4 / 13
【予兆】
4.聞こえる。
しおりを挟む
ここは、女子入浴室の隣の男子入浴室。
入浴を済ませた男子達が身体を拭き、ドライヤーで髪を乾かせている。
ソウタとカオルの二人は血を繋がっていないとは言え、兄弟でありその仲は男子部員の中では知られたもので二人の兄弟の世界には誰も足を踏み入ることは許されなかった。
「ほら、貸しなよ。乾かしてやる」
「別にいいよ…。」
「お前男子のくせに髪長いから時間が掛かるんだろ」
最初は、あまりの距離の近さに【ホモ】やら【オカマ】やらで特にケイトが弄っていたが全くの聞く耳を持たない二人に寧ろ弄っている方が胸を痛めつけられるような気がし何も言わなくなった。今では、部活内ではなく富痔学園内が彼等には【手を出しては行けない】と言う暗黙の了解がある。
入浴の終えた男子達は、入浴室から出ていくと偶然に女子とタイミングが重なり、何か閃いたのかムクロが指を鳴らしてある事を提案する。
「卓球でもする?」
「乗った」
真っ先に賛同したのはお決まりのケイト。女子たちも乗り気なのか否定するもはいなかった。
「俺もじゃあ」
「僕強いですよ~」
タクミにユタカも賛同した事でケイトが兄弟に拒否権を与えないようにした時である。
ソウタが突然大声を上げ、近くの壁にもたれかかった。明らかに何かを見て怯えている。
「なんだよっ今日まじお前変だって」
ケイトは何も感じていない。
カオルがソウタの目先にやると、何か冷気に当てられたかのように身体が冷える感覚がした。
ソウタは息が段々と荒くなっている。カオルは兄の身体に触れて必死に落ち着かせようとしていた。
【仲間ハズレに…しないで】
「いたァっい!」
サトリが突然頭を抱え悲鳴をあげる。
「今度は何だよ!?」
「大丈夫?サトリ?」
ケイトは、状況を全く理解出来ず苛立ちをもちはじめる。ユメコは咄嗟にサトリを心配しに向かった。
ソウタはずっとサトリを見ている。
サトリもソウタを見つめていた。
「あぁ、あぁ、あぁっ!」
「お兄ちゃん!!」
ソウタはその場から逃げ出しカオルはその後を追う。サトリは、その後ろ姿を眺めていると突然意識を失いその場に倒れ込んだ。
その後、男子部屋に男子全員が集まっていた。卓球をやる事なんて忘れている。それよりも、ケイトはソウタが気になって仕方がなかった。
「お前、本当に見えるのか?クスリ飲んでねーよな」
「当たり前だろ…。」
ソウタは、壁にクッションを置いて持たれている。まだ息の荒さは残っていた。
「見えるんだよ。霊が、ずっと居るんだよ」
「マジで、、いるんだな。」
ケイトは、今回ばかりは信じたようでソウタの話を真剣な目つきで聞く。
「僕も、、。」
そこに、カオルが話しに交わった。
「見えないけど感じるんだよ。本当に…。強い何かを」
ケイトは頷くしか出来ないが、その二人の話を聞いた事で不穏な何かを覚えるようになる。唯の錯覚かもしれないが、、。
何かに、
何かに見られている感覚が、
ケイトは、恐る恐る背後を振り向くと力強く大きな音を立てて入口の扉が開いた!
「ヴワァァァァァァ!!」
「きゃァァァァアアっ!」
………。
「え?」
「もう何ですか、。」
そこには、一年女子のナツキがユタカを誘いに来ただけであって霊でもなんでもなかったのだ。
「え?待って?今の何?」
「連れられて言ったな」
ケイトの質問に冷静に答えるタクミ。
「何しに行ったの?」
「何でもいい。気にするな」
「ヴォォォォオオあんな奴に負けたァァ!」
現実は残酷だ。
【ダレダ…。】
「うっ!?」
「え、、。」
ソウタとカオルはハッキリと聞いた。
男の声を、。
気の所為なんかじゃない。ハッキリと。
ケイトは1人で騒ぎ泣いているだけ、タクミはその様子を眺めている。
ナツキもユタカを誘い出してこの場にはいない。
霊の声、、
そう霊の声を二人は聞いた。
「何なんだよ、ここは。」
「お兄…ちゃん。」
入浴を済ませた男子達が身体を拭き、ドライヤーで髪を乾かせている。
ソウタとカオルの二人は血を繋がっていないとは言え、兄弟でありその仲は男子部員の中では知られたもので二人の兄弟の世界には誰も足を踏み入ることは許されなかった。
「ほら、貸しなよ。乾かしてやる」
「別にいいよ…。」
「お前男子のくせに髪長いから時間が掛かるんだろ」
最初は、あまりの距離の近さに【ホモ】やら【オカマ】やらで特にケイトが弄っていたが全くの聞く耳を持たない二人に寧ろ弄っている方が胸を痛めつけられるような気がし何も言わなくなった。今では、部活内ではなく富痔学園内が彼等には【手を出しては行けない】と言う暗黙の了解がある。
入浴の終えた男子達は、入浴室から出ていくと偶然に女子とタイミングが重なり、何か閃いたのかムクロが指を鳴らしてある事を提案する。
「卓球でもする?」
「乗った」
真っ先に賛同したのはお決まりのケイト。女子たちも乗り気なのか否定するもはいなかった。
「俺もじゃあ」
「僕強いですよ~」
タクミにユタカも賛同した事でケイトが兄弟に拒否権を与えないようにした時である。
ソウタが突然大声を上げ、近くの壁にもたれかかった。明らかに何かを見て怯えている。
「なんだよっ今日まじお前変だって」
ケイトは何も感じていない。
カオルがソウタの目先にやると、何か冷気に当てられたかのように身体が冷える感覚がした。
ソウタは息が段々と荒くなっている。カオルは兄の身体に触れて必死に落ち着かせようとしていた。
【仲間ハズレに…しないで】
「いたァっい!」
サトリが突然頭を抱え悲鳴をあげる。
「今度は何だよ!?」
「大丈夫?サトリ?」
ケイトは、状況を全く理解出来ず苛立ちをもちはじめる。ユメコは咄嗟にサトリを心配しに向かった。
ソウタはずっとサトリを見ている。
サトリもソウタを見つめていた。
「あぁ、あぁ、あぁっ!」
「お兄ちゃん!!」
ソウタはその場から逃げ出しカオルはその後を追う。サトリは、その後ろ姿を眺めていると突然意識を失いその場に倒れ込んだ。
その後、男子部屋に男子全員が集まっていた。卓球をやる事なんて忘れている。それよりも、ケイトはソウタが気になって仕方がなかった。
「お前、本当に見えるのか?クスリ飲んでねーよな」
「当たり前だろ…。」
ソウタは、壁にクッションを置いて持たれている。まだ息の荒さは残っていた。
「見えるんだよ。霊が、ずっと居るんだよ」
「マジで、、いるんだな。」
ケイトは、今回ばかりは信じたようでソウタの話を真剣な目つきで聞く。
「僕も、、。」
そこに、カオルが話しに交わった。
「見えないけど感じるんだよ。本当に…。強い何かを」
ケイトは頷くしか出来ないが、その二人の話を聞いた事で不穏な何かを覚えるようになる。唯の錯覚かもしれないが、、。
何かに、
何かに見られている感覚が、
ケイトは、恐る恐る背後を振り向くと力強く大きな音を立てて入口の扉が開いた!
「ヴワァァァァァァ!!」
「きゃァァァァアアっ!」
………。
「え?」
「もう何ですか、。」
そこには、一年女子のナツキがユタカを誘いに来ただけであって霊でもなんでもなかったのだ。
「え?待って?今の何?」
「連れられて言ったな」
ケイトの質問に冷静に答えるタクミ。
「何しに行ったの?」
「何でもいい。気にするな」
「ヴォォォォオオあんな奴に負けたァァ!」
現実は残酷だ。
【ダレダ…。】
「うっ!?」
「え、、。」
ソウタとカオルはハッキリと聞いた。
男の声を、。
気の所為なんかじゃない。ハッキリと。
ケイトは1人で騒ぎ泣いているだけ、タクミはその様子を眺めている。
ナツキもユタカを誘い出してこの場にはいない。
霊の声、、
そう霊の声を二人は聞いた。
「何なんだよ、ここは。」
「お兄…ちゃん。」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
百物語 厄災
嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。
小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。
182年の人生
山碕田鶴
ホラー
1913年。軍の諜報活動を支援する貿易商シキは暗殺されたはずだった。他人の肉体を乗っ取り魂を存続させる能力に目覚めたシキは、死神に追われながら永遠を生き始める。
人間としてこの世に生まれ来る死神カイと、アンドロイド・イオンを「魂の器」とすべく開発するシキ。
二人の幾度もの人生が交差する、シキ182年の記録。
(表紙絵/山碕田鶴)
※2024年11月〜 加筆修正の改稿工事中です。本日「66」まで済。
人形の輪舞曲(ロンド)
美汐
ホラー
オカルト研究同好会の誠二は、ドSだけど美人の幼なじみーーミナミとともに動く人形の噂を調査することになった。
その調査の最中、ある中学生の女の子の異常な様子に遭遇することに。そして真相を探っていくうちに、出会った美少女。彼女と人形はなにか関係があるのか。
やがて誠二にも人形の魔の手が迫り来る――。
※第1回ホラー・ミステリー小説大賞読者賞受賞作品
赤い部屋
山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。
真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。
東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。
そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。
が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。
だが、「呪い」は実在した。
「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。
凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。
そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。
「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか?
誰がこの「呪い」を生み出したのか?
そして彼らはなぜ、呪われたのか?
徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。
その先にふたりが見たものは——。
とあるアプリで出題されたテーマから紡がれるストーリー
砂坂よつば
ホラー
「書く習慣」というアプリから出題されるお題に沿って、セリフや行動、感情などが入りストーリーが進む為予測不可能な物語。第1弾はホラー×脱出ゲーム風でお届け!
主人公のシュウ(19歳)は目が覚めるとそこは自分の部屋ではなかった。シュウは見事脱出するのことができるのだろうか!?彼の運命は出題されるお題が握るストーリーの幕開けです!
人喰い遊園地
井藤 美樹
ホラー
ある行方不明の探偵事務所に、十二年前に行方不明になった子供の捜索依頼が舞い込んだ。
その行方不明事件は、探偵の間では前々から有名な案件だった。
あまりにも奇妙で、不可解な案件。
それ故、他の探偵事務所では引き受けたがらない。勿体ぶった理由で断られるのが常だ。断られ続けた依頼者が最後に頼ったのが、高坂巽が所長を務める探偵事務所だった。高坂はこの依頼を快く引き受ける。
依頼者の子供が姿を消した場所。
同じ場所で発生した二十三人の行方不明者。
彼らが姿を消した場所。そこは今、更地になっている。
嘗てそこには、遊園地があった。
遊園地の名前は〈桜ドリームパーク〉。
十年前まで、そこは夢に溢れた場所だった。
しかしある日を境に、夢に溢れたその場所は徐々に影がさしていく。
老若男女関係なく、二十三人もの人が、次々とその遊園地を最後に、忽然と姿を消したからだ。あらゆる方向性を考え懸命に捜索したが、手掛かり一つ発見されることなく、誰一人発見される事もなかった。
次々と人が消えて行く遊園地を、人々はいつしか【人喰い遊園地】と呼び恐れた。
閉園された今尚、人々はその遊園地に魅せられ足を踏み入れる。
肝試しと都市伝説を確かめに……。
そして、この案件を担当することになった新人探偵も。
新人探偵の神崎勇也が【人喰い遊園地】に関わった瞬間、闇が静かに蠢きだすーー。
誰もそれには気付かない……。
5A霊話
ポケっこ
ホラー
藤花小学校に七不思議が存在するという噂を聞いた5年生。その七不思議の探索に5年生が挑戦する。
初めは順調に探索を進めていったが、途中謎の少女と出会い……
少しギャグも含む、オリジナルのホラー小説。

晴れ子さん
神無月大輝
ホラー
ある日、公園で女の子が死んだ。死因は熱中症で死んだという、みんなはそう思っていたが本当の死んだ理由は他にもあった。それから3年後、私は中学3年せいになった、その頃から晴れ子さんの復讐物語が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる