YouTuber犬『みたらし』の日常

雪月風花

文字の大きさ
上 下
150 / 365

第150話 シャケ

しおりを挟む
 オレの名前は『みたらし』。
 二歳の柴犬だ。

 ダンボールを開けると、横に、何とか水産とか書いてある発泡スチロールの箱が入っていた。
 蓋を開けるとビニールに覆われた何かが入っている。
 パパさんが首を傾げながらビニールを取ると、シャケが出てきた。
 長さ、一メートルもある、リアルなシャケ。

 オレは隣に立つパパさんを見上げた。
 え? 買ったの?
 
 説明書きを読んでいたパパさんが、いきなり大爆笑した。
 そして、オレの前に箱から取り出したシャケを置く。

 あれ? お魚の臭いがしないぞ。
 ガブっ。
 違う! これ、ぬいぐるみだ!!
 しかも、噛みついた拍子に、お腹からゴロンと何かのカタマリが出てきた。

 ――筋子すじこ! 筋子すじこ! わっはっははははは!!
 パパさん、笑いすぎだよ。

 筋子はビニール製の袋の中に入っていた。
 ビニール越しに、いっぱい詰まったオレンジ色の玉が見える。 
 変なの。 
 オレは筋子を足で押さえた。
 
 ブニュルルルルルルルル!

 途端に、ビニールの端から、中に入っていたオレンジ色の玉が連なって飛び出した。
 慌てて足を離すと、出たとき同様、勢いよく玉が戻っていく。

 ――イクラ! イクラ! わっはっははははは!!
 パパさん、またも大爆笑だ。
 こっちは驚いたんだっての!

 これが、今回のサブスクだった。
 前も思ったんだけど、ここの編集部、何考えてこんなの作ったんだ?

 どんまい、オレ。
 そして今日もイクラが、ぶにゅるるるー。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

琥珀症の隔離病棟

灰塔アニヤ
児童書・童話
とある時代のとある国の物語。 ある日を境に国中で謎の奇病が蔓延する。 治療方法、発症する要因は不明。 この国では国境で隣国との諍いが続いており、それも相まって国民の不安と不満は増大していく。 その奇病の名は「琥珀症」。 傷口から血液の代わりに蜂蜜に似た液体が溢れ、徐々に硬化しやがて琥珀のように結晶化するという。

狼のタルとエサのペコ

るい
児童書・童話
孤独な狼のタル。顔が怖いのでみんなから避けられ、嫌われていた。仲間からはひ弱なやつだといじめられた。 そんなタルの元にやって来たのは、盲目の犬、ペコ。 ペコも目が見えないことを理由に避けられていた。 このお話はペコとタルが出会った時のお話。

『完結』セプトクルール 勇者エルニスのワンダーランド

マイマイン
児童書・童話
 これは、すぐるがやってくる前の『幻想界』の物語です。ある日突然、平和な国『スピネル王国』にやってきた謎の少年エルニスが、平和を脅かす『魔王軍』に立ち向かう王道ファンタジーです。『セプトクルール』シリーズの始まりの物語をお楽しみください。

大人で子供な師匠のことを、つい甘やかす僕がいる。

takemot
児童書・童話
 薬草を採りに入った森で、魔獣に襲われた僕。そんな僕を助けてくれたのは、一人の女性。胸のあたりまである長い白銀色の髪。ルビーのように綺麗な赤い瞳。身にまとうのは、真っ黒なローブ。彼女は、僕にいきなりこう尋ねました。 「シチュー作れる?」  …………へ?  彼女の正体は、『森の魔女』。  誰もが崇拝したくなるような魔女。とんでもない力を持っている魔女。魔獣がわんさか生息する森を牛耳っている魔女。  そんな噂を聞いて、目を輝かせていた時代が僕にもありました。  どういうわけか、僕は彼女の弟子になったのですが……。 「うう。早くして。お腹がすいて死にそうなんだよ」 「あ、さっきよりミルク多めで!」 「今日はダラダラするって決めてたから!」  はあ……。師匠、もっとしっかりしてくださいよ。  子供っぽい師匠。そんな師匠に、今日も僕は振り回されっぱなし。  でも時折、大人っぽい師匠がそこにいて……。  師匠と弟子がおりなす不思議な物語。師匠が子供っぽい理由とは。そして、大人っぽい師匠の壮絶な過去とは。  表紙のイラストは大崎あむさん(https://twitter.com/oosakiamu)からいただきました。

テムと夢見の森

Sirocos(シロコス)
児童書・童話
(11/27 コンセプトアートに、新たに二点の絵を挿入いたしました♪) とある田舎村の奥に、入ったら二度と出られないと言われている、深くて広い森があった。 けれど、これは怖い話なんかじゃない。 村に住む十才の少年テムが体験する、忘れられない夢物語。

【完結】星が満ちる時

黄永るり
児童書・童話
 星観島(ほしみじま)に暮らす15歳の少女ウェランダは、家族と共に月桃という植物を育てていた。  ある日、島の風習によって商業の国・トバルク公国の商人養成学校へ留学することになった。  そこで出会った同い年の少女ルナ、年下の少年アクートとともに大商人になることを目指していく。

大根おろしの雪

とかげのしっぽ
児童書・童話
幻想的な冬の童話。 ミヨが大根おろしをすっていると、白いニホンザルの行列が現れて…… 昔書いた短編物語です。

ハッピーエンド執行人

いちごみるく
児童書・童話
不幸な少女が紫の猫に導かれ辿り着いた場所は……。 不思議な場所で巡り合った少年少女。 彼らは物語の主人公を幸せにするハッピーエンド執行人。 改稿中です。 一話から書き直しています。 めっちゃ不定期更新です。 感想大歓迎です。 小説家になろう、MAGNET MACROLINK、ノベルアップ+でも投稿中。 ちなみに表紙は旧都なぎさんのものです。 最近までここが自己紹介の場所かと思ってました。 元【闇月ヒカルの手帳~ハッピーエンド執行人~】です。 長いので変えました。

処理中です...