29 / 33
第29話 リミット
しおりを挟む
川の傍でキャンプをしていた人たちが焚き火も食事も何もかも放り出して、大慌てで森の中に逃げ込んだ。
そりゃそうでしょ。何せ巨大なレッドドラゴンが自分たちに向かって飛んでくるのだから。
そこへドラゴンが悠々と着地すると、わたしはその背から飛び降りた。
敵意は無いとばかりにフレイチェが川岸に横たわる。
「皆さん、わたしです! エリンです! 大丈夫ですから出て来てください!!」
森の中に逃げ込んだ人たちがわたしに気づいて恐る恐る出てくる。
「エリンさん? あぁ、本当だ、エリンさんだ。何が起きたかと思いましたよ」
「アランさん、指輪はちゃんと妹さんに渡しましたよ。それよりも皆さん、今から皆さんを一気に運びます。準備をしてもらえますか?」
急いで荷物をまとめるよう指示したわたしは、次いで呪文をつぶやきながら円を描くように川岸を歩いた。
歩きながら、懐から出した白く丸い石を撒いていく。
すると、そこに薄っすらと光るフィールドが現れた。
直径十メートルほどの円形の結界だ。
本来は敵を近寄せないための結界だが、範囲を示すにはちょうどいい。
「この中に入ればいいのね?」
「えぇ。狭いですけど何とか入ってください」
わたしが何らかの魔法を使うのだと悟った人々が、整然とフィールド内に集まり始めた。
とはいえ、馬車もあるし馬もいる。これでもギリギリのサイズだ。
皆がフィールドに入るのを確認すると、わたしは叫んだ。
「悪魔王ヴァル=アールよ。血の盟約に従い、我が力となれ!」
「おうともさ!」
少し離れた位置から様子を見ていた二足歩行の白猫が華麗にジャンプすると、空中で魔導書――悪魔の書へと変化し、わたしの左手にスポっと収まった。
なめし革の真っ白で滑らかなハードカバーの表紙。金色に浮き出た悪魔王ヴァル=アールの紋様。ため息が出るほど美しい本だ。
これこそ悪魔王ヴァル=アールの棲む地上最強の魔導書・蒼天のグリモワール。
「エグレーデレ ヴィルガン ヴィルトゥーティス(出でよ、力の杖)!」
わたしの足元を中心に強烈な風が渦巻くと、左手に持っていた悪魔の書がパラパラっとめくれ、中からゆっくりと真っ白な短杖が出てきた。
右手で杖を引き抜き、構える。
「悪魔王ヴァル=アールの名において、風の支配者エアリアルに願いたてまつる。此の地より彼の地へ、この者たちを運ばんことを。飛行領域!」
光のフィールドがそっくりそのまま浮いていく。
マンタだ。光る巨大マンタの背中に円形結界ごとそっくり乗っている。
「ななな、なんだこりゃぁぁあ! だ、大丈夫なのかね!?」
「あわわわわ、あんたぁぁぁぁ!!」
「皆さん、多少揺れますが落ちることはありません! わたしを信じてじっとしていてください!」
皆を落ち着かせるよう叫ぶと、次いでフレイチェを呼んだ。
「フレイチェ、フライマンタは一度に大量に運べるぶん、あまり高くは飛べないの。せいぜん五メートルくらい。だからフレイチェは頭上から誘導して!」
「分かりました!」
フレイチェは一気に上昇すると、ミナスの街に向かって飛び始めた。
「よし、フライマンタ、行きなさい!」
ドラゴン形態のフレイチェに遅れること数秒。
ドラゴンを追いかけるように、人々を背中に乗せたフライマンタが飛んでいく。
すんなり川を渡ったフライマンタは、フレイチェの誘導に従い、グルリと大回りした。
なにせ、全長十五メートルのフライマンタが地上五メートルの高さで飛ぶのだ。
森は狭すぎて通れないので、別の道を行くしかない。
フライマンタを操るわたしの傍に、皆が戦々恐々としながら寄ってくる。
「し、信じているからね、エリンちゃん……」
「まかせてください、皆さん!」
わたしは自信たっぷりに胸を叩くと、彼らにとびっきりの笑顔を見せた。
超絶美少女の笑顔に、皆の顔が少し緩む。
とはいえ、実際問題、そんな程度で恐怖が完全に消えるわけがない。
フィールドを張って落ちないようにしているのだが、そんなの理屈じゃない。
だって、人間は空を飛べるようにできていないんだもん。
でもちょっとだけ我慢して。
空を飛ぶくらいのことをしなきゃ結婚式に間に合わないの!
そうしてきっかり三十分後、恐怖体験は終わり、わたしたちは無事ミナスの街の広場へと着陸したのであった。
そこからは戦場だった。
花嫁・アニエスの兄でもあるパン屋のアランは妹との久々の再会を祝う暇さえなく、オデール夫妻から大量のタマゴを受け取ると、行商人ジャックの馬車に乗っていそいそと横町の食堂『ウミガメ亭』へと出かけていった。
アランならケーキ作りの補佐ができるはずだ。
ケーキはこれで何とかなる。次は……。
わたしは、何が起きているのかとキョロキョロ辺りを見回しているデザイナーのエレーヌに声をかけた。
「エレーヌさん、この街でお店を開いたばかりの教え子さんって、ひょっとしてクラーラさんって名前だったりします?」
「えぇ、そうよ! あたしエリンちゃんにクラーラのこと話したっけ?」
「やっぱり! エレーヌさん、クラーラさんが手に怪我をしました。クラーラさんの代わりにウェディングドレスを仕上げてくれませんか?」
「何だって!? そりゃ大変だ。あたしに任せな! 誰か、クラーラの店まで案内を頼むよ!」
「あ、じゃあ私が行きますよ!」
宿屋の女将・カリーナとエレーヌが連れ立って出かけていく。
『エリンお姉ちゃん、僕も来たよ!』
ちょうどそこへ、チビドラゴン・ロヴィーとその背に乗った新郎・ディオンが到着する。
「エリンさん、ほら、桃を持ってきましたよ! これ、どうすればいいですか?」
「ディオンさんはその桃を横町の食堂に急いで届けて! その後すぐ服屋さんに向かうのよ。あなたのお母さん――女将さんが先に行ってるわ。そこでタキシードに着替えて待機! 急いで!!」
「は、はい!!」
わたしの迫力に気圧されたか、ディオンが慌てて店から走って出ていく。
人間形態に戻ったロヴィーが、同じく人間形態に戻ったフレイチェに抱き着きながら、わたしに向かって声をかける。
「ねね、僕は何をすればいいの?」
「ロヴィー君は時間までリングボーイの練習。フレイチェ、ロヴィー君の余所行きのお洋服なんてある?」
「そんなこともあろうかと、うちの子供の小さい頃の服を持って来てあるよ。フレイチェさん、ロヴィー坊やと一緒に二階に来てくれるかい?」
「は、はい」
手伝いに来ていたご近所さんがフレイチェ、ロヴィーを連れ立って、二階へと上がっていく。
「何とかなりそうかな?」
いつの間にか隣に立っていた白猫アルが横目でわたしを見る。
「何とかなるわよ」
わたしはアルに向かってウィンクしてみせた。
そりゃそうでしょ。何せ巨大なレッドドラゴンが自分たちに向かって飛んでくるのだから。
そこへドラゴンが悠々と着地すると、わたしはその背から飛び降りた。
敵意は無いとばかりにフレイチェが川岸に横たわる。
「皆さん、わたしです! エリンです! 大丈夫ですから出て来てください!!」
森の中に逃げ込んだ人たちがわたしに気づいて恐る恐る出てくる。
「エリンさん? あぁ、本当だ、エリンさんだ。何が起きたかと思いましたよ」
「アランさん、指輪はちゃんと妹さんに渡しましたよ。それよりも皆さん、今から皆さんを一気に運びます。準備をしてもらえますか?」
急いで荷物をまとめるよう指示したわたしは、次いで呪文をつぶやきながら円を描くように川岸を歩いた。
歩きながら、懐から出した白く丸い石を撒いていく。
すると、そこに薄っすらと光るフィールドが現れた。
直径十メートルほどの円形の結界だ。
本来は敵を近寄せないための結界だが、範囲を示すにはちょうどいい。
「この中に入ればいいのね?」
「えぇ。狭いですけど何とか入ってください」
わたしが何らかの魔法を使うのだと悟った人々が、整然とフィールド内に集まり始めた。
とはいえ、馬車もあるし馬もいる。これでもギリギリのサイズだ。
皆がフィールドに入るのを確認すると、わたしは叫んだ。
「悪魔王ヴァル=アールよ。血の盟約に従い、我が力となれ!」
「おうともさ!」
少し離れた位置から様子を見ていた二足歩行の白猫が華麗にジャンプすると、空中で魔導書――悪魔の書へと変化し、わたしの左手にスポっと収まった。
なめし革の真っ白で滑らかなハードカバーの表紙。金色に浮き出た悪魔王ヴァル=アールの紋様。ため息が出るほど美しい本だ。
これこそ悪魔王ヴァル=アールの棲む地上最強の魔導書・蒼天のグリモワール。
「エグレーデレ ヴィルガン ヴィルトゥーティス(出でよ、力の杖)!」
わたしの足元を中心に強烈な風が渦巻くと、左手に持っていた悪魔の書がパラパラっとめくれ、中からゆっくりと真っ白な短杖が出てきた。
右手で杖を引き抜き、構える。
「悪魔王ヴァル=アールの名において、風の支配者エアリアルに願いたてまつる。此の地より彼の地へ、この者たちを運ばんことを。飛行領域!」
光のフィールドがそっくりそのまま浮いていく。
マンタだ。光る巨大マンタの背中に円形結界ごとそっくり乗っている。
「ななな、なんだこりゃぁぁあ! だ、大丈夫なのかね!?」
「あわわわわ、あんたぁぁぁぁ!!」
「皆さん、多少揺れますが落ちることはありません! わたしを信じてじっとしていてください!」
皆を落ち着かせるよう叫ぶと、次いでフレイチェを呼んだ。
「フレイチェ、フライマンタは一度に大量に運べるぶん、あまり高くは飛べないの。せいぜん五メートルくらい。だからフレイチェは頭上から誘導して!」
「分かりました!」
フレイチェは一気に上昇すると、ミナスの街に向かって飛び始めた。
「よし、フライマンタ、行きなさい!」
ドラゴン形態のフレイチェに遅れること数秒。
ドラゴンを追いかけるように、人々を背中に乗せたフライマンタが飛んでいく。
すんなり川を渡ったフライマンタは、フレイチェの誘導に従い、グルリと大回りした。
なにせ、全長十五メートルのフライマンタが地上五メートルの高さで飛ぶのだ。
森は狭すぎて通れないので、別の道を行くしかない。
フライマンタを操るわたしの傍に、皆が戦々恐々としながら寄ってくる。
「し、信じているからね、エリンちゃん……」
「まかせてください、皆さん!」
わたしは自信たっぷりに胸を叩くと、彼らにとびっきりの笑顔を見せた。
超絶美少女の笑顔に、皆の顔が少し緩む。
とはいえ、実際問題、そんな程度で恐怖が完全に消えるわけがない。
フィールドを張って落ちないようにしているのだが、そんなの理屈じゃない。
だって、人間は空を飛べるようにできていないんだもん。
でもちょっとだけ我慢して。
空を飛ぶくらいのことをしなきゃ結婚式に間に合わないの!
そうしてきっかり三十分後、恐怖体験は終わり、わたしたちは無事ミナスの街の広場へと着陸したのであった。
そこからは戦場だった。
花嫁・アニエスの兄でもあるパン屋のアランは妹との久々の再会を祝う暇さえなく、オデール夫妻から大量のタマゴを受け取ると、行商人ジャックの馬車に乗っていそいそと横町の食堂『ウミガメ亭』へと出かけていった。
アランならケーキ作りの補佐ができるはずだ。
ケーキはこれで何とかなる。次は……。
わたしは、何が起きているのかとキョロキョロ辺りを見回しているデザイナーのエレーヌに声をかけた。
「エレーヌさん、この街でお店を開いたばかりの教え子さんって、ひょっとしてクラーラさんって名前だったりします?」
「えぇ、そうよ! あたしエリンちゃんにクラーラのこと話したっけ?」
「やっぱり! エレーヌさん、クラーラさんが手に怪我をしました。クラーラさんの代わりにウェディングドレスを仕上げてくれませんか?」
「何だって!? そりゃ大変だ。あたしに任せな! 誰か、クラーラの店まで案内を頼むよ!」
「あ、じゃあ私が行きますよ!」
宿屋の女将・カリーナとエレーヌが連れ立って出かけていく。
『エリンお姉ちゃん、僕も来たよ!』
ちょうどそこへ、チビドラゴン・ロヴィーとその背に乗った新郎・ディオンが到着する。
「エリンさん、ほら、桃を持ってきましたよ! これ、どうすればいいですか?」
「ディオンさんはその桃を横町の食堂に急いで届けて! その後すぐ服屋さんに向かうのよ。あなたのお母さん――女将さんが先に行ってるわ。そこでタキシードに着替えて待機! 急いで!!」
「は、はい!!」
わたしの迫力に気圧されたか、ディオンが慌てて店から走って出ていく。
人間形態に戻ったロヴィーが、同じく人間形態に戻ったフレイチェに抱き着きながら、わたしに向かって声をかける。
「ねね、僕は何をすればいいの?」
「ロヴィー君は時間までリングボーイの練習。フレイチェ、ロヴィー君の余所行きのお洋服なんてある?」
「そんなこともあろうかと、うちの子供の小さい頃の服を持って来てあるよ。フレイチェさん、ロヴィー坊やと一緒に二階に来てくれるかい?」
「は、はい」
手伝いに来ていたご近所さんがフレイチェ、ロヴィーを連れ立って、二階へと上がっていく。
「何とかなりそうかな?」
いつの間にか隣に立っていた白猫アルが横目でわたしを見る。
「何とかなるわよ」
わたしはアルに向かってウィンクしてみせた。
2
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
お嬢様。あなたの推し巫女、私なんですが ~TSメイド、異世界繁忙記~
蕪菁
ファンタジー
『画面の向こうで、信念を貫こうとする彼らに憧れていた』
アクション俳優。特にスーツアクターを夢見る佐伯 良太は、通り魔事件に巻き込まれてしまい二十一年の人生に幕を閉じる。
だが失われたはずの意識は覚醒し、彼は見知らぬ世界でアデーレという少女の身体を与えられてしまった。
ここはロントゥーサ島。魔獣が現れる辺境の小島。
十六歳となったアデーレは、貴族に仕えるメイド、そして『火竜の巫女』という二つの肩書を背負い、日々を懸命に生きていく。
それは、今も憧れる特撮番組の主人公たちのような……そんな生活である。
機械ゴーレムに管理された世界で、長い眠りから目覚めた天才魔技師は真の能力を発揮。メイドと一緒にほのぼのスローライフを目指す
わんた
ファンタジー
世界大戦が始まり、魔技師のジャザリーは地下シェルターに入ってコールドスリープをする。その間に、人間が作りだした自立思考する機械ゴーレムが、人間を管理する世界に変わっていた。
目覚めたジャザリーは、機械ゴーレムが管理する都市から追放された人間から事情を聞き出すと、地上の世界と決別すると決めた。
機械ゴーレムを作る魔技師として、道具に使われる人類が許せなかったのだ。
シェルター内で平和に過ごすと決意すると、理想の生活環境を作るために動き出した。
彼女がいなくなった6年後の話
こん
恋愛
今日は、彼女が死んでから6年目である。
彼女は、しがない男爵令嬢だった。薄い桃色でサラサラの髪、端正な顔にある2つのアーモンド色のキラキラと光る瞳には誰もが惹かれ、それは私も例外では無かった。
彼女の墓の前で、一通り遺書を読んで立ち上がる。
「今日で貴方が死んでから6年が経ったの。遺書に何を書いたか忘れたのかもしれないから、読み上げるわ。悪く思わないで」
何回も読んで覚えてしまった遺書の最後を一息で言う。
「「必ず、貴方に会いに帰るから。1人にしないって約束、私は破らない。」」
突然、私の声と共に知らない誰かの声がした。驚いて声の方を振り向く。そこには、見たことのない男性が立っていた。
※ガールズラブの要素は殆どありませんが、念の為入れています。最終的には男女です!
※なろう様にも掲載
死亡フラグを回避しつつ、苛め役令嬢Bはツンデレが過ぎる悪役令嬢を全力で推していきたいと思います。
ryon*
ファンタジー
恋愛小説の世界に飛ばされてしまった女子大生、佐竹 美里。
しかもヒロインでも悪役令嬢でもなく、小説内では名も無き苛め役令嬢Bに生まれ変わってしまったらしい。
だから推しである悪役令嬢 レイチェルを守りつつ、さっさと物語を進めて彼女を別の王子様とくっ付ける事で全てを終わらせ、第二の人生を謳歌してやろうと考える。
しかし物語のヒロインであるはずの、アリシアに突然声を掛けられて…
***
異世界ファンタジーというよりは、邪道なコメディです。
表紙絵は今回も、つたないながらも自作です。
私のスキルは共感能力。何それ?役に立つの?
みるみる
恋愛
地球で占い師をしていたるなが、侯爵令嬢チョコとして転生し、学園で活躍するお話です。
タロットカードを作って占い師になったり、恋をしたり、悩んだり、意地悪な女の子と闘ったりしながら、友達と共に成長していくお話です。
※小説家になろうにも投稿中
私は何も知らなかった
まるまる⭐️
恋愛
「ディアーナ、お前との婚約を解消する。恨むんならお前の存在を最後まで認めなかったお前の祖父シナールを恨むんだな」 母を失ったばかりの私は、突然王太子殿下から婚約の解消を告げられた。
失意の中屋敷に戻ると其処には、見知らぬ女性と父によく似た男の子…。「今日からお前の母親となるバーバラと弟のエクメットだ」父は女性の肩を抱きながら、嬉しそうに2人を紹介した。え?まだお母様が亡くなったばかりなのに?お父様とお母様は深く愛し合っていたんじゃ無かったの?だからこそお母様は家族も地位も全てを捨ててお父様と駆け落ちまでしたのに…。
弟の存在から、父が母の存命中から不貞を働いていたのは明らかだ。
生まれて初めて父に反抗し、屋敷を追い出された私は街を彷徨い、そこで見知らぬ男達に攫われる。部屋に閉じ込められ絶望した私の前に現れたのは、私に婚約解消を告げたはずの王太子殿下だった…。
婚約者が高貴なご令嬢と愛し合ってるようなので、私は身を引きます。…どうして困っているんですか?
越智屋ノマ@甘トカ【書籍】大人気御礼!
恋愛
大切な婚約者に、浮気されてしまった……。
男爵家の私なんかより、伯爵家のピア様の方がきっとお似合いだから。そう思って、素直に身を引いたのだけど。
なんかいろいろ、ゴタゴタしているらしいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる