YouTuber犬『みたらし』の日常

雪月風花

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第183話 カエル王

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 オレの名前は『みたらし』。
 三歳の柴犬だ。

 ――『みたらし』、なに咥えてんだ?

 パパさんが、オレが咥えたモノに気付いて散歩をストップする。
 オレが咥えていたのは、さっき道で拾った、全長二十センチ程のぬいぐるみだ。
 それは、頭に王冠をかぶった緑色のカエルだった。

 こいつはカエル王、ケロっ
 ケロケロ王国を治めるケロっ太王は、度重たびかさなるケロール帝国の侵略に対し……飽きた。どうでもいいね。
 
 パパさんは悩んだ挙げ句、カエル王を近くの公園のベンチにそっと置いた。
 途端に、近くで遊んでいた幼稚園児が走って近寄ってくる。

 ――ボクのゲコリン! ワンちゃんが拾ってくれたの?
 ――おや、キミのかい? 道に落ちてたんだ。持ち主が見つかって良かったよ。
 ――ありがとう、ワンちゃん!

 幼稚園児はオレをひとしきり撫でると、カエル王を抱え、走って戻っていった。
 いいことすると気持ちいいな。
 見るとパパさんもニコニコしていた。
 
 良かったな、お子様。
 そして、カエル王の名前が一文字も合ってなくって、なにげに悔しい。
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