めてから1度だけ、予定よりも早く依頼が済んだため、長めの休憩を取っていたら天候が崩れて雨が降って来てしまい、結果、予定よりも帰還が遅れた、と言うことがあったのです。
その時と同じなら良いのですけれど……
そう思ったところで遠征に向かっていた領軍の皆さんが慌ただしく帰ってきました。しかし、戻って来たと言うのに安堵の表情ではなく鬼気迫る表情をしています。
嫌な予感がしたため、私はそちらに向かいました。
「っレミリアさん! 怪我人が出た。ヴァルグじゃあ応急処置しか出来ていないんだ! 至急、救護室の方へ向かってくれ!」
「了解しました!」
私にそう指示を出した騎士の方はすぐに別の所へ向かって行きました。おそらく、ここへ来たのは私を呼ぶためでしょう。
すぐに私は訓練所に併設されている救護室へ向かいました。
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