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貴方と共に歩むには

処遇

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 ロイドのお兄さんと言えば、最近侯爵家の当主になったとか言っていたあの人? いえ、お兄さんは2人居るとか言っていたから、当主ではない方かしら? 当主となればそう簡単に外に出る何てことは出来ないだろうし、もう1人の方の可能性が高いわね。

「ここのギルド長から連絡を貰ってね。まだ2人はここに居るから早く話をするならすぐに来いってさ」

 この言い方からしてこの人とギルド長はそこそこ親しい感じなのかもしれないわ。単にロイドの前だから言葉を崩して言っているだけかもしれないけれど。

「そう言うということは何か話すことがあるのでしょうか?」
「ああ、そうだよ。報告を受けているけど、君はレイア…さんでよかったかな?」
「ええ」

 おや? 私のことも知っているの? 報告って監視……いえ、ギルド長がさっきの報告はするって言っていたから、それかしら。

 確か、ロイドの兄の一人が騎士団の隊長をしているって聞いているからそっちの人? そもそもロイドの実家がどこにあるかなんて聞いていないし、聞く気もないけれど貴族の当主がこんなに直ぐ来られる訳ないわよね?

「そうか。なら君にも話したいことがあるのだけど、今いいかな?」

 いろいろあってこの後の予定も無くなってしまったし、時間自体はあるのだけど、どうしようかしら。
 うーん、まあ、断る理由もないし、断らない方が良いわね。
 そう思ってロイドの方を見るとこちらを窺っていたようで目が合った。

 目と目で語り合う、なんてまだ出来ないからあれだけど、おそらく受けて欲しいのだと思う。なので、私は同意の意味を込めて軽く頷いた。

「わかりました」
「レイアさんも大丈夫かな?」
「大丈夫よ」
「よかった。じゃあ、ちょっと着いて来てくれ。場所はこのギルドの中にある個室だから警戒しなくていい」
「そうですか」

 別に警戒はしていなかったのだけど、警戒心が薄いと思われない様に返事はしておいた。しかし、ギルドの個室ね。商談とか取引の話し合いの時に使う用かしら。

 ロイドの兄の後を着いて行く。私たちに話しかける前に了承を取っていたのか、すんなりギルドの奥にある個室へ入ることが出来た。


「さて、話をする前にやらないといけないことがあるんだ」
「何でしょうか?」
「騎士団を代表して謝罪をしなければならない。申し訳なかった」
「え? いえ、別にそう言ったものは要らないのですけど」

 ロイドの兄が私の方を向いて頭を下げて来た。

 ギルド長の判断で今回の被害と言うか迷惑を受けたのは私だけになっているからなのか、ロイドの方に謝罪している感じはない。まあ、家を出されていたとしても家族だから、内々で抗議はしているだろうけど。

「いや、そういう訳にはいかない。騎士団にも体面があるから、最悪形だけでもしておかないと後々問題になる可能性がある。それにレイアさんの場合は隣国の印章を持っている以上、何もしないでいると国家間の問題になる可能性もあるからね」
「ああ、なるほど、そういうことですか」

 しっかり対処したことを示さないと組織としての信用に関わるし、場合によっては国の問題にもなると。国に関わる組織は大変ね。私が言うべきことではないけれど。

「それに国に属する組織として多方面からの信用は重要だ。少しでも下手な態度をとるとそこをつついてくるような相手もいないわけではないからね」
「確かにそうですね」

 あの時、周囲に居た平民の反応からわかったのだけど、現状、騎士団は平民からは殆ど信頼はされていないみたいなのよね。

 これは現王政の方針からしたらあまり良い状況ではないでしょうね。今の状態が続けば平民の中に魔法の才能を持っている者がいたとしても、別の国へ行ってしまう可能性が高いわけだし。だからこうして騎士団に所属している上官が謝罪に来て、少しでも印象を良くしようとしているのでしょう。
 ただ、この国の住民ではない私にしてもあまり意味はないのだけどね。

「ああ。それで、今回のことで関わった騎士はこちらで処罰しておく。おそらく最低でも退団処分、君に剣を振り上げたやつに関しては上の判断を仰がないといけないから明確には言えないが、もっと重い処分になるはずだ」

 それが限界かなぁ。現王政に逆らったと言ってもあの馬鹿騎士以外は基本的に言動だけだし、まあ、余罪が出て来たら変わるだろうけどね。
 あの様子からして結構ありそうだから、さらに処分は重くなると思うけれど。

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