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妹は姉の婚約者が欲しい
何とかなりそうです
しおりを挟む窓に近付き、そこに居る鳥を優しく手元に移動させる。そして鳥の脚に括り付けられていた物を取ると、その鳥が最初からいなかったかのように虚空に消えていきました。
今、消えていった鳥は魔法によって作られた伝書鳥というもの。
魔法自体使える人が少ないから知らない人も多いけれど、魔法を使える人にとっては割と一般的な魔法ですね。まあ、大抵は鷹などの強くて移動速度の速い鳥をモチーフにするので、小鳥の形を取っている伝書鳥は珍しいと思いますけれど。
伝書鳥の脚に括り付けられていた物を広げる。
小鳥サイズの伝書鳥の脚に括り付けられていた物なので、広げてもそれほど大きな紙ではないですね。それでも、私が今朝送った手紙の返事としては十分な内容が書かれていて、読んだ限り私への返事としては色よい物だったので、私は胸を撫でおろしました。
私が手紙を送った相手は隣国、アレンシア王国で生活している幼なじみ。辺境伯の子息であり、辺境伯軍の副隊長をしているらしい人物。
最後に直接会ったのは5年以上前だけど、少し前まで年に数回は連絡を取っていたので、ある程度の近況は互いに把握しています。
まあ、辺境伯軍の副隊長になったことについては、手紙でのやり取りだけで直接確認した訳ではないので、本当かどうかはわからないのですけどね。私に嘘を吐く理由がないので本当の事でしょうけど、確認のしようがないので『らしい』なのです。
アレンシア王国は、5年前に亡くなったお母さまの出身国です。その関係でアレンシア王国の辺境伯に繋がりがある、という訳です。
お母さまは結婚する前まで辺境伯軍に従事していたらしく、それにより辺境伯の令息である幼なじみと出会ったという訳です。
妹であるリーシャは当時、遠出をすることを拒んだため、幼なじみとの直接な面識はありません。送られてくる手紙を読んだことがあるので、存在は知っている程度ですかね。
とりあえず、これで隣国への伝手に連絡がついたので、先の不安は多少改善しましたね。
後は、この屋敷を出るタイミングですが、お父さまや使用人たちは、私が屋敷から逃げ出すことを想定しているとは思えませんし、何とかなるでしょう。
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