YouTuber犬『みたらし』の日常

雪月風花

文字の大きさ
上 下
116 / 365

第116話 逃走犬

しおりを挟む
 オレの名前は『みたらし』。
 二歳の柴犬だ。

 お? そろそろ散歩の時間だ。
 夕方、散歩の時間になったのでオレはリードを咥えた。
 パパさんを探そうと家の中をウロウロしているとき、オレは窓が少し開いているのを見つけた。

 不用心だなぁ……。
 ワン!

 ……反応が無い。
 パパさんもママさんもいないのか?
 しょうがない、一人で行くか。

 オレは少しだけ開いていた窓の隙間を鼻先で広げ、外に出た。
 農道を歩き、公園に寄って、旧跡の側を通り、たっぷり一時間掛けて散歩を終えて帰宅したオレは、玄関前で家に向かって吠えた。

 ワン!
 帰ったよ!
 ……返事が無い。

 あれ? 留守? お出かけ中かな?
 しょうがない、ここで待つか。
オレは、パパさんママさんが帰ってくるまで、玄関前で寝ることにした。


 寝てる最中、いきなり抱き締められたオレは、慌てて起き上がった。
 あぁ、なんだ、パパさんママさんだ。
 え? なに?
 オレを探しに行っていたって?
 すれ違いになっちゃったのかな。

 そんなことより、オレは一人で散歩に行って来れたんだぞ?
 褒めて、褒めて!
 二人して泣くなってば、もう。

 どんまい、パパさんママさん。
 そして、一人散歩も、それなりに楽しいぞ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

幽霊学校からの脱出

速水静香
児童書・童話
とある怪談を聞いた中村カズキは、放課後、不気味に変貌した校舎に閉じ込められる。そのとき突如、カズキのスマホが鳴り響く。「私、メリーさん。今、あなたの学校にいるの。」未知の電話に戸惑うカズキは、夕闇に飲み込まれた異世界と化した校舎から脱出することができるのだろうか。

星座になったカモノハシ

くにん
児童書・童話
南の海に浮かぶある島では、「カモノハシ」座と言う星座が見られるそうです。その星座は国際天文学会が認めた公式な星座ではなく、その島でだけ星座として認められているものです。ところが、その島にはカモノハシは生息しておりません。どうして、その島で「カモノハシ」座が伝わっているのか、古くから島で言い伝えられている物語です。

恋研‼ ~恋する研究会!?~

安東門々
児童書・童話
中学二年の春に、思いがけず失恋をしてしまう 二戸 陽(にのへひなた)。 そのまま、中学生活は恋らしい恋ができずに卒業してしまう。 しかし、春から新しく入学した津々賀学園で部活動や研究会の部員・会員を募集するチラシを見ていると、ある紙に目がいく。 『恋研 あなたの恋を研究して応援します!』 この張り紙を見て、自らの恋愛に対するトラウマを克服するために、研究会のドアをノックするも! 中で待ち受けていたのは、一癖も二癖もある先輩たち。 しかし、同じタイミングで部屋に入ってきた男子学園生 宮古 伊織(みやこいおり)、彼もトラウマを抱えており、二人は協力しあってお互い恋愛できるように努力していく。

中学生ユーチューバーの心霊スポットMAP

じゅん
児童書・童話
【第1回「きずな児童書大賞」大賞 受賞👑】  悪霊のいる場所では、居合わせた人に「霊障」を可視化させる体質を持つ「霊感少女」のアカリ(中学1年生)。  「ユーチューバーになりたい」幼なじみと、「心霊スポットMAPを作りたい」友達に巻き込まれて、心霊現象を検証することになる。  いくつか心霊スポットを回るうちに、最近増えている心霊現象の原因は、霊を悪霊化させている「ボス」のせいだとわかり――  クスっと笑えながらも、ゾッとする連作短編。

琥珀症の隔離病棟

灰塔アニヤ
児童書・童話
とある時代のとある国の物語。 ある日を境に国中で謎の奇病が蔓延する。 治療方法、発症する要因は不明。 この国では国境で隣国との諍いが続いており、それも相まって国民の不安と不満は増大していく。 その奇病の名は「琥珀症」。 傷口から血液の代わりに蜂蜜に似た液体が溢れ、徐々に硬化しやがて琥珀のように結晶化するという。

勇者のこども

真朱マロ
児童書・童話
騎士は問いかけた。 キミは誰ですか、と。 少年は答えた。 ボクは勇者のこどもです、と。 王様は命じた。 勇者のこどもなら、卵のうちに邪竜を殺せ、と。 少年は決めた。 それならボクは、ワルモノでいい。 これは、勇者のこどもだった、少年の物語。 別サイトにも同時掲載 現在は関わりのない方の個人企画 子楽コン・賑やかし枠に参加

水色オオカミのルク

月芝
児童書・童話
雷鳴とどろく、激しい雨がやんだ。 雲のあいだから光が差し込んでくる。 天から地上へとのびた光の筋が、まるで階段のよう。 するとその光の階段を、シュタシュタと風のような速さにて、駆け降りてくる何者かの姿が! それは冬の澄んだ青空のような色をしたオオカミの子どもでした。 天の国より地の国へと降り立った、水色オオカミのルク。 これは多くの出会いと別れ、ふしぎな冒険をくりかえし、成長して、やがて伝説となる一頭のオオカミの物語。

クマのおじさん

天仕事屋(てしごとや)
絵本
みくりが池にクマのおじさんが 釣りをしています。 そこを通りかかった動物達は 側に腰をかけて話し始めます。

処理中です...