現実逃避のために逃げ込んだVRMMOの世界で、私はかわいいテイムモンスターたちに囲まれてゲームの世界を堪能する

にがりの少なかった豆腐

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ダンジョンいじいじ

マイダンジョン

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 アンゴーラによって表示されたウィンドウは、ダンジョンを操作するための設定画面だった。

「なるほど、ダンジョンの名称を決めてください……ね」
『今すぐ決める必要は無いぞ。後から変更することもできるのでな。まあ、その時にはダンジョンポイントが必要になるがの』
「安易にダンジョンの名前が変えられないようになっているのね」
『まあ、そういう事じゃな』

 どれくらいのダンジョンポイントが必要になるのかはわからないけど、最初にしっかりと名称は考えた方がいいよね。

 と言っても、そうそうパッと思いつくものではないんだけど。

 うーん。私のダンジョンだから、ミヨダンジョン? アバターネームそのままだと私が管理しているってバレるかも? あまり他のプレイヤーとかかわるつもりはないけれど、さすがにそのままは良くないかな。となればミヨノダンジョン。いや……侵入してきた人たちを倒すから、ミヨが管理しているダンジョン。ミヨガダンジョン? ネーミングセンスが無さすぎるけど、変に捻り過ぎてもねぇ。やりすぎると黒歴史になりかねないし、ミヨガダンジョンでいいか。
 何か嫌になったらダンジョンポイントを消費して変えればいいのだし。

 とりあえず決まったのでミヨガダンジョンと名称欄に打ち込む。

『決まったようじゃの。本当にこれでいいのかの?』
「うん、これでいい」
『それでは次に行くのじゃ』

 次のウィンドウに表示されていたのはダンジョンポイント(DP)の使い方と変換率だった。略称DPなのね。

『見ればわかると思うのじゃが、ダンジョンポイントを使うには妾が必要じゃ。ダンジョンポイントを使って何かをしたいと思ったら妾に話しかけるのじゃぞ。それと、ダンジョンポイントをアイテムやFsから得る場合の変換率は、100Fsで1DPとなっておる。アイテムは売値が対象じゃな。それと小数点以下のDPはしっかり反映されるが、数値としては見えないのじゃ』

 ふぅむ。リアルマネーでダンジョンポイントを稼ぐなら1円で10DPになると。だったら限界ギリギリまで課金して、それをガチャ分だけ残してそれ以外をFsにしてダンジョンポイントにすればいいかな。とりあえず、今あるOCは全部Fsに換金しよう。

「今からFsをDPに変えることは出来る?」
『ぬ? まあ、出来るが、なんじゃ、もうこの説明は要らんのかの』
「え? いや、いるよ」

 いちいち説明読むのは面倒だから嫌だし、聞いた方が記憶に残りやすいんだよね。というか何で説明要らないって思われたの?

『だったら、ポイントの変換はこの説明が終わってからじゃな』
「ん? …あ、了解。それじゃあ説明お願い」

 どうして説明が要らないって話になるのかと思ったけど、この先の説明でDPを使ってみるとかのチュートリアル的な部分があるのかも。

 若干、この状況にシュラ達が飽き始めている気配を感じながらアンゴーラの説明を待つ。

『うむ。では続きじゃが……』

 アンゴーラによるダンジョン運営の説明が続く。

 DPを使うことでダンジョンを成長させることが可能で、ダンジョン内に出て来るモンスターもDPを使うことで増やしたり、強いモンスターを出したりすることが出来るようだ。

 ゲートキーパーを倒すことで出て来る報酬の内容もDPを消費して決めることが出来る。ボーナスで出て来る宝箱も同じらしい。内容を指定していない場合、報酬は魔石固定になるらしい。

 今までゲートキーパーを倒した時に出て来た物の中で魔石が多かったのは、ダンジョン側が報酬を設定していなかったからなのかもね。たまに出て来た素材とかは、ダンジョンがそうなるように設定していたということかな。まあ、メタいことを言ってしまえば、固定ダンジョンとかは運営側が決めているんだろうけども。

 それと私がログアウトしてゲーム内に居ない場合でも、ダンジョンは挑戦者を受け入れなければならないようだ。居ないからといって誰も入れないようには出来ないらしい。そのため、早い内にダンジョンを成長させて簡単にクリアできないようにする必要があるようだ。
 ただ、最初にダンジョンが開かれるタイミングは、ダンジョンポイントを初めて使用したタイミングから1時間後らしい。使ったタイミングで入って来られるようになっていたら、簡単にクリアされてしまうので、そう言った猶予が無いと困る。いや、1時間でもかなり短いと思うけど。

『まあ、こんな感じじゃな。さらに詳しい説明が欲しいなら、妾に直接聞くか、ヘルプを確認するのじゃ』
「わかった」
『っと、忘れておったのじゃ』
「ん?」

 30分程で大体の説明は終わった。
 これでOCをFsに換金してから一旦ログアウトするかと思ったところで、アンゴーラが言葉を付け足してきた。

『ゲートキーパーのことなんじゃが、テイムモンスターをゲートキーパーとして配置することが可能なのじゃ』

 はい? 何ですと!?
 シュラたちをゲートキーパーに設定できるんだ……っていや待って。ゲートキーパーって倒されるのが前提だよね? という事は、ゲートキーパーに設定したら死んでしまうのでは?

「倒されたら復活できないシュラちゃんたちをゲートキーパーに設定するのは、ちょっと無理かなぁ」
『いや、ゲートキーパーに設定したテイムモンスターは、倒されても復活するのじゃ。ダンジョンの中で出て来るモンスターは倒しても次の時には復活しておるじゃろ? それと同じようにテイムモンスターも復活するのじゃ』
「え? 本当に?」

 まあ、確かにダンジョンの中で固定されたモンスターは何度攻略しても同じように出てくるし、プレイヤーがテイムしたモンスターも配置さえすれば同じように復活するんだ。まあ、それならいいかな? いいのかな?

『まあ、復活させる際にはDPが必要になるのじゃが。普通、復活に必要なDPはモンスターを配置する際に必要になるDPと同じ量が必要じゃから、DPが足りなくて復活できない場合もありえなくはないがの。すぐに復活できない場合は、一時的に復活は保留扱いになるのじゃ』
「さすがに何の消費も無く復活はできないのね。まあ当たり前か。それでも、すぐに復活できない時に即消滅みたいなことにならないのはありがたいんだけど」

 普通に戦っていたら死、即消滅のところを復活できるようにしてくれているのは有難いことではあるんだよ。でも一時的に死んでしまうのは間違いないんだよね。それを受け入れられるかどうかは人によってかわると思う。死んでも消滅しないのはいいんだけどね。私的にはあまり気乗りはしない。

 ただ、実はテイムモンスターには戦闘経験値と言う隠しステータスがあるらしいんだよね。これはレベルアップのための経験値とは別物で、敵と戦うことで得られるものらしいくて、強い敵の方がより多く得られるっていうものが。
 死んだらそこまでのテイムモンスターにとって、この戦闘経験値を得るのは極めて難しいわけですよ。格下相手だと獲得量が減るらしいから格上と戦うべきなんだけど、それだと死ぬ可能性が高まるから下手に格上と戦わせるわけにもいかないっていう。

 そんな中で死んでも復活することが出来るというのは、戦闘経験値を得る上で非常に有用なものなんだよね。嫌だけど、設定した方がいいのは間違いないんだよね。
 まあ、ダンジョンに適度に強いプレイヤーが来なければ意味はないけどさ。そうなると、プレイヤーがたくさん来るようにダンジョンを弄る必要があるわけなんだけど、どうしようかな。

 あれ? ちょっと待って。シュラたちをゲートキーパーに設定したら連れ出せなくなるんじゃ? ゲートキーパーとしてその場にいないといけないわけだし、連れ出したらその階層通過されちゃうのでは?

「あの、シュラちゃんたちをゲートキーパーに設定したら外に連れていけなくなる……よね?」
『いや、連れていけるのじゃ。ただ、その場合は能力が2割くらい低い劣化コピーが代わりのゲートキーパーになって、挑戦者と戦うことになるがの』
「なるほど」
『それと、その劣化コピーが戦って勝った場合は経験値などもしっかり獲得できるのじゃ。まあ、負けた場合は何も手に入らないがの。ただ、弱くなる分、復活に必要なDPは少し減るがの』
「ふむ」

 設定した上で連れ出すデメリットは少し弱くなるくらいなんだ。
 倒されやすくなるというのは良くないけど、連れ出しても問題がないのは良かった。それにコピーが勝っても経験値をもらえるのは助かるね。さすがに戦闘経験値まではもらえないとは思うけど。

『言い忘れておったのはこんなところじゃな』
「そう」

 いろいろ試したいことが出て来たし、このダンジョンをどんな感じに弄るかも考えないとね。とりあえず、シュラたちをゲートキーパーとして設定しようとは思うけど。

 今後の予定をどうするかを考えていると、不意に装備の裾が引っ張られた。

「ん?」

 引っ張られたところを見ると、どうやらぷらてあがやったようだ。今までこんなことをされたことは無いんだけど、何だろう?

「どうしたの?」
「じかん……だいじょうぶ?」
「時間? って、あ!」

 そろそろログアウトしないと拙い。思いの外、アンゴーラの説明に時間を取られたせいで強制ログアウトまであまり余裕がなくなっていた。残り時間が10分ちょっと。さすがにここまで少ない時間でダンジョンを弄ることは無理である。

「ぷらてあちゃん、言ってくれてありがとう。とりあえず時間的にログアウトしないと拙いね」

 ぷらてあの頭を撫でながら周囲を見渡す。そう言えばここから出るにはどうすればいいんだろう。ダンジョンの説明を受けていたから忘れていたけど、転移陣もないし。まあ、ここでログアウト出来るならそれでいいんだけど。

「アンゴーラちゃん。ここってログアウト出来るの?」
『ログアウト? ログアウト、というのはよくわからぬが、ここはダンジョンマスターの自室扱いじゃから寝ることは出来るのじゃ。外に出るのならダンジョン操作一覧から可能じゃな』

 アンゴーラも一応NPCだからログアウトっていうのがわからないのか。でも、寝ることが可能ってことは、ログアウトは出来るみたいだね。

 今からダンジョンの外に行って近くの町でログアウトってなると、微妙に時間が足りない気がするからここでログアウトしちゃおう。

 そうして私は地面に寝そべり、そのままログアウトした。


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