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自由にさせていただきます!

これで自由だ

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 あぁ……うん。とりあえず、アイリの失態は気付かなかったことにしよう。たぶんその内、匂いで誰かが気付くだろうけど、それは私には関係ないし。

「とりあえずは、まあ、これでいいでしょう」
「アイリ!?」

 王子……いや、国王自ら王族では無くすといったのだから元王子?がアイリを抱きかかえる。うーん、まだ魅了系の魔法は解けていない感じ? 別にいいのだけど、これも解いておいた方が……このままの方が都合はいいからいいか。

「それで、契約の方の話をしましょうか。国王」
「ああ、そうだな」

 不躾なことを言われても表情を変えなかった国王が顔を顰めた。余程、そのことについて話したくは無いようだ。

 まあ、話の内容は私が王子と婚約する際に、賭けとして国王と契約していたことについてだ。

 契約内容は、正式に婚姻する前に王子が私情で婚約破棄を宣言した場合、私がその後の生活を自由にして良いという物。
 逆に王子がそのままレイアとの婚約を進めていた場合は、レイアが国王からの指示を出された場合は必ず従うという内容。
 この言葉だけであれば、国王からの指示なのだから当たり前だと思うかもしれないけれど、この指示と言うのは人道的な物から外れている物も含むわけで、要するに殆ど奴隷と変わらない扱いを許容しなければならないと言うことだ。

「では、契約書を出しますね」

 ちょっとだけ国王を驚かせようと、胸元から丁寧に巻かれた羊皮紙を取り出してみる。

「お前は、何でそんなところにしまっていたのだ」
「ふふっ、面白いでしょう? まあ、別にここに隠していた訳ではないのですけれど」

 ネタ晴らし、ということで私は何もない空間からハンカチを取り出した。

「空間魔法です。使えると便利ですよ?」
「ふん。そんなものお前にしか使えないだろうよ。使用する魔力が多すぎるわ」

 国王の呆れたような物言いに満足し、取り出したハンカチを空間魔法でしまった。

「さっさと終わらせましょう」
「さっさとしろ」

 国王に急かされながらも、持っていた契約書に魔力を流し始めた。

「契約の是非を問う」

 私が魔力を通したことで光り始めていた契約書に向けて問う。すると、契約書に書かれていた文字がより光り始めた。
 そして数秒後、光が収まると同時に契約書の何も書かれていなかった場所に文字が浮かび上がっていた。契約が成立しなければ文字が浮かび上がってくることはないので――

「契約は成立ですね!」
「ああ、そのようだ。元よりわかっていたことだがな」
「そうですけれど、こうしなければ契約の効果は表れませんからね」
「ふん、まあ良い。今後、王宮を含む我が国は契約期間においてお前の行動には関与しない。予め決めていたことを済ませたら好きにすればよい。お前はもう自由だ」
「ええ!」

 そうしてようやく私は今まで自分を縛り付けていた物を取り払い、自由に生きる権利を手に入れた。
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