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第294話 役割分担
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オレの名前は『みたらし』。
三歳の柴犬だ。
最近のパパさんは、朝起きるとすぐ洗濯機を動かす。
オレとの朝の散歩を終えて帰ってくると、ちょうど洗濯が終わっている寸法だ。
オレの前に水を置いたパパさんは、TVを点け、リビングで流し見しながら鴨居に洗濯物をどんどん干していく。
この時期はヒーターが点いているので、洗濯物を乾かすのにちょうどいいのだ、この鴨居は。
洗濯物を干し終わったパパさんは、IHのコンロの一つでヤカンを火に掛け、もう一つのコンロで目玉焼きとウィンナーを焼く。
状況によってウィンナーがハムやベーコンになったり、あるいはご飯がトーストになったりするが、基本、レパートリーはあんまり無い。
だってパパさんだもんな。
朝ごはんが出来上がる頃に、匂いに釣られたママさんが起きてきて、沸いたお湯を使ってコーヒーを淹れる。
コーヒー係は今でもママさんだ。これだけは変わらない。
――豆の量なんて適当よ?
というママさんだが、パパさんにはどうしてもママさんの絶妙なコーヒーの味が出せないらしい。
そうしてパパさんが作った朝ごはんを食べ終えるとママさんは仕事に行く。
パパさんはニコニコとそれを見送る。
これが家の、ほぼほぼ変わらぬ朝の風景だ。
とまぁ、たまにはこんな、オレのナレーションだけの日があってもいい。
平和だね、パパさんママさん。
そして今日も一日が始まる。
三歳の柴犬だ。
最近のパパさんは、朝起きるとすぐ洗濯機を動かす。
オレとの朝の散歩を終えて帰ってくると、ちょうど洗濯が終わっている寸法だ。
オレの前に水を置いたパパさんは、TVを点け、リビングで流し見しながら鴨居に洗濯物をどんどん干していく。
この時期はヒーターが点いているので、洗濯物を乾かすのにちょうどいいのだ、この鴨居は。
洗濯物を干し終わったパパさんは、IHのコンロの一つでヤカンを火に掛け、もう一つのコンロで目玉焼きとウィンナーを焼く。
状況によってウィンナーがハムやベーコンになったり、あるいはご飯がトーストになったりするが、基本、レパートリーはあんまり無い。
だってパパさんだもんな。
朝ごはんが出来上がる頃に、匂いに釣られたママさんが起きてきて、沸いたお湯を使ってコーヒーを淹れる。
コーヒー係は今でもママさんだ。これだけは変わらない。
――豆の量なんて適当よ?
というママさんだが、パパさんにはどうしてもママさんの絶妙なコーヒーの味が出せないらしい。
そうしてパパさんが作った朝ごはんを食べ終えるとママさんは仕事に行く。
パパさんはニコニコとそれを見送る。
これが家の、ほぼほぼ変わらぬ朝の風景だ。
とまぁ、たまにはこんな、オレのナレーションだけの日があってもいい。
平和だね、パパさんママさん。
そして今日も一日が始まる。
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