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【回避】
11.消滅
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音楽室の中を辺りを警戒し徘徊しているのはユメコである。本来生徒が足を踏み入れる事の無い音楽室の奥の部屋の扉を開いて、ユメコは教材等が置かれている本棚を調べていた。
ピアノやリコーダーの教材はもちろん、有名な音楽作家等が詳しく記されている資料もある。こどものうたと言った本も並んでいた。
「これは何?」
その中で浮いて分厚いファイルが挟まっている。彼女はそのファイルを手に取り中を開いた。
【〇✕年 男子生徒虐殺事件】
ユメコは、その書類に目をやり詳細を読んでいく。それは、この中学校で数年前に1人の男子生徒が自家製のピストルを使用し男子生徒のクラスを初め教員、生徒を無差別に銃殺した事件である。教員2名、男子生徒11名、女子生徒7名の合計20名の生徒が死亡した。だが、悲劇はそれだけでは済まず、その後に数々の不自然な事故死等が続いた事によりこの中学校は廃校となったようである。
「もしかして、今回の件と繋がりが?」
ユメコは更にファイルの中を読み進めようとすると、音楽室の扉が勢いよく開く音がした。
「…誰?」
ユメコの鼓動は早くなり恐る恐る音のあった方へと足音すら立てず進む。顔を覗かせると女の姿があった。バレないように観察していると、視線を感じたのか目と目が合う。
「ひっ!」
ユメコは、すぐに身を隠した。
「ユメコ先輩?」
聞き覚えのある声、ユメコはもう一度顔を覗かせると女の正体はサトリであった。大きく息を吐いて心を落ち着かせる。
「ユメコ先輩1人ですか?」
「えぇ、食堂から出たあとカヨとムクロを追ったけどカヨはケイトに着いていくしムクロは二階に行くと女子トイレに隠れたみたいだから、」
「……そうだったんですね。」
「それより、サトリ…これを見て」
ユメコはさっき見つけた資料をサトリへ見せる。
「こんな悲しい事件が過去にも起きてたんだ。3年前に行った中学の時の合宿で起きた貴女の同級生…【ラミアちゃん】が突然姿を消したのもこの事件と関わりがあったりしないかな…?あと、今起きてることも…。」
サトリは、ユメコから目を逸らして数秒考え込んだ。
「3年前の合宿はここじゃなかったし、ラミアちゃんは関係ないと思うけど、今起きてる事は関係あると思う。」
サトリがそう答えると、ユメコは「何か止める方法があるかも」とファイルをめくり中を調べていく。
「これ、私のカメラで写真撮っといた方がいいかな?」
と、サトリは首にぶら下げているインスタントカメラを手に持ってユメコに問いかける。
「頭に入れておくから大丈夫、ありがとね」
「い、いえいえ」
ユメコはサトリの目を盗み何かを隠し持った。それと同時に入口の扉が静かに開く音がする。
三階から四階へと上がり音楽室へやってきたソウタとカオルだ。何者かの気配を感じたソウタが「誰かいるの?」と問いかけると、サトリが奥の部屋から姿を見せ、ユメコが後に続いた。
「無事だったんだ。良かった。」
二人の姿を見てほっとするサトリ、だがソウタの表情は険しく何か軽蔑するような目で彼女を見ていた。
「どうしたんですか、、ソウタ先輩…?」
「やっと、、ここまで見れた…。」
「見れたってどういうこと?」
突然おかしな事を発言するソウタにサトリがやや同様している。ソウタは、頭痛に耐えながらもサトリを見て、いやその後ろを見ていた。
「サトリ……どうしてそんな事をしたんだ」
「そんな事って、?」
バチンッ、バチンッ、と今までも遥かに一つ一つが大きなラップ音がする。霊も今までになく怨念を感じさせた。
「ソウタ!カオル!後ろ!!」
いち早く霊に気づいたユメコが危険を知らせる。だが、ソウタはカオルの腕を掴み自身の方へ引っ張るだけで逃げようとしない。
いや、逃げる必要がもうなかった。
「え?どういうこと、」
ユメコは戸惑い一歩後ろへと下がった。
それもそのはず、黒く赤い目の吸血鬼のような男の霊がソウタとカオルの背後から現れると彼等に見向きもせず自分たちの方へと襲いかかってくるのだから。
「い、いや、来ないで」
「どういうつもりよ!あんたたち!」
サトリとユメコはただ恐怖に襲われ悲鳴に怒りをぶつける。
【お゛まえかぁ゛ぁ゛あ゛!!】
男の霊は紅色のオーラを放ち彼女達、いやサトリに襲いかかった!
「ど、どういうこと、な、なんなの!!」
サトリは、首にぶら下げたカメラを強く握りしめる。そして、そのカメラを男の霊に向けシャッターを切った。フラッシュで一瞬ソウタとカオルは視界を奪われる。それは、サトリの目の前にいた男の霊はまともに食らっていた。
【ゥオォォォォォ、ぁ゛ぁぁぁァ!!!!】
男の霊は強い光を浴びると喘ぎ声を激しくあげた。胸を握りしめ痛みに苦しめられているようだ。次第に足元から身体が消滅していっている。
【キィィサァァァァマァァッ!】
左腕をサトリの方へ向けていた。最後まで諦めず何か怨みを果たそうとしているようであった。
「…何が起きてるの?」
ユメコは戸惑うばかりだが、ソウタは全て知っている。この事件の真実を、、。
「お父さんの霊が居なくなったよ。ラミアちゃん…出ておいで。」
ソウタがサトリにずっと取り憑いている女の霊、サトリの同級生であるラミアの霊を呼びかけた。
「もう出てこれるでしょ、お父さんの霊がいなくなったから。」
強い霊と強い霊が同時に現れると霊圧と霊圧が邪魔し合いまともに霊体を保てなくなる。
【……。】
ユメコが驚きのあまりソウタに問いかけた。
「ラミアってあの、、?」
ソウタは「そうだよ」と応答える続いて告げた。
「彼女が全てを教えてくれたんだ。」と。
ピアノやリコーダーの教材はもちろん、有名な音楽作家等が詳しく記されている資料もある。こどものうたと言った本も並んでいた。
「これは何?」
その中で浮いて分厚いファイルが挟まっている。彼女はそのファイルを手に取り中を開いた。
【〇✕年 男子生徒虐殺事件】
ユメコは、その書類に目をやり詳細を読んでいく。それは、この中学校で数年前に1人の男子生徒が自家製のピストルを使用し男子生徒のクラスを初め教員、生徒を無差別に銃殺した事件である。教員2名、男子生徒11名、女子生徒7名の合計20名の生徒が死亡した。だが、悲劇はそれだけでは済まず、その後に数々の不自然な事故死等が続いた事によりこの中学校は廃校となったようである。
「もしかして、今回の件と繋がりが?」
ユメコは更にファイルの中を読み進めようとすると、音楽室の扉が勢いよく開く音がした。
「…誰?」
ユメコの鼓動は早くなり恐る恐る音のあった方へと足音すら立てず進む。顔を覗かせると女の姿があった。バレないように観察していると、視線を感じたのか目と目が合う。
「ひっ!」
ユメコは、すぐに身を隠した。
「ユメコ先輩?」
聞き覚えのある声、ユメコはもう一度顔を覗かせると女の正体はサトリであった。大きく息を吐いて心を落ち着かせる。
「ユメコ先輩1人ですか?」
「えぇ、食堂から出たあとカヨとムクロを追ったけどカヨはケイトに着いていくしムクロは二階に行くと女子トイレに隠れたみたいだから、」
「……そうだったんですね。」
「それより、サトリ…これを見て」
ユメコはさっき見つけた資料をサトリへ見せる。
「こんな悲しい事件が過去にも起きてたんだ。3年前に行った中学の時の合宿で起きた貴女の同級生…【ラミアちゃん】が突然姿を消したのもこの事件と関わりがあったりしないかな…?あと、今起きてることも…。」
サトリは、ユメコから目を逸らして数秒考え込んだ。
「3年前の合宿はここじゃなかったし、ラミアちゃんは関係ないと思うけど、今起きてる事は関係あると思う。」
サトリがそう答えると、ユメコは「何か止める方法があるかも」とファイルをめくり中を調べていく。
「これ、私のカメラで写真撮っといた方がいいかな?」
と、サトリは首にぶら下げているインスタントカメラを手に持ってユメコに問いかける。
「頭に入れておくから大丈夫、ありがとね」
「い、いえいえ」
ユメコはサトリの目を盗み何かを隠し持った。それと同時に入口の扉が静かに開く音がする。
三階から四階へと上がり音楽室へやってきたソウタとカオルだ。何者かの気配を感じたソウタが「誰かいるの?」と問いかけると、サトリが奥の部屋から姿を見せ、ユメコが後に続いた。
「無事だったんだ。良かった。」
二人の姿を見てほっとするサトリ、だがソウタの表情は険しく何か軽蔑するような目で彼女を見ていた。
「どうしたんですか、、ソウタ先輩…?」
「やっと、、ここまで見れた…。」
「見れたってどういうこと?」
突然おかしな事を発言するソウタにサトリがやや同様している。ソウタは、頭痛に耐えながらもサトリを見て、いやその後ろを見ていた。
「サトリ……どうしてそんな事をしたんだ」
「そんな事って、?」
バチンッ、バチンッ、と今までも遥かに一つ一つが大きなラップ音がする。霊も今までになく怨念を感じさせた。
「ソウタ!カオル!後ろ!!」
いち早く霊に気づいたユメコが危険を知らせる。だが、ソウタはカオルの腕を掴み自身の方へ引っ張るだけで逃げようとしない。
いや、逃げる必要がもうなかった。
「え?どういうこと、」
ユメコは戸惑い一歩後ろへと下がった。
それもそのはず、黒く赤い目の吸血鬼のような男の霊がソウタとカオルの背後から現れると彼等に見向きもせず自分たちの方へと襲いかかってくるのだから。
「い、いや、来ないで」
「どういうつもりよ!あんたたち!」
サトリとユメコはただ恐怖に襲われ悲鳴に怒りをぶつける。
【お゛まえかぁ゛ぁ゛あ゛!!】
男の霊は紅色のオーラを放ち彼女達、いやサトリに襲いかかった!
「ど、どういうこと、な、なんなの!!」
サトリは、首にぶら下げたカメラを強く握りしめる。そして、そのカメラを男の霊に向けシャッターを切った。フラッシュで一瞬ソウタとカオルは視界を奪われる。それは、サトリの目の前にいた男の霊はまともに食らっていた。
【ゥオォォォォォ、ぁ゛ぁぁぁァ!!!!】
男の霊は強い光を浴びると喘ぎ声を激しくあげた。胸を握りしめ痛みに苦しめられているようだ。次第に足元から身体が消滅していっている。
【キィィサァァァァマァァッ!】
左腕をサトリの方へ向けていた。最後まで諦めず何か怨みを果たそうとしているようであった。
「…何が起きてるの?」
ユメコは戸惑うばかりだが、ソウタは全て知っている。この事件の真実を、、。
「お父さんの霊が居なくなったよ。ラミアちゃん…出ておいで。」
ソウタがサトリにずっと取り憑いている女の霊、サトリの同級生であるラミアの霊を呼びかけた。
「もう出てこれるでしょ、お父さんの霊がいなくなったから。」
強い霊と強い霊が同時に現れると霊圧と霊圧が邪魔し合いまともに霊体を保てなくなる。
【……。】
ユメコが驚きのあまりソウタに問いかけた。
「ラミアってあの、、?」
ソウタは「そうだよ」と応答える続いて告げた。
「彼女が全てを教えてくれたんだ。」と。
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