現実逃避のために逃げ込んだVRMMOの世界で、私はかわいいテイムモンスターたちに囲まれてゲームの世界を堪能する

にがりの少なかった豆腐

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インスタントダンジョン

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 1週間ほどが経過しました。

 この1週間はただ、ダンジョンに潜り素材を集め、その殆どを育成スキルに注ぎ込む。これを繰り返していただけ。途中、ちょっと飽きてフィールドのモンスターを倒したりもしたけど、やっぱり周囲にプレイヤーがいたから視線が気になってあまりいい気分ではなかった。

 結果として、私のレベルも上がっているし、シュラ、ぷらてあ、朱鞠のレベルも軒並み上がっている。

 ぷらてあが進化したら緑肌の女の子になって背丈が小学生くらいになったり、朱鞠が進化したら前足?が鎌っぽくなったりしたけれど、ある程度は想定ないかな。さすがに朱鞠の前足が凶器になったのはちょっと驚いたけど。

 ぷらてあの進化についてはもとがヒト型だったし、朱鞠についても鎌持ちの大蜘蛛と言うのは割と創作の中で見る。ついでに鎌はカマキリの腕ような物ではなく、農具の方の鎌です。


『NAME:ぷらてあ 種族:アルラウネ LV:1 属性:樹木
 HP:410 / 410 MP:300 / 300
 STR:82(7) INT:190 総合攻撃力:138
 VIT:284(4) MND:295(75) 総合防御力:289
 AGI:120 DEX:130
 スキル:蔓・毒・回避LV8・拘束LV10・ドレインLV8・惑い香LV7・言語・麻痺毒 』


『NAME:朱鞠 種族:デススパイダー LV:1 属性:毒
 HP:380 / 380 MP:230 / 230
 STR:270(10) INT:135 総合攻撃力:202
 VIT:110 MND:120 総合防御力:115
 AGI:350(60) DEX:176 
 スキル:噛みつき・糸・毒攻撃LV5・拘束LV8・麻痺牙・粘着糸・鎌攻撃 』


 ぷらてあはアルラウネに、朱鞠がデススパイダーに進化した。

 スキルに関しては、ぷらてあが新しく麻痺毒を覚えて、朱鞠は毒牙が毒攻撃になり見た目通りに新しく鎌攻撃を覚えた。

 ぷらてあがさらに嫌なスキル構成になったんだよね。
 ステータスが完全に耐久型になっているから、捕まったらほぼ負け感がさらに増した。FSOは複数の状態異常が同時に掛けることが可能なので、拘束した後に毒らせた上に麻痺らせて、混乱させる、そしてドレインの効果で拘束に抵抗した際に受けたダメージを回復と。

 うん。初手で倒すか動きを封じないと捕まったら勝ち目が殆どない。
 何か別ゲーで出て来た高耐久の触手モンスターみたいな感じになっているけど、見た目は美少女?なので一部のプレイヤーにとってはご褒美なのかもしれない。
 まあ、ぷらてあはSTRが低めだから、麻痺らなければゴリ押しで逃げ出せそうなことろが救いと言えば救いかな。

 朱鞠に関しては拘束状態から直接麻痺に持って行けない分、逃げやすいかもしれない。ただAGIが高いし、次点がSTRだからそんなに変わらない気もする。
 むしろ朱鞠の方が速攻で殺しにくるタイプだから、こっちの方が私は嫌かな。ただ、粘着糸は罠として使えるし、連携することを加味すれば朱鞠の方がわるくないかなぁ。ぷらてあの拘束は、ぷらてあから触接生えたツルで拘束するからちょっと攻撃しずらいんだよね。ダメージが入るわけではないんだけど。

 進化したぷらてあは緑色の美少女。よくある?美少女植物系モンスターのアルラウネです。衣装と言うか纏っている物が蔦なんだよね。しかも局部しか隠していないタイプの見た目が際どいやつ。小学生くらいの背丈なのに結構えっち。
 テイムできるって知ったら他のプレイヤーがこぞってテイムしようとしそう。

 朱鞠は進化して種族がデススパイダーになったわけだけど、サイズは殆ど変わらなかったよ。ただ、先に言ったように前足が鎌状になったし、今まで体にあった赤い線が無くなって真っ黒になった。……名前。


 さて、本日はFSOがサービスを開始して初めての公式イベントだ。
 まあ、既にイベントは始まっているけど。イベント自体は特別エリアで開催されているので、大半のプレイヤーはそのエリアに移動している。

 私はと言うと、未だに通常エリアのフィールドを移動している。

 大会に参加するつもりは最初からないし、出たところで勝てるとも思えない。賭けの方にも参加していないので本当にノータッチである。
 イベント終わったら、掲示板とかかけを外したプレイヤーたちの怨嗟の叫びであふれそうだよね。

 そんなことを考えながら第2エリアにある森の中を進む。
 既に第3エリアに進んではいるけれど、ぷらてあと朱鞠のレベル上げに使う素材を得るために戻って来ている。

 数日前だったら取引掲示板で売られている素材を買えばよかったのだけどさ。多くのプレイヤーが第3エリアに移動してしまったことで第2エリアからプレイヤーが減って、さらに新緑のダンジョンは不人気であるため、そこで取れる素材の流通量が激減してしまったのだ。

 なので、自ら取りに来ているんだけど、シュラたちのレベル的にここの素材では碌にレベルが上がらなくなっているので、別にここの素材を使わなくても良いかもなぁ、とは思い始めている。まあ、そうしたとしても、何かマスクデータがありそうなので一切使わないとはならないけども。

 ふーむ?

 新緑のダンジョンに向かっていたところで、少し道から外れた所にダンジョンらしき穴があることに気付いた。

 今まで気付かなかっただけ……ううん。毎回新緑のダンジョンに行く時にこの道を通っていたから、あの辺りも確認したことはあるはず。しかし、何かあったという記憶はない。
 という事は、新緑のダンジョンからはまだ少し距離があるから、新しく別のダンジョンでも実装されたとか? 公式イベント中のこのタイミングで? いや、少し前からあった可能性もあるか。

 気になったので道から外れそこへ向かう。ダンジョンらしき穴がある場所は道からそれほど離れた場所ではないので、直ぐにそこに辿り着いた。

 穴は大岩と地面を抉り取ってできた感じの物で、大岩の方は人工的と言うか不自然な抉られ方をしている。穴自体は地下に続いているようだけど、中に入る前に鑑定しておいた方がいいかも。

「鑑定。……ん?」

 鑑定で出たのもが少しの間、理解できず首を傾げる。鑑定によって目の前に出現したウィンドウにはこう表示されていた。


『インスタントダンジョン 難易度:E 未攻略』

 
『インスタントダンジョンを初めて発見しました』


 インスタントダンジョンねぇ。即席ってことだろうから、出来立ての可能性もある? 今まで一切見なかったし、掲示板でも話題に上がっていなかったから、いつの間にかサイレントで追加されたのかもしれない。

 うーん、あ。適性レベルの表記もあるのね。それで、このダンジョンの適正レベルは12と。既に苦戦することなくクリアできる新緑のダンジョンが15だから、余裕でクリアできる範囲だ。

 鑑定で出た限りシュラたちが危険にさらされるようなことはなさそうなので、このままダンジョンアタックをすることにしよう。

「中に入るよ」
「はいです」
「うん」

 相変わらず朱鞠は返事をしていないけど、しっかりと後について来ているので問題ない。
 最近何でか何故か最近ぷらてあが朱鞠の上に乗って横着し始めているんだよね。戦いになれば降りているし朱鞠も気にしている様子がないから何を言うつもりはないんだけど、朱鞠は重くないのかな。ぷらてあがヒューマプレンテの時に一度抱っこしたとき、結構重さはあったと思うんだけど。


 ダンジョンの中は洞窟状になっていた。見た目的には第1エリアに在ったゴブリンダンジョンと同じ感じ。……さすがに敵も同じでゴブリンとかはないよね? さすがに飽きている相手と戦うのは嫌なんだけど。

 暫くダンジョンの中を進む。敵が一切出て来ていないのだけど、どういうことなのか。このままゲートキーパー一直線なのか、それとも一階層しかない上にダンジョンボスしかいないというオチ?
 いやでも、今まで進んで来た距離的にモブモンスターが居ないのも変だよね。

 そんなことを考えながら進んでいると、ようやく少し先にやや開けた場所が見えた。
 これまでのパターンからしてモンスターハウスかゲートキーパーあたりだと思うけど、どうだろう。

 うーん……あー、これはモンスターハウスかな。でも先に続く道が見えないから、モンスターハウスそのものがゲートキーパーとかそんな感じかも。

 開けた場所に居たのはウサギ。それも第1エリアのフィールドに居るよわよわモンスター。数自体は100以上居そうだけど苦戦する程でもないし、そもそも攻撃を食らってもおそらくダメージは受けないくらいにステータスの差がある敵だ。

「大して強くない敵だから近い奴から倒していってね」
「です!」

 私の指示を聞いてシュラたちはウサギたちに向かって飛び出して行った。朱鞠に至ってはAGIの高さ故か、私の声を聞いた次の瞬間にはウサギに攻撃を与えていた。しかもスキルによる攻撃ではなくただの体当たりによる攻撃。その上、それで跳ね上げたウサギがポリゴンに変わっているところを見るに、やはりステータスの差は相当あるみたいだ。

 シュラは体の一部を武器に変えてウサギを攻撃し倒している。ぷらてあは私の隣に居るけど、腕から伸ばした蔓を鞭のように振るいウサギを攻撃している。ぷらてあでも割と一撃で倒せているようなので、やっぱりこのウサギはよわよわのようだ。
 一応私も光魔術で攻撃しているんだけど、朱鞠とシュラの殲滅速度が尋常ではないのであまり数は倒せそうもない。

 そうして、1分も経たないうちにウサギの大半がポリゴンに変わり、1分を少し過ぎたころには全てのウサギが倒され消えていた。

「終わったです」
「シュ……」
「ちょっと…疲れました」

 ウサギを全滅させた後、離れていたシュラと朱鞠が戻ってきた。疲れる程の戦闘ではなかったと思うけど、普段とは少し違う戦い方だったしぷらてあ的には疲れることだったのかもしれない。
 朱鞠が戻ってきた瞬間、速攻で上に乗っていたから本当に疲れていたのかは疑問だけど。

 ウサギを全滅させたことでこの場所の真ん中あたりに転移陣と、ゲートキーパーの討伐報酬である宝箱が出現した。
 そして、報酬である宝箱を開けてみると中にはウサギの毛皮×100だけが入っていた。

 あれ、おかしいな。いつもなら魔石が入っているはずなのに、ここは素材のみ? それとも、インスタントダンジョンはこれが普通というパターンなのかな?

 まあ、入っていなかったのだから、このダンジョンでは入っていない物と思っていた方がこの後に落胆することはなくなるかな。

 そう判断して、私たちは次の階層へ転移した。

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