現実逃避のために逃げ込んだVRMMOの世界で、私はかわいいテイムモンスターたちに囲まれてゲームの世界を堪能する

にがりの少なかった豆腐

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ダンジョンの奥

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 次の階層は……さっきの階層と同じ見た目……だね?

 まあ、2階層目だけあって、前の階層と比べて道幅が若干広く……そんなに変わらないけど、既にモンスターと言うかウサギが出現している。

 ウサギのサイズが少し大きくなっているから、種族が違うのだろうね。変わっているよね? レベルが上がっているとかではなく。

 ちょっと不安になって看破を使ってみたところ種族がフットラビットに変わっていた。前の階層に居たのはただのウサギだったので変わったことは確かなようだ。
 レベルも10に上がっているけど、ゴブリンと同じくらいのステータスなので苦戦することは無いだろうし、そもそも数が少ないから近付いて来たウサギから順に倒していけば囲まれることもない。

 そしてしばらく進みながら、襲い掛かって来るフットラビットを倒し続け、前の層と同じような開けた場所に出た。

 奥に進む道も無いので、他のダンジョンと同様にここがこの階層の終点ということなんだと思う。

 さて、今度のゲートキーパーは何だろうか。さっきみたいに数で攻めて来るタイプか、1匹のみか、それとも数匹?

 開けた場所の中を中心に向かって進む。なかなかゲートキーパーが出て来ていないなー、と考えていたところで、頭上から何かが落ちて来たため、咄嗟に後ろに飛び退いた。

 上から降ってきたのは大きさが1メートルを優に超えそうなデカい灰色の毛玉……いや、ウサギだった。それを確認したら直ぐに看破を使う。


[(ダンジョンボス)ビッグラビット LV:15 属性:なし]
 HP:1200
 MP:150
 総合攻撃力:104
 総合防御力:90
 スキル:不明


 あれ? ゲートキーパーじゃなくてダンジョンボス……なの?
 まさかこのダンジョン2階層で終わり? いやいや、このボス自体はゴブリンダンジョンよりもレベルは高いんだけどさ。ただ、ステータスがちょっと低いね。スキル面で強いのかもしれないけど、不明だからよくわからない。

 今更だけど、このうさぎって頭上から落ちて来たというよりは、最初は端の方に居て私たちがこの場所の真ん中に近付いて来たタイミングで目の前に飛び込んで来ただけっぽい。
 上をチラッと確認したら何もなかったから、おそらくそう。

 まあ、そんなこと考えていないで、このうさぎがボスとして出て来たのだからさっさと戦って倒すことにしよう。

 そんなことを考えている内にビッグラビットが飛び上がった後、こちらに向かってのしかかりを仕掛けて来たので、回避する。シュラたちに至っては私よりも早くビッグラビットの攻撃範囲から逃れていた。

「ぷらてあちゃん、朱鞠ちゃんはビッグラビットを拘束して。その後は状態異常をかけて攻撃。私とシュラちゃんは拘束出来次第攻撃で」
「わかり…ました」
「シュ」
「わかったのです」

 私の指示に従って朱鞠が、攻撃後の硬直なのか動けなくなっているビッグラビットを糸で拘束し始める。ある程度朱鞠の糸がビッグラビットに絡みついたところで、その上からさらにぷらてあが蔦で拘束する。

 FSOは基本的にパーティーを組んでいればフレンドリーファイアは発生しない。そのため、ぷらてあから伸びている蔦を攻撃しても、おそらくぷらてあにダメージが入るようなことはないはず。試したことがないからわからないけど。
 朱鞠の糸は相手を拘束した段階で拘束アイテムと言うかオブジェクト?のような状態になり、それを攻撃し一定のダメージを与えてしまうと糸は消滅してしまう。こっちは確認したから確実。

 ビッグラビットを身動きが出来ない状態にしたので、私とシュラは攻撃を開始すした。朱鞠も糸を自分の体から切り離した段階で攻撃に移っており、既にビッグラビットにダメージを与えている。

「攻撃、なのです!」
「ライトランス!」

 ぷらてあに拘束された上、毒と麻痺の状態異常を受けているビッグラビットは動くこともできず、シュラの攻撃を受けて大幅にHPバーを減らした。

 そして私の攻撃や朱鞠による攻撃、ぷらてあによるドレインなどを一気に受け、ビッグラビットは拘束されてから1分も経たない内にHPが全損し、ポリゴンへと変わっていった。

 ダンジョンボスであるビッグラビットを倒したことで、ボス討伐報酬の宝箱が出現した。しかし、いつもとは異なり、外へ出るための転移陣がなぜか出て来ていない。

 おかしい、そう思いながらもとりあえず宝箱の中身を確認する。
 宝箱の中には一応魔石が入っていた。ただ、数は3個で他にビッグラビットの素材がいくつか入っているだけだったけど。
 中身を取ったことで宝箱が消えていく。宝箱が消えたことで何か変化がある可能性があるので周囲を確認する。

「宝箱の中身を取っても転移陣は出てこない…ね。これ、どうやって外に出るんだろう?」
「出られ…ないの?」
「いや、うーん」

 私の言葉に反応して、ぷらてあが心配そうに声を掛けて来た。
 しかし、周囲を見渡すも何か変わった部分は見当たらない。来た道を戻ったところで、次の階層に進むための転移陣は一方通行なので戻ることは出来ない。
 もしかしたら、入ってきた所に転移陣が出ている可能性もあるので、周囲を一通り確認して何の進展もなければ確認しに行こう。

「どうしようかなぁ」

 色々と確認したけれど、これといって外に出るようなギミックが見つかることはなかった。

「なんか穴が開いた……です」
「ん?」

 流石にこのまま外に出られないのは嫌だったので、GMへ連絡塩用としたところで、シュラが何かに気付いたのか私の装備している防具の端を引っ張ってきた。それに気づいた私はシュラが指差している方を確認した。するとそこには今までなかった先に進むための穴らしきものが開いているのが見えた。

「ふむ。よく見つけたね、偉いよシュラちゃん」

 さっき確認した時は無かった気がしたのだけど、とりあえず見つけたシュラをねぎらって頭を撫でておく。

「やったです!」

 頭を撫でられて嬉しそうにしているシュラを見てほっこりする。

 しかし、先ほどまでなかったと記憶している以上、あの穴は宝箱を開けた後に出現したんだろうけど、あのあたりって先に確認したはずなんだけどね。場所的にも見逃すようなこのではないし、なーぜー?

 まあ、ここから先に進目るところが出て来た以上、そこに進むしかないのだけど。

『ふふふ。よくぞ我が僕を打ち倒した挑戦者たちよ! そなたらに我に会う権利を与えるのじゃ! さあ、目の前にある穴の先へ進み、こちらに来るが良いぞ!』
「ん?」

 先に進もうとしたら何処からともなく変な声が聞こえて来た。

 アナウンス……ではないね。アナウンス用のログには残っていないし。という事は、シュラたちにも聞こえて……いたようみたい。シュラが声の主を探して周囲を窺い、ぷらてあは首を傾げ、朱鞠は……無反応に見えるから聞こえていたのかよくわからないけど。

 これはいった方がいいんだよね? イベントみたいな感じだろうし。まあ、そこしか先に進むルートがない以上、拒否することもない。なんとなく、相手の指示に従って進んでいるようになってしまっているのが気に食わないけど。

 罠の可能性もあるので、十分に警戒して進んでいく。

 近づいてみれば、先に進むために開いたと思われる穴はそれほど大きくなかった。上部はアーチ状になっているけれど高さは2.5メートルくらいで、横は1メートルといったところ。

「ふーむ」
「ですー」
「?」

 穴の中は普通に通路になっていた。直ぐ向こうに空間が広がっているように見えるので、通路の長さは10メートルもない感じだ。

 そして通路が終わり、先の空間に到着。
 そこはダンジョンボスがいた場所とは異なり、とても小さな空間だった。変わらない所と言えば、この空間に何一つ物がないところだろうね。まあ、真ん中に存在している小さい生物を除けばだけど。

『よく来たのじゃ! 我が名はアンゴーラ。このダンジョンのダンジョンマスターであるぞ!』

 そこには小さな毛の長いウサギが堂々と鎮座していた。


ーーーーー

NAME:ミヨ
種族:ドラゴンレイス
職業:テイマー
ギルドランク:E (83P)
LV31 +11
HP(ヒットポイント):905 / 905 +275
MP(マジックポイント):1005 / 1005 +275
SP(スタミナポイント):955 / 955 +365(STP:20)

STR:290(0)(120) +55
VIT:310(45)(95) +55
INT:420(45)(206) +55
MND:390(24)(206) +55
AGI:217(42)(40) +33(STP:10)
DEX:116(18)(0) +10(STP:30)
LUK:810(0)(700) +33
STP(ステータスポイント):65
※ステータス数値の次の()は装備による増加量、その次の()はスキルによる増加量。+はLVアップ時の上昇量、もしくはSTPによる増加量との合計

スキル:13 / 16
光魔法 LV11 INT+90+55 MND+30+22
竜体 LV12 VIT+55 MND+55 
テイム LV27 テイム可能LV27+アバターLV(最大LV30)
育成 LV39 追加経験値量+30%MAX 補正値増加(微)
補助魔術 LV21 INT+42 MND+42
回復魔術 LV19 INT+19 MND+57
素手格闘 LV40 STR+120 VIT+40 AGI+40
危険察知 LV19 罠・敵対存在感知(小)
幸運の流れ星 LV3 危機的状況に陥るなどの特殊な状況に居る場合、一定確率でその状況を打破する何かが起きる
激運 LV7 LUK+700
ドロップ率増加 LV26 ドロップアイテム増加36%
看破 LV29 看破可能LV29+アバターLV
鑑定 LV28 鑑定可能ランクC

称号:見習いテイマー ダンジョンの初発見者 ダンジョン初クリア者 

装備
武器:白蘭の黄玉短杖 INT+37 MND+22
頭:テイマーの耳飾り テイム成功率が微上昇する テイマー関係のスキル経験値の取得量が微上昇する
胴:調教師の服 VIT+15 MND+2
腕:細工の腕輪 DEX+18
腰:調教師の服 
脚:疾風の軽靴 AGI+42
アクセサリー 4 / 5:知恵の指輪 INT+8
増魔の髪飾り MP回復量微増 +0.5%
フォートレスリング VIT+30
守りの腰飾り 状態異常抵抗(小)

従魔(3 / 3):シュラ LV 29(サファイアスライム) ぷらてあ LV 23(アルラウネ) 朱鞠 LV22(デススパイダー)

Fs:それなりにある
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