YouTuber犬『みたらし』の日常

雪月風花

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第191話 騒音

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 オレの名前は『みたらし』。
 三歳の柴犬だ。

 さっきから、外でメルヘンチックな曲が流れている。
 鳴り始めてから三十分は経っているだろうか。
 少しだけ聞く分にはいいが、長時間聞くとなると、さすがに閉口する。

 ――ねぇ。ちょっと。どうすんのよ。
 ――どうすんのよ、と言われても、今日で一週間目だぞ? 流石にもういいだろ。

 パパさんとママさんが微妙な会話をする。

 うるさいよ、あれ。なんとかしてよ。
 
 ママさんとオレの『何とかしてよ視線』にいたたまれなくなったのか、パパさんはため息を一つつくと、財布を持って外に出て行った。
 しばらくして、あれだけうるさかったメルヘンな曲がいきなり止むと、入れ替わりにパパさんが、パンがわんさか入った袋を手に戻ってくる。
 一週間、まったく同じ光景が続いている。

 要は、買ってくれるまで動かないってシステムなわけよ。
 先日タダで貰ったパンが布石だったのね。
 やるね、パン屋さん。
 でももう、ギブアップ。

 どんまい、パパさん。
 そして……もう来ないよね、パン屋さん。
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