YouTuber犬『みたらし』の日常

雪月風花

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第103話 行きは良い良い、帰りは怖い

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 オレの名前は『みたらし』。
 二歳の柴犬だ。

 およ? 『もなか』だ。

 おーーい、元気かーー。
 ワン!

 向こうもオレに気付いて寄ってくる。
 うん、元気そうで何よりだ。
 飼い主同士も挨拶してる。

 『もなか』は、オレよりちょっとだけ年上で、オレよりちょっとだけ小さい。
 ま、豆柴だしな。

 オレたちは揃って、町内にある公園の小山に登った。
 階段が芝生の広場から頂上までまっすぐ伸びている。
 てっぺんから見ると、町が一望できて、とってもキレイなんだ。

 ひとしきり景色を堪能して、さぁ降りようかとなったとき、『もなか』がご両親に抱っこされた。

 そっか、登るのはできるけど、降りるのは苦手なんだな。
 それだけ小さけりゃ、しょうがないか。
 ま、豆柴だしな。
 ……オレは降りられるけどな!

 『もなか』ファンのパパさんが名残惜しそうにしているのを引っ張って、オレは山を降りた。

 ひょい、ひょい。
 登るのも降りるのも、ヘッチャラだーーい。

 軽やかだぞ、オレ。
 そして今日も、散歩が楽しい。
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