Photo,彼女の写真

【予兆】

2.レクリエーション

学舎へ着き、男子部員と合流。
神坂先生の考えたプログラムに沿って合宿が始まった。

毎年、この合宿をきっかけに部員同士で仲を深めるようである。女子も男子も同性の間ではもう学舎に向かう間に自己紹介を終えてはいるが異性同士ではまだである為、円の形を作って地べたに座りもう一度自己紹介をする事になっていた。

｢では、次は男子だな。きちんとアピールするんだぞ。｣
神坂先生は、40代後半の男性教師である。見た目に反して謎に体育大会系教師の思考の持ち主のようだ。

｢んじゃ俺からだな｣
平均より少し背の低いややワイルドな容姿をしたのが二年の【タクミ】少し力強そうな印象がする。

その左隣に座っているのが同じく二年の
｢【ユタカ】…です。よろしくね｣
眼鏡の如何にも陰気臭い男子だ。

｢俺は三年【ケイト】で、｣ 
ケイトというツーブロックショートで如何にも運動部に居そうなイケイケの男子が隣に居る、高身長で塩顔の男子の首に手をかけて
｢コイツも三年の【ソウタ】！｣
｢なんで俺まで紹介すんだよぉ…｣
と紹介した。
ソウタは、落ち着いた美男子である。

そんなソウタの横に座っている女子の平均身長程しかない小柄な男子が居る彼の事が気になりムクロが呼びかけると、またケイトが他人を紹介しようとしたのでソウタが抑えるようにして止める。そして、｢これは俺の弟の｣とだけ言い後は本人に任せた。

｢【カオル】…です。｣
何か違和感を感じたカヨは、
｢どっちも塩顔だけど、、本当に兄弟？｣
と早速興味を示し質問する。詳細は簡単な事でカオルの母親とソウタの父親が再婚した事によって彼らは必然的に兄弟のようになったらしい。

｢なーるほどねー。もっと歳が離れてたら違和感のない兄弟なのにねー｣
｢それは…身長のことですか…。｣
カヨの言葉にちょっぴりと反応するカオル…。

中性的な顔立ちにサトリは若干母性を擽られつい
｢かわいい…。｣
と言ってしまう。
人見知りであるサトリが声を出して反応した事にナツキはやや驚いていた。

全員の自己紹介の終わりを見図って、顧問の神坂先生が｢よし！｣と区切りを入れ、早速仲を深める交流としてこの山の中の景色をそれぞれ持参したカメラで撮影しに向かう事を提案する。
だがナツキが、
｢先生、写真を撮りたい気持ちはありますが…また山に行くのは流石に体力が…。｣
と山に行くのを拒否した事で神坂は顎に手を当て眉を上げ悩む。その結果、

｢仕方あるまい、男子は先に着いて掃除をしてたとは言え体力は回復しているものとして見ておったが、女子は今着いたばかりだったな。すまない。｣
と、意外と理解がある顧問であるようで、すんなりとナツキの主張を受け入れ簡単なレクリエーションを行うこととなった。

人狼ゲームから始まり椅子取りゲーム、今だから楽しくできるような頭を使うゲームから小学校の時に楽しんだ懐かしい遊びをした。

そして、だるまさんがころんだ…。

だるまさんがころんだの鬼が決まりケイトがソウタの背を(早く行け)という意味を込め軽く押した。

山奥の学校の広いグラウンド、だるまさんがころんだにしては少し距離が遠い。だが、無邪気な子供のように楽しんでいた彼女達はあまり気にしていない様子だった。

人見知りで人前ではしゃぐのが苦手なはずのサトリもこの一時だけは笑顔で遊んでいた。


【いいな…。】


｢ぇ…？｣
サトリは一瞬凍りついたかのように体が硬直した。だるまさんがころんだをしていたからでは無い。何か聞こえた…。そんな気がしたのだ。

ぼーっとしているとユメコが気にかけて｢サトリ行くよ！｣と声をかけ前進する。

｢だーるーまーさーんーがー………転んだ！｣
一斉にピタッと止まる部員達、捕まっているのはケイトだけだ。

｢くそ、捕まってるの俺だけかよ！みんな～うめぇなーなんであんなピッタリとまれんだ？………ソウタ？？｣
ソウタがぼーっと、振り向いたまま動かない事に違和感を覚えるケイト、何度も｢ソウタ？｣と呼びかけるが反応がない。

長々と止まったまま待たされカヨとタクミがくすくすと笑いながら文句を言う。
｢ちょっ、はやくー！ずるいってー！ソータくん！｣
｢おい！ソウタ！俺らが上手いからってずるすんなよー！｣
彼女達は止まっている気なのか笑った勢いで身体がぴくぴくと動いている。

一方、ケイトはソウタの顔を見上げていた。
｢ソウタ？なぁどうしたんだよ｣
目を見開き何かを見て驚いている？かのようだ。

｢お兄ちゃん？｣
弟のカオルも違和感を感じていた。

遂にはユメコが我慢に耐えかねソウタの方に自ら向かう。それを見たサトリが声をかけようとした時だ。

【……いいな】

｢！？｣
また、あの女の声をサトリは聞いた。

｢気のせい…だよね。｣
そう言い聞かせる。


そんな中、
｢おい！ソウタってば！｣
ケイトが我慢に耐えかねソウタの頭をぶっ叩くその痛みでソウタは意識を取り戻した。
｢ｲｯ!｣
｢何ぼーっとしてんだお前｣
｢え、、、いゃ。｣
ソウタは、瞬きを数回素早くし左手の指で瞼を抑えると、｢ごめん｣とケイトに誤りゲームを再会しようとした。

その時にはもう全員がソウタの横に座り込んでおり、何か言いたそうな目で見ている。カオルを除いては、。

｢卑怯な手で勝って嬉しいか～？｣
とタクミ
｢そんな人だとは、ぼ、僕思いませんでしたよ｣
とユタカ
｢ほんっとムカつく｣
とムクロ
｢まぁ、ゲームだからムキになんなくても…ソウタさんもね？？｣
とナツキ

ソウタは、動揺を隠せず少し後退りをし


ただただ、
｢ごめん｣と謝るしかなかった。