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第295話 見慣れぬ自販機
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オレの名前は『みたらし』。
三歳の柴犬だ。
――なんだこれ。
散歩の途中、パパさんが自販機の前で足を止めた。
オレたちの目の前の駐車場の一角にいきなり自販機が出現している。
この道はちょこちょこ通っているけど、こんなところに何も無かったぞ?
――寿司の自販機だって。
お寿司? 自販機で?
――冷凍されて入っているのか。自然解凍四時間で美味しく頂けますと。え? 四時間も待つの? まぁでも面白そうではある。うん、お昼用に買って帰ろう。
え? 買うの? ……物好きだねぇ、パパさん。
パパさんは自販機に千円札を入れて、出てきた寿司を持ち帰った。
ねぇ、まだ?
帰宅してしばらくしてオレは編集部屋にいるパパさんの傍に行った。
モニターが乗るテーブルの端に、例の寿司が乗っている。
――冷たいな。まだしばらく融けないな。
寿司のパックを触ったパパさんがまた作業に戻る。
ねぇ、もう食べられる?
オレはシッポを振りつつ、パパさんの傍に行く。
――あー、まだ冷たいな。もう少し放っておこう。
寿司のパックを触ったパパさんがまた作業に戻る。
まだ? そろそろお昼だよ?
――お? あぁ、そろそろいいかもな。よし、開けよう。
どう? 美味しい?
当然、オレは食えない。パパさんが食べるのを見るだけだ。
オレが見つめる中、パパさんは微妙な顔をして寿司を食べた。
どんまい、パパさん。
ネタとしては面白いんじゃない? 寿司だけにね!
三歳の柴犬だ。
――なんだこれ。
散歩の途中、パパさんが自販機の前で足を止めた。
オレたちの目の前の駐車場の一角にいきなり自販機が出現している。
この道はちょこちょこ通っているけど、こんなところに何も無かったぞ?
――寿司の自販機だって。
お寿司? 自販機で?
――冷凍されて入っているのか。自然解凍四時間で美味しく頂けますと。え? 四時間も待つの? まぁでも面白そうではある。うん、お昼用に買って帰ろう。
え? 買うの? ……物好きだねぇ、パパさん。
パパさんは自販機に千円札を入れて、出てきた寿司を持ち帰った。
ねぇ、まだ?
帰宅してしばらくしてオレは編集部屋にいるパパさんの傍に行った。
モニターが乗るテーブルの端に、例の寿司が乗っている。
――冷たいな。まだしばらく融けないな。
寿司のパックを触ったパパさんがまた作業に戻る。
ねぇ、もう食べられる?
オレはシッポを振りつつ、パパさんの傍に行く。
――あー、まだ冷たいな。もう少し放っておこう。
寿司のパックを触ったパパさんがまた作業に戻る。
まだ? そろそろお昼だよ?
――お? あぁ、そろそろいいかもな。よし、開けよう。
どう? 美味しい?
当然、オレは食えない。パパさんが食べるのを見るだけだ。
オレが見つめる中、パパさんは微妙な顔をして寿司を食べた。
どんまい、パパさん。
ネタとしては面白いんじゃない? 寿司だけにね!
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