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追加閑話

隠れ家

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 堀の中からようやく向けだし、魔物の森の中にある隠れ家に到着した。

 森の中は魔物が多く住んでいるが、ここは魔物除けの魔道具が常時起動しているので、この家の周囲であれば魔物に襲われる心配はほとんどない。稀に魔物除けの効果が無い存在もいるが、そういった魔物は力が弱い物がほとんどなので、少なくとも近付いてきたところで襲われることはまずない。

 背負っていたとはいえ、長い距離背負われていたことでアイリはかなり疲れている表情をしていた。
 出来れば早い内に今後について話しておきたいところだが、これは先に休息を取った方が良いかもしれない。それに俺もここに着くまでに結構気を張っていたからなのか、どっと体が重くなっていること気付いた。おそらく安心できる場所について気が抜けてしまっているのだろう。
 仕方ない。今日のところは早く休息をとって今後の事は明日話し合うことにしよう。


 翌日、余程疲れがたまっていたのか起きれば既に日は高くなっていた。これはどう見ても昼は確実に超えているだろう。
 隣のベッドで寝ていたアイリの様子を確認するが、既に起きていたようでそこにアイリの姿はなかった。

 ここにいなければあそこだろうと、少し狭い寝室から出てキッチンのある部屋に向かう。
 
 隠れ家は他の人に見つからないようにしているためかなり狭い。先ほどまでいた寝室も大きめのバッドを1つ置いただけでほとんどが埋まってしまうほどの広さしかない。今から向かうキッチンのある部屋も狭いが、普段過ごすスペースも兼ねているので寝室よりは広くなっている。

 狭く短い廊下を移動してキッチンのある部屋に行くと、アイリがキッチンの前で何かをしていた。俺もそうだがアイリも食事を作ることはできない。アイリはかろうじてそれっぽいものを作ることはできるが、俺は本当にダメだった。
 とはいえ、今のアイリではろくなことはできないだろう。

「アイリ」

 キッチンの前にいたアイリに声をかけるとこちらを向き、それから少し呆れた表情をしてきた。

「あら、やっと起きたの」
「ごめん」

 本当だったら俺のほうが先に起きて、動きにくくなっているアイリ補佐をすべきだったのに、実際は俺のほうが後に起きてきているわけだ。

「あなたの分はないわよ」

 俺がアイリのことを見ていたら、どうやら自分が食べているものを欲しがっていると思ったようで、アイリは俺から食べているものを守るように体を移動させた。

「え、いや。そうじゃなくて、その……大丈夫だったの?」
「はあ? 何それ。私には料理ができないって馬鹿にしてるの?」
「あ、ごめん。そうじゃなくて」

 料理があまりできないことを指摘されたと思ったらしく、アイリは怒りの表情で俺のことをにらんできた。しかし、俺にそんな意図はないのですぐに経て位の言葉をかけた。

「その…体――」
「あ?」

 俺がアイリの体の状態を指摘しようとした瞬間、アイリはすごい剣幕で俺のことをにらんできた。

「あなた。人が気にしないようにしているのにどうしてそんなことをいうのよ!」

 しまった。これは言わないほうがよかったか。
 俺に怒っている様子のアイリだったが、明らかに先ほどの落ち着いている様子ではなくなっている。どうやら本当に指摘してはいけない部分に触れてしまったようだ。

「ご、ごめん」
「ちょっとは自分の発言には気をつけなさいよ! どうして私があんたの言葉で嫌な思いをしないといけないのよ! そんなだからあなたは出来損ないの王族とか言われていたのよ」
「そ…そうだね」

 嫌な思いをさせてしまったのは申し訳ないし、そう言われていたのは事実だ。それに、今回みたいな迂闊な言動や行動が多かったのも今思えばそうだった。

「は?」

 しかしそんな俺の発言が気に食わなかったのかアイリの表情がさらに不機嫌になった。何が癇に障ったのかはわからないが、これもあまりいい発言ではなかったようだ。
 
「デリウス、あなたね。今までいいように使われていた相手に、こんなことを言われて、どうしてそんな態度をとれるの? 馬鹿なの? アホなの?」

 アイリが本当に馬鹿にしている表情でそう言ってきたが、俺はいいように扱われていたとか、そんな風に思ったことはない。
 だって俺もアイリのことを利用していたのだから。
 




 ―――――
 いろいろあってアイリは精神的に相当不安定になっています
 あと、元王子はもとから気はそんなに強くないです。最初の強気な態度は魔法の影響です
 
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