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第314話 一万人
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オレの名前は『みたらし』。
三歳の柴犬だ。
「喜びの舞だ! どゆこと? どゆこと?」
スマホを見ていたママさんがいきなり大声を出した。
なになに? どうしたの? ママさん。
オレはリビングのママさんの傍に行った。
オレに気付いたママさんが、スマホを見せてくれる。
そこに映っていたのは、六畳一間に住む柴犬『ぜんざい』と、その飼い主であるオジサンだった。
どこかで見たことのあるようなホテルの玄関前でオジサンが両手両足を変に振りながら、妙テケレンなダンスを踊っている。
それを柴犬の『ぜんざい』がじーっと見てる。
なんていうか、シュールだ。
――あ、ここ、前泊まったホテルだ。へぇ、あそこ行ったんだ。ほら、『みたらし』、覚えてない?
あぁ! どおりで見たことあると思った。
――えっとなになに? 登録者数一万人を記念して、ホテルに行ってみました? あ、ホントだ。登録者数が一万人超えてる。凄いねぇ。
ママさんが興奮して叫ぶ。
登録者数が一万人だって? それってパパさんの何倍だ?
――パパもこのくらい登録者数が多いといいんだけど。
ママさんがそう言って笑う。
どんまい、パパさん。
そしてパパさんの動画には、パパさんの動画にしかない良い部分があるんだ、きっと。
三歳の柴犬だ。
「喜びの舞だ! どゆこと? どゆこと?」
スマホを見ていたママさんがいきなり大声を出した。
なになに? どうしたの? ママさん。
オレはリビングのママさんの傍に行った。
オレに気付いたママさんが、スマホを見せてくれる。
そこに映っていたのは、六畳一間に住む柴犬『ぜんざい』と、その飼い主であるオジサンだった。
どこかで見たことのあるようなホテルの玄関前でオジサンが両手両足を変に振りながら、妙テケレンなダンスを踊っている。
それを柴犬の『ぜんざい』がじーっと見てる。
なんていうか、シュールだ。
――あ、ここ、前泊まったホテルだ。へぇ、あそこ行ったんだ。ほら、『みたらし』、覚えてない?
あぁ! どおりで見たことあると思った。
――えっとなになに? 登録者数一万人を記念して、ホテルに行ってみました? あ、ホントだ。登録者数が一万人超えてる。凄いねぇ。
ママさんが興奮して叫ぶ。
登録者数が一万人だって? それってパパさんの何倍だ?
――パパもこのくらい登録者数が多いといいんだけど。
ママさんがそう言って笑う。
どんまい、パパさん。
そしてパパさんの動画には、パパさんの動画にしかない良い部分があるんだ、きっと。
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