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【始まり】
7.打破策
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必死に学舎から外に出られる場所を探すサトリ達、だがどれだけ念入りに少しでも可能性のある場所を探索してもどの窓も扉も開けられず破壊する事も不可能だった。何か念のようなもので守られているようなサトリは感じる。それは、ソウタの弟であるカオルも感じていたようだ。
「怖い。何かこの現世に悔いがある霊がここに居るんだろうね。」
カオルが窓に触れて目を瞑ってそう言った。サトリは少し気になりカオルも霊感があるのかと問いかける。カオルは優しい目をサトリに向けて答えた。
「お兄ちゃんと一緒に暮らすようになってから弱いけどね。サトリさんもやっぱりあったんだね。」
「やっぱりって?」
優しいけど何処か冷たい目のカオル。サトリはカオルの言葉を深く掘り聞いてみる。
「感じるんだよ。キミから……なにか邪険な何かが、、。」
サトリの鼓動が強く激しくなり痛みを感じる。小柄な青年からは考えられないほどの強い覇気のような物を感じた。まるで自分の存在を否定されるかのような気である。
「怒ってる…?」
「どうして?」
考えすぎか、、サトリはそう言い聞かせる。
だって、今もカオルの目は冷たいが優しい目をしているのだから。
サトリがカオルに微笑むと上靴の足音を立ててソウタがやって来た。何処か憂いているような目で二人を見ている。
「カオル…」
静かな声で弟を呼び、繊細に両手で両肩に触れてそっと抱いていた。
結局、誰一人出られるような場所を見つけられず昼が過ぎた。昼食を食べるか食べないかでケイトとタクミ、ムクロが揉めていたがユメコがもし長期間に渡り学舎から出られない場合を想定しこの場には一週間分の食料はあるとは言え貴重に扱うべきと意見した事により昼食は抜く事になった。
夕日が差し込んだ頃には、出口を探すのを一度中断し食事の準備に取り掛かる。この状況だからこそ食料を温存しているとはいえ体力を付けなければならない。少ない米の量でも人数分に取り分けられるようにお米は蒸してお粥にする。味気がないのを誤魔化すために小皿に沢庵を用意した。お粥だけでは腹持ちが悪い為になるべく肉などの腐りやすいものから消費し野菜は温存する。
「今になって思うが本当にこれは霊の仕業なのか?非現実な物に囚われていては意見だろ」
タクミが黙々とした食事中にやや大きめの声で言う。それに反応しユメコが言った。
「じゃあ何故、扉も窓も開かない。破壊しようとすれば弾かれるわけ?」
それを言われればタクミも反論できず黙り込む。信じ難いが今起きてる事は事実なのだ。
そんな中、カヨが前向きな発言をした。
「脱出が不可能なら打破する方法を考えるしかないよね!」
「そうだよな?何とかするしかねーって、」
ケイトがカヨの言葉に便乗しムクロが少し思考をずらし発言した。
「先ず、どうして監禁されてるのか?だよね」
「監禁……。」
そうだ。誰も口にはしなかったが監禁されている。なぜ監禁されて居るのかここにヒントがあるに違いない。
日が暮れた。
外は真っ暗闇である。
「目的か、、相手が霊だと真っ先に思いつくのは」
「誰か恨まれてんじゃねーの?」
「それだよな。」
神坂が顎に手を当て考えた事をケイトが答える。
恨み。
最も単純だが納得のいく答えである。
それを聞いたムクロが渋々と、
「目的が果たされればここから出られる。なら、その恨まれてる人が消えれば出られるんじゃない」
と言った。
その場が静まりかえる。
ご最もであるが、それはつまり、、
「コロセって言いたいの?」
意味を理解してサトリが言う。
ムクロは、
【その人が死ねば出れる】という事を言っていているのだ。
「そういう意味で言ったわけじゃないけど」
ムクロは、激しく目を泳がして目の前に置いてあったコップを手に取って注いであった水を一気に飲む。
「仮にだけど」
ソウタが口を開いた。
「この中に今までに殺したいと思われるほど恨みを買った覚えがある人は居ないの?」
「おいおい、お前マジであぶり出してヤルつもりなのか?」
ケイトが、目をまん丸にしてソウタの顔を見て言う。ソウタは、軽く笑顔を見せて否定する。
そして、彼はとある人物と目を合わして「ねぇ」と声をかけようとした。
その直後である。
ガタンっガラガラッと大きな落下音と揺れる音が彼らを襲い、蛍光灯の光が一瞬落ちた。「何だ?」「何!?」とパニックを起こす部員たち神坂は必死に落ち着かせようと声がけをするが声は震え次第に声は薄れていく。何かが飛び出すような音がする。しかし思っていたよりも怪奇現象らしきトラブルは早く落ち着き次第に蛍光灯が光を取り戻し始めた。
「よかった…。」
サトリはほっとはするも何か不穏な気を感じる。何かに見られているような。そして、嘲笑うかのような…そんな気を、、。
振り向いてみようか?と思うが勇気が出ない。
だが、今回ばかりは何かに見られている。気の所為なんかじゃない謎の自信があった。
振り向いて確かめたい。だが、怖い。
緊張感がまた高まっていく。
バクバクと鼓動の音が聞こえた。
蛍光灯の光は取り戻していく。
灯りが付けば後ろにいる何かは消えていくのだろうか。
なら、今確認すべきか?そう自身と葛藤していると光は取り戻した。
「ン゛!」
ソウタがサトリの方をじっと見て息を止めている。サトリも何かを感じソウタをじっと見つめていたが、女子達が突如悲鳴を上げるとソウタとサトリはほぼ同時に悲鳴の方に目をやった。
そこには、ユメコとナツキの時と同様に神坂先生の首が切断された死体があったのである。
「怖い。何かこの現世に悔いがある霊がここに居るんだろうね。」
カオルが窓に触れて目を瞑ってそう言った。サトリは少し気になりカオルも霊感があるのかと問いかける。カオルは優しい目をサトリに向けて答えた。
「お兄ちゃんと一緒に暮らすようになってから弱いけどね。サトリさんもやっぱりあったんだね。」
「やっぱりって?」
優しいけど何処か冷たい目のカオル。サトリはカオルの言葉を深く掘り聞いてみる。
「感じるんだよ。キミから……なにか邪険な何かが、、。」
サトリの鼓動が強く激しくなり痛みを感じる。小柄な青年からは考えられないほどの強い覇気のような物を感じた。まるで自分の存在を否定されるかのような気である。
「怒ってる…?」
「どうして?」
考えすぎか、、サトリはそう言い聞かせる。
だって、今もカオルの目は冷たいが優しい目をしているのだから。
サトリがカオルに微笑むと上靴の足音を立ててソウタがやって来た。何処か憂いているような目で二人を見ている。
「カオル…」
静かな声で弟を呼び、繊細に両手で両肩に触れてそっと抱いていた。
結局、誰一人出られるような場所を見つけられず昼が過ぎた。昼食を食べるか食べないかでケイトとタクミ、ムクロが揉めていたがユメコがもし長期間に渡り学舎から出られない場合を想定しこの場には一週間分の食料はあるとは言え貴重に扱うべきと意見した事により昼食は抜く事になった。
夕日が差し込んだ頃には、出口を探すのを一度中断し食事の準備に取り掛かる。この状況だからこそ食料を温存しているとはいえ体力を付けなければならない。少ない米の量でも人数分に取り分けられるようにお米は蒸してお粥にする。味気がないのを誤魔化すために小皿に沢庵を用意した。お粥だけでは腹持ちが悪い為になるべく肉などの腐りやすいものから消費し野菜は温存する。
「今になって思うが本当にこれは霊の仕業なのか?非現実な物に囚われていては意見だろ」
タクミが黙々とした食事中にやや大きめの声で言う。それに反応しユメコが言った。
「じゃあ何故、扉も窓も開かない。破壊しようとすれば弾かれるわけ?」
それを言われればタクミも反論できず黙り込む。信じ難いが今起きてる事は事実なのだ。
そんな中、カヨが前向きな発言をした。
「脱出が不可能なら打破する方法を考えるしかないよね!」
「そうだよな?何とかするしかねーって、」
ケイトがカヨの言葉に便乗しムクロが少し思考をずらし発言した。
「先ず、どうして監禁されてるのか?だよね」
「監禁……。」
そうだ。誰も口にはしなかったが監禁されている。なぜ監禁されて居るのかここにヒントがあるに違いない。
日が暮れた。
外は真っ暗闇である。
「目的か、、相手が霊だと真っ先に思いつくのは」
「誰か恨まれてんじゃねーの?」
「それだよな。」
神坂が顎に手を当て考えた事をケイトが答える。
恨み。
最も単純だが納得のいく答えである。
それを聞いたムクロが渋々と、
「目的が果たされればここから出られる。なら、その恨まれてる人が消えれば出られるんじゃない」
と言った。
その場が静まりかえる。
ご最もであるが、それはつまり、、
「コロセって言いたいの?」
意味を理解してサトリが言う。
ムクロは、
【その人が死ねば出れる】という事を言っていているのだ。
「そういう意味で言ったわけじゃないけど」
ムクロは、激しく目を泳がして目の前に置いてあったコップを手に取って注いであった水を一気に飲む。
「仮にだけど」
ソウタが口を開いた。
「この中に今までに殺したいと思われるほど恨みを買った覚えがある人は居ないの?」
「おいおい、お前マジであぶり出してヤルつもりなのか?」
ケイトが、目をまん丸にしてソウタの顔を見て言う。ソウタは、軽く笑顔を見せて否定する。
そして、彼はとある人物と目を合わして「ねぇ」と声をかけようとした。
その直後である。
ガタンっガラガラッと大きな落下音と揺れる音が彼らを襲い、蛍光灯の光が一瞬落ちた。「何だ?」「何!?」とパニックを起こす部員たち神坂は必死に落ち着かせようと声がけをするが声は震え次第に声は薄れていく。何かが飛び出すような音がする。しかし思っていたよりも怪奇現象らしきトラブルは早く落ち着き次第に蛍光灯が光を取り戻し始めた。
「よかった…。」
サトリはほっとはするも何か不穏な気を感じる。何かに見られているような。そして、嘲笑うかのような…そんな気を、、。
振り向いてみようか?と思うが勇気が出ない。
だが、今回ばかりは何かに見られている。気の所為なんかじゃない謎の自信があった。
振り向いて確かめたい。だが、怖い。
緊張感がまた高まっていく。
バクバクと鼓動の音が聞こえた。
蛍光灯の光は取り戻していく。
灯りが付けば後ろにいる何かは消えていくのだろうか。
なら、今確認すべきか?そう自身と葛藤していると光は取り戻した。
「ン゛!」
ソウタがサトリの方をじっと見て息を止めている。サトリも何かを感じソウタをじっと見つめていたが、女子達が突如悲鳴を上げるとソウタとサトリはほぼ同時に悲鳴の方に目をやった。
そこには、ユメコとナツキの時と同様に神坂先生の首が切断された死体があったのである。
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