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第230話 半袖半ズボン
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オレの名前は『みたらし』。
三歳の柴犬だ。
おー、寒い。
いやもぅ、見ているだけで寒い。
いや、実際寒いんだけどね。
オレは朝の散歩中、半袖半ズボンの小学生に会った。
――あ、ワンコだ! オジサン、撫でてもいい?
――どうぞ。しっかしキミ、こんな冬の真っ只中に半袖半ズボンで寒くないの?
――寒いよ! 寒いけど、ボク一年中この恰好なんだ。今更変えられないっていうか。何て言うのかな、世間的に許されないっていうか。そういうのない?
――心配されたり驚かれたりって? あぁ、まぁ、うん、分かる気はするね。
――ワンコは、ふわっふわで暖かいね! ありがとう、オジサン! ばいばい!
小学生は、鼻水をすすりながら、勢いよく走っていった。
転ぶなよ、少年。
小学生を見送ったパパさんがボソリと言う。
――まぁ、何だな。生きたい自分と望まれる自分との間で葛藤するってあるよな。頑張れ、少年……。
いい大人が、小学生に何言ってるんだか。
どんまい、パパさん。
パパさんには、悩みとかあるのかな。
三歳の柴犬だ。
おー、寒い。
いやもぅ、見ているだけで寒い。
いや、実際寒いんだけどね。
オレは朝の散歩中、半袖半ズボンの小学生に会った。
――あ、ワンコだ! オジサン、撫でてもいい?
――どうぞ。しっかしキミ、こんな冬の真っ只中に半袖半ズボンで寒くないの?
――寒いよ! 寒いけど、ボク一年中この恰好なんだ。今更変えられないっていうか。何て言うのかな、世間的に許されないっていうか。そういうのない?
――心配されたり驚かれたりって? あぁ、まぁ、うん、分かる気はするね。
――ワンコは、ふわっふわで暖かいね! ありがとう、オジサン! ばいばい!
小学生は、鼻水をすすりながら、勢いよく走っていった。
転ぶなよ、少年。
小学生を見送ったパパさんがボソリと言う。
――まぁ、何だな。生きたい自分と望まれる自分との間で葛藤するってあるよな。頑張れ、少年……。
いい大人が、小学生に何言ってるんだか。
どんまい、パパさん。
パパさんには、悩みとかあるのかな。
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