183 / 365
第183話 カエル王
しおりを挟む
オレの名前は『みたらし』。
三歳の柴犬だ。
――『みたらし』、なに咥えてんだ?
パパさんが、オレが咥えたモノに気付いて散歩をストップする。
オレが咥えていたのは、さっき道で拾った、全長二十センチ程のぬいぐるみだ。
それは、頭に王冠を冠った緑色のカエルだった。
こいつはカエル王、ケロっ太!
ケロケロ王国を治めるケロっ太王は、度重なるケロール帝国の侵略に対し……飽きた。どうでもいいね。
パパさんは悩んだ挙げ句、カエル王を近くの公園のベンチにそっと置いた。
途端に、近くで遊んでいた幼稚園児が走って近寄ってくる。
――ボクのゲコリン! ワンちゃんが拾ってくれたの?
――おや、キミのかい? 道に落ちてたんだ。持ち主が見つかって良かったよ。
――ありがとう、ワンちゃん!
幼稚園児はオレをひとしきり撫でると、カエル王を抱え、走って戻っていった。
いいことすると気持ちいいな。
見るとパパさんもニコニコしていた。
良かったな、お子様。
そして、カエル王の名前が一文字も合ってなくって、なにげに悔しい。
三歳の柴犬だ。
――『みたらし』、なに咥えてんだ?
パパさんが、オレが咥えたモノに気付いて散歩をストップする。
オレが咥えていたのは、さっき道で拾った、全長二十センチ程のぬいぐるみだ。
それは、頭に王冠を冠った緑色のカエルだった。
こいつはカエル王、ケロっ太!
ケロケロ王国を治めるケロっ太王は、度重なるケロール帝国の侵略に対し……飽きた。どうでもいいね。
パパさんは悩んだ挙げ句、カエル王を近くの公園のベンチにそっと置いた。
途端に、近くで遊んでいた幼稚園児が走って近寄ってくる。
――ボクのゲコリン! ワンちゃんが拾ってくれたの?
――おや、キミのかい? 道に落ちてたんだ。持ち主が見つかって良かったよ。
――ありがとう、ワンちゃん!
幼稚園児はオレをひとしきり撫でると、カエル王を抱え、走って戻っていった。
いいことすると気持ちいいな。
見るとパパさんもニコニコしていた。
良かったな、お子様。
そして、カエル王の名前が一文字も合ってなくって、なにげに悔しい。
1
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
老犬ジョンと子猫のルナ
菊池まりな
児童書・童話
小さな町の片隅で、野良猫が子猫を生み、暖かく、安全な場所へと移動を繰り返しているうちに、一匹の子猫がはぐれてしまう。疲れきって倒れていたところを少年が助けてくれた。その家には老犬のジョンがいた。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/children_book.png?id=95b13a1c459348cd18a1)
お姫様の願い事
月詠世理
児童書・童話
赤子が生まれた時に母親は亡くなってしまった。赤子は実の父親から嫌われてしまう。そのため、赤子は血の繋がらない女に育てられた。 決められた期限は十年。十歳になった女の子は母親代わりに連れられて城に行くことになった。女の子の実の父親のもとへ——。女の子はさいごに何を願うのだろうか。
虹の橋を渡った猫が教えてくれたこと
菊池まりな
児童書・童話
あけみが生まれた頃には愛猫のちゃおがいた。遊ぶ時も寝るときもずっと一緒。そんなある日、ちゃおが虹の橋を渡ってしまう。家族は悲しむが、あけみは不思議な夢を見るようになり…。
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
どろんこたろう
ケンタシノリ
児童書・童話
子どもにめぐまれなかったお父さんとお母さんは、畑のどろをつかってどろ人形を作りました。すると、そのどろ人形がげんきな男の子としてうごき出しました。どろんこたろうと名づけたその男の子は、その小さな体で畑しごとを1人でこなしてくれるので、お父さんとお母さんも大よろこびです。
※幼児から小学校低学年向けに書いた創作昔ばなしです。
※このお話で使われている漢字は、小学2年生までに習う漢字のみを使用しています。
【完】ことうの怪物いっか ~夏休みに親子で漂流したのは怪物島!? 吸血鬼と人造人間に育てられた女の子を救出せよ! ~
丹斗大巴
児童書・童話
どきどきヒヤヒヤの夏休み!小学生とその両親が流れ着いたのは、モンスターの住む孤島!?
*☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆*
夏休み、家族で出掛けた先でクルーザーが転覆し、漂流した青山親子の3人。とある島に流れ着くと、古風で顔色の悪い外国人と、大怪我を負ったという気味の悪い執事、そしてあどけない少女が住んでいた。なんと、彼らの正体は吸血鬼と、その吸血鬼に作られた人造人間! 人間の少女を救い出し、無事に島から脱出できるのか……!?
*☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆*
家族のきずなと種を超えた友情の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる