現実逃避のために逃げ込んだVRMMOの世界で、私はかわいいテイムモンスターたちに囲まれてゲームの世界を堪能する

にがりの少なかった豆腐

文字の大きさ
上 下
14 / 45
ダンジョン

サクサク進むよ

しおりを挟む
 

 出て来たゴブリンは6体だった。まあ、もう6体どころか1体も居ないんだけどね。本当に弱いよゴブリン。
 目の前でポリゴンになって消えていくゴブリンを見て、心の底からそう思った。


『ゲートキーパーを倒したことで次の階層に繋がるゲートが表れました。次の階層に進む場合はゲートキーパー戦闘エリア内に出現した転移陣の上に乗り、次の層へ移動を選択してください』


 ゲートキーパーを倒すことで出現したのは次の層への転移陣。それと宝箱が目の前に出てきた。
 既に宝箱は開けて中身を確認しているのだけど、入っていたのは魔石(小)が6個だけだった。宝箱だからもっといい物が入っていると思ったらこれだったから、結構気落ちした。まあ、ゴブリンを倒して出て来た宝箱だから妥当と言えば妥当だけどさ。

 それとゴブリンたちを倒したことでレベルが上がった。道中でもゴブリンを多く倒していた結果、私のレベルが10に到達した。そして、スキル取得可能枠が1つ追加されたので近接戦闘用のスキルを取得した。

 取得したスキルは素手格闘。
 これを選んだ理由は、今の私のメイン火力が光魔術だから。スペック的にこのアバターは魔法も物理戦闘もこなせる万能型で、その片方だけを使うっていうのは宝の持ち腐れでしかない。それに魔法しか使えなくて敵が近くまで来てしまったときに対処できるすべがあると安心という理由もある。
 まあ、そんな感じで、新しいスキルを取得したのだ。

 スキルの取得と、状況確認のために使った時間でMPも大分回復したから次の層に向かう。そう言えばこの転移陣は外にあった魔法陣と似ているね。

 入口にあった魔法陣を思いだしながら、次の層に向かうために転移陣の上に乗る。


『転移陣を起動します。
 次の層に移動しますか? 
 もしくはここで攻略中断を選択することも可能です。攻略中断を選択した場合、ダンジョン入口に設置してある転移陣へ転送されます』


 あー、やっぱり、入口にあったのは転移陣だったのね。それに中断ってことは、あそこからダンジョン内に入る事も可能かもしれない。

 ま、その辺の機能はまだ使わないからいいか。さっさと先に進んで、ダンジョンの最奥まで行ってみよう。という事で次の層へ移動を選択した。



 2層目も1層目と変わらない感じの通路が続いている。そして出て来る敵も同じくゴブリンだけ。

 出て来るゴブリン自体はレベル7と、1層目に出て来たゲートキーパーと同じにはなっているがやっぱり弱い。素手格闘スキルの最初に覚えていた2回連続で殴る【連撃】だと1度で倒すことは出来ないけど、その前か後に1発殴っていれば倒せるので、今のところ光魔術は使用していない状況が続いている。

 あっと。弓を持ったゴブリンが出てきたね。洞窟内だと弓の取り回しは微妙な気もするけど、初の遠距離攻撃持ちの相手だ。慎重に戦いを進めよう。

 弓ゴブリンが弓矢を放ってくる。放たれた弓矢は山なりに私に向かって迫って来ているけど、速度が遅いので余裕で回避できる。そして弓矢を回避して直ぐに弓ゴブリンへ距離を詰め、牽制パンチから連撃を使いゴブリンをポリゴンに変えた。

 弓を持ったところで所詮はゴブリンか。まあそうだよね。
 倒す前に看破を使って調べてみたんだけど、別にアーチャーゴブリンとか弓ゴブリンではなく、普通のゴブリンだった。単純に持っている武器がこん棒から弓に変わっただけだったようだ。

 さらに進んで行くとこん棒持ちのゴブリンの中にちらほら弓を持っているゴブリンが混ざり始めた。倒すこと自体は難しくないのだけど、弓矢にも一々気を止めないといけない状況は正直疲れる。こういうのが出て来ると広範囲に影響のある魔術スキルが欲しくなるよね。

 この分だとこの階層の一番奥には魔術を使うゴブリンが出てくるかもしれない。弓とは異なり魔術系はスキルが無いと発動できないから、弓矢と違って攻撃速度が遅くなるようなことは無いはず。そこは気を付けないと。まあ、ゴブリン故のMPの少なさがあるから、そこまで脅威ではないとは思うけども。

 そうして私は周囲を警戒しながら、さらにダンジョンの奥に進んで行った。


 
 2層目のゲートキーパーは層目と同じくゴブリン6匹。ただし、1層目とは異なり、前衛3、後衛3の構成で、後衛の中に魔術を使って来るゴブリンが居た。

 魔術を使って来るそのゴブリンの名前は他とは異なりゴブリンメイジとなっていた。まあ、魔術を使うとは言っても所詮はゴブリンだから、数発魔術を使っただけでMPが尽きていた。しかし、厄介な相手ではあった。

 そのゴブリンメイジが使ってきた魔術は攻撃魔術ではなく、補助魔術だった。そして使って来た種類は1種類のみ。
 それはAGIを上げる補助魔術で、補助魔法を掛けた相手は前衛のゴブリンではなく、後衛の弓持ちのゴブリン。補助を掛けるなら前衛の方が良いだろうと思ったんだけど、これが意外と厄介だった。

 私は2層目に入ってからは素手格闘スキルしか使っていなかった。それで問題なくゴブリンは倒せていたし、ゲートキーパーの前衛ゴブリンも倒せていた。しかし、速度を強化された弓持ちゴブリンは素早く動き、想定外に私の攻撃を避けた。

 確かに、素手格闘のスキルはSPの消費が少なく、武器も使わないため光魔術よりも継続戦闘には向いている。しかし、魔術のように攻撃が飛んでいく訳でもなく武器を使わない分攻撃範囲が狭い。だから、元からAGIが高めのゴブリンだと少しでも移動速度が上がると攻撃が当て辛くなってしまった。

 まあ、リアルスキルがあれば問題ないのだろうけどさ。現実で格闘技の経験がある訳でもないし運動神経がすごい良い訳でもない私がどうにかできる程甘くはなかった。

 しかも、AGIは攻撃速度にも影響があるのか弓矢の速度が上がり危うく当たりそうになった時もあった。ただ、素手格闘で倒しにくいなら光魔術を使えばいいのだから、負けることは無いのだけどな。

 という訳で、2層目のゲートキーパー戦も多少の苦戦もあったものの、被ダメージもなく勝つことが出来た。それで戦いの後に出て来た宝箱に入っていたのは1層目と同じ魔石(小)だけ。

 そう言えば魔石って育成スキル以外で使うとどうなるんだろう? 他のゲームだと武器の強化に使えたりするんだけど、FSOでも同じなのかな。



 転移陣に乗り次の階層に移動する。さて次の階層だね。


『転移陣を起動します。・・・・・・第3層に転移しました』


 転移エフェクトの光が薄まり第3層の光景がはっきり視認できるようになった。壁、床、天井と今までの光景と変わりはない。ただ、第1・2層に比べて道幅が倍くらいに広がり、天井の高さも同じように高くなっていた。

 これは、ゴブリンよりも大きなモンスターが出て来る可能性があるのかな? もしくは、この空間を生かせるような動きが出来るゴブリンが出て来る可能性もあるとか? とりあえず何が出ても対応できるようにしておこう。

 ゴブリン以外のモンスターが出ていきなり攻撃してくる可能性があるから、周囲を警戒しながら奥に進んで行く。

 進んで行くとちらほらモンスターが出て来るが今のところ出て来ているのはゴブリンだけ。第2層のゲートキーパーだったゴブリンメイジも出ては来てきてはいるけど、問題なく倒せている。


 進んで行くとさらに広い場所に出た。まだ奥に進むための道があることからゲートキーパーが出る場所ではなさそうだけど、さて、ここは何のために設定された場所なのか。

 ……ああ、いや、嫌な予感と言うか他のゲームの経験からして、どのような場所なのかは何となくわかるよ。あまり理解はしたくないけどね。

 そして、私がその空間に踏み込んだ瞬間に、道の奥のから大量のゴブリンが目の前の開けた空間に殺到して来た。
 見る限り出て来たゴブリンは今まで戦ったことのある種類が大半のようだ。中には見たことのない装備をしているゴブリンもいるけど数が多いからそんな余裕もないし、それは戦いながら確認することにしよう。

 もうここまでくれば他の可能性は無いよね。予想を否定することも出来ない。そして、これから何が起こるかを想像する必要もない。


 そう、ここはモンスターが大量に湧く、モンスターハウス的な場所だ。

しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

神速の冒険者〜ステータス素早さ全振りで無双する〜

FREE
ファンタジー
Glavo kaj Magio 通称、【GKM】 これは日本が初めて開発したフルダイブ型のVRMMORPGだ。 世界最大規模の世界、正確な動作、どれを取ってもトップレベルのゲームである。 その中でも圧倒的人気な理由がステータスを自分で決めれるところだ。 この物語の主人公[速水 光]は陸上部のエースだったが車との交通事故により引退を余儀なくされる。 その時このゲームと出会い、ステータスがモノを言うこの世界で【素早さ】に全てのポイントを使うことを決心する…

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます

里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。 だが実は、誰にも言えない理由があり…。 ※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。 全28話で完結。

沢山寝たい少女のVRMMORPG〜武器と防具は枕とパジャマ?!〜

雪雪ノ雪
ファンタジー
世界初のフルダイブ型のVRゲーム『Second World Online』通称SWO。 剣と魔法の世界で冒険をするVRMMORPGだ。 このゲームの1番の特徴は『ゲーム内での3時間は現実世界の1時間である』というもの。 これを知った少女、明日香 睡月(あすか すいげつ)は 「このゲームをやれば沢山寝れる!!」 と言いこのゲームを始める。 ゲームを始めてすぐ、ある問題点に気づく。 「お金がないと、宿に泊まれない!!ベットで寝れない!!....敷布団でもいいけど」 何とかお金を稼ぐ方法を考えた明日香がとった行動は 「そうだ!!寝ながら戦えばお金も経験値も入って一石三鳥!!」 武器は枕で防具はパジャマ!!少女のVRMMORPGの旅が今始まる!! ..........寝ながら。

貴方がLv1から2に上がるまでに必要な経験値は【6億4873万5213】だと宣言されたけどレベル1の状態でも実は最強な村娘!!

ルシェ(Twitter名はカイトGT)
ファンタジー
この世界の勇者達に道案内をして欲しいと言われ素直に従う村娘のケロナ。 その道中で【戦闘レベル】なる物の存在を知った彼女は教会でレベルアップに必要な経験値量を言われて唖然とする。 ケロナがたった1レベル上昇する為に必要な経験値は...なんと億越えだったのだ!!。 それを勇者パーティの面々に鼻で笑われてしまうケロナだったが彼女はめげない!!。 そもそも今の彼女は村娘で戦う必要がないから安心だよね?。 ※1話1話が物凄く短く500文字から1000文字程度で書かせていただくつもりです。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

処理中です...