YouTuber犬『みたらし』の日常

雪月風花

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第250話 メガネ

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 オレの名前は『みたらし』。
 三歳の柴犬だ。

 パパさんがコタツ布団をめくって中を見たり、コタツの上のミカンをどけたりと、さっきから慌ただしく何かしている。 
 オレはいつものようにコタツから顔だけ出して、パパさんを見た。
 ね、何やってんのさ、メガネ、頭の上に乗っけて。

 ――あれ? あれ? おっかしいなぁ。どこ置いたかなぁ。
 なによ。探し物?

 ――無いなぁ。なぁ『みたらし』、俺のメガネ、どこかで見なかったか?
 メガネ? 頭の上に乗っかってんじゃん。

 ふわぁぁぁぁ。
 オレは大あくびをしてパパさんを眺めた。

 ――知らないか。うーーん。どこ行っちゃったかなぁ。
 だーかーらー。頭の上だってば!

 ワンワン!

 パパさんが急に吠えたオレを見て首をかしげる。

 ――別に、『みたらし』がどっかやったなんて思ってないさ。怒るなよ。
 違っ、そうじゃなくってーー! あぁもう! 頭の上だってば!

 ワンワン!
 オレは洗面所の方に向かって吠えた。

 ――え? 洗面所見に行けって? そんなとこ置いたかなぁ。
 これで気付くだろ。
 オレはまたコタツの中で目をつぶった。

 どんまい、パパさん。
 そして、洗面所でしっかり鏡を見るんだね。
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