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第363話 回想と追いかけっこ
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オレの名前は『みたらし』。
三歳の柴犬だ。
――思えば、ボクがYouTuberを始めたのは、『くるみゆべし』のファンだったからなんだよな。
何やらパパさんが、コーヒー片手にボーっと何か考えている。
こういう時は邪魔せず、傍でジっとしているのが利口な犬ってもんだ。
オレはアキレスを咥えると、パパさんの傍で伏せった。
――あのチャンネルを見たから、うちの『みたらし』もスターになれるんじゃないかって思ったんだけど、現実はそんなに甘いもんじゃなかった。一年経ったけど、思ったようにはいかなかったな。
パパさんがオレの背中を撫でる。
うんうん、苦しゅうない。
――でも、再生回数も収入もまだまだだけど、心は幸せになった気はする。生まれてくる赤ちゃんの為にも、頑張らないとな。
などとパパさんが考えているとき、オレは自分のしっぽを追いかけていた。
左回りで必死に追うも、これがなかなか追いつけないんだ。
このオレを置いてけぼりにする程の速さ、半端ないぜ。
……なんの話だっけ?
どんまい、パパさん。
そしてオレはいつか必ずこのしっぽに追いついてやるぜ!
三歳の柴犬だ。
――思えば、ボクがYouTuberを始めたのは、『くるみゆべし』のファンだったからなんだよな。
何やらパパさんが、コーヒー片手にボーっと何か考えている。
こういう時は邪魔せず、傍でジっとしているのが利口な犬ってもんだ。
オレはアキレスを咥えると、パパさんの傍で伏せった。
――あのチャンネルを見たから、うちの『みたらし』もスターになれるんじゃないかって思ったんだけど、現実はそんなに甘いもんじゃなかった。一年経ったけど、思ったようにはいかなかったな。
パパさんがオレの背中を撫でる。
うんうん、苦しゅうない。
――でも、再生回数も収入もまだまだだけど、心は幸せになった気はする。生まれてくる赤ちゃんの為にも、頑張らないとな。
などとパパさんが考えているとき、オレは自分のしっぽを追いかけていた。
左回りで必死に追うも、これがなかなか追いつけないんだ。
このオレを置いてけぼりにする程の速さ、半端ないぜ。
……なんの話だっけ?
どんまい、パパさん。
そしてオレはいつか必ずこのしっぽに追いついてやるぜ!
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