YouTuber犬『みたらし』の日常

雪月風花

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第342話 新たなYouTuber

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 オレの名前は『みたらし』。
 三歳の柴犬だ。

 パパさんと行った散歩から帰ってくると、お向かいさん家のお兄ちゃんが家のすぐ外で、自撮り棒を付けたスマホに向かって何やらボソボソ喋っていた。

 なんだあれ。

 オレが唐突に止まったのを見て不審に思ったのか、パパさんがオレの視線の先を見る。

 ――なんだあれ。

 そうやってオレとパパさんがしばらく眺めていると、お兄ちゃんが気付いて寄って来た。

 ――あ、お向かいのおじさん。難しいですね、カメラに向かって喋るって。
 ――おじさん……。何やってたの?
 ――いや、家でグデグデしているのも何なんで、ボクもYouTuberやってみようと思って試しに撮ってたんですよ。
 ――へぇ、キミ、YouTuberやるんだ。それはそれは。あ、でも撮る時には自分の名前とか住所とかが特定されないよう、撮影場所や角度とか、充分に注意して撮るんだよ。
 ――へぇ。勉強になるなぁ。

 お向かいさん家のお兄ちゃん、意外と真剣にパパさんのアドバイスを聞いている。 

 本当にYouTuberやるの? お向かいさん家のお兄ちゃん。
 あんまりおススメは出来ないけど、やるからには頑張るんだぞー。
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