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そして影は立ち伸びる
あの子たちが一体、この世界に何をしたっていうのよ!
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――現在――
日はすっかり沈み、夜空には美しく欠けた三日月が浮かんでいる。自分が出発した日の前の夜は満月だったのに、もうこんなに月日が流れたのか。時の流れを実感しながらも、サンは、ハクダにて日課のランニングを始めていた。
足元にある数えきれないほどの廃棄物をかわしながら、サンは、走りを進めていく。
――俺は、何のために戦っているんだろう。
サンはずっと、あの施設でカナハと話してからそればかりを考えていた。
名目状自分は、カナハの大切なものを奪い取る立場にある。だが、カナハやトゲは決してサンにとってどこか道を外した人たちではなかった。戦乱中でスラム街に住むという辛い境遇の中、少しでも強く生きようとしている、あまりにも美しい人たちだった。
しかし彼は知っている。カニバルにだってそんな人たちがいるということを。ジャカルやベアリオのように未来の平和を信じて戦う者がいるのだということを。
『お前はこの戦争の経緯を知らない! 歴史を知らない! 視野を広げれば容易くひっくり返る脆弱な正義が、信念であってなるものか!』
ふとサンは、ゲッコウの言葉を思い出す。視野を広げれば容易くひっくり返る、ゲッコウはこのことを自分に言っていたのだろうか。サンは自身の頭で考える。レプタリアにもいいやつはいて、だからこそ、視野を広げれば自分が簡単にカニバルのために武器を取れなくなる。そういう意味でゲッコウは自分にそういうことを言ったのだろうか。でもだとしたら、歴史を知らないというのは何なのか。
ぐるぐると混乱に混乱を重ねるサンの頭。適度な運動をこの身に施しているというのに、気分がちっともよくならない。
そんな周囲も気分も暗闇の最中、サンはふと、開けた広場に見知った影を見つけた。
――ん? あれはまさか?
それは、カナハだった。
咄嗟にサンは物陰に隠れる。もちろんカナハだけであるならば、サンは決して身を隠す必要などない。ただ再び会話に興じればいいだけのことだ。
しかし、今回ばかりはサンは、彼女から隠れなければならない理由があった。それは、彼女の話し相手が他ならぬアリゲイトだったからだ。
――うそ、マジかよ。本当にネクが言った通りだとは。
サンは改めて、カナハの話し相手を盗み見るが、その容姿は、ネクやシェドから見せてもらった写真と相違ない。
確かに、カナハとアリゲイトがいつごろあったのかはわかっていなかった。だから彼がここ数日の間に来ても何らおかしくはないのだが、まさか今日だとは。
サンは息を潜めて彼らの会話に耳を傾ける。もちろんサンには盗聴趣味などはない。だから本来はサンはこんなことはしたくないが、そんな気分で貴重な情報を得るチャンスをすてるのはカニバル軍に申し訳ない。サンは、呼吸の音すらも惜しみ、会話の内野に聞き耳を立てた。
カナハがアリゲイトに対し重々しく口を開く。
「ゲッコウが死んだんですってね」
「……なんだ、知っていたのか。ああ、そうさ。特に死体は見つからなかったが、あのシェドってやつと戦って敗北したんだと。とすると状況的にも死んだとみるのが確実だろう」
カナハと目を合わせることなく、つぶやくようにそう声を発するアリゲイト。そんなアリゲイトに怒りをあらわにしてカナハは静かに言う。
「ねぇ、アリゲイト。あなたいつまでこんなことを続ける気なの? もう誰もこれ以上戦争が続くことを望んでないわ! 南の峠も奪われたんでしょ。早く降伏しましょう」
「おいおい、降伏してどうなるんだよ? あいつらはカニバル先代国王の意志を継いでるんだろ。俺たちは、支配されていいように使われるようになる。そんな日々をこの土地の皆に過ごさせるくらいなら、希望にかけて戦った方がマシだ」
「何がマシなの? その戦争の中で沢山の獣人が命を落とすのよ! 私たちのように親を失う子どもが増えていくの! ねぇ、ふざけないでよ。あの子たちが一体、この世界に何をしたっていうのよ!」
ピリピリとあたりに響き渡る声。それは虚偽でもなんでもない本物の怒りを包括していた。なんだ、やっぱり、カナハはいい奴じゃないか。サンは、彼らの会話を聞きながら、それを確信する。
返す言葉もないアリゲイトは、頬をポリポリと掻いていた。そしてそのまま、カナハとは対照的に冷めたような声で彼女に語る。
「べつに何もしてないけどよ。なあ、カナハ。今日お前のところに来たのはこんな問答をするためじゃない。いい加減、都市部に来ないか? 子どもも連れてきていい。だからこのハクダを捨てて、こっちに来い。ここは南の峠に近いから危険なんだ。カニバル軍はあまり民間人には手を出さないが、変な輩がいないとも限らない」
「いや、私はどこにも行かない」
「カナハ」
カナハは、胸を張りさらに声を張り上げていく。きっとその姿が、客人に対してまとうベールを脱いだ、彼女の素の姿なのだろう。
「だって、ここは私たちの思い出の場所じゃない! アリゲイト! 私たちはここで平和を目指して戦った! みんなのために戦った! それなのにあなたは! ゲッコウは! マムスは! この地を去っていってしまった! それなのに……この地までなくなってしまったら……私たちの思い出は……消えてなくなっちゃうじゃない……」
目に涙をいっぱいに浮かべ、どうにか最後まで言葉にするカナハ。アリゲイトは拳を握りしめ、ただじっと俯いている。彼女の言葉に彼も何か思うところがあるようだった。
何も言葉を返さないアリゲイト。そんな彼に対して、カナハは、言葉を重ねる。
「……私、帰るわ。私はこの地を捨てる気はないもの。じゃあね、アリゲイト。……あなたは、死なないでね」
そして後ろを向き、去っていくカナハ。アリゲイトはそんな彼女に言葉をかけることはなく、ただその背中を黙って見送っていた。
カナハの姿が消え、見えなくなった頃、アリゲイトはふーっと一つため息を吐き、不意に言葉を発する。
「振られた男の姿を盗み見るなんて随分と趣味が悪いじゃねぇか」
その瞬間、彼が勢いよく腕を振り抜く。そして、その瞬間、白い歯のような飛来物がシュタタタタと彼の隠れていた建物に突き刺さる。
――バレた? まずい、一度逃げてシェドたちを呼んでくるか? ……いや。
サンは、覚悟を決めて物陰から出でて両方の目でアリゲイトを見据える。大きく鍛えられた体に、堅固な鱗。そして、気怠げながらもどこにも隙を感じさせない目。彼から滲み出る強者のオーラから、彼がゲッコウより強いということをサンはすぐに理解した。
「気づいてたんだな」
「ああ、だいぶ前になぁ。やっぱり若いやつだろうなと思ったんだ。あれじゃ気配は消しきれないぜ」
「なんでしぼらく放っておいたんだよ?」
「カナハにはなるべく戦いとは無縁の場所にいてほしいんだ。だからあいつが帰るまでお前に気づかないふりをした。なんの獣の風貌もしていない男、部下からは聞いたが、せっかくだし、名乗らせてやるよ。お前何者だ?」
サンは、力強く目の前の男を見つめ、手にペンダントを当てながら言葉を投げる。
「俺は、カニバル軍シェド隊の、サンだ」
日はすっかり沈み、夜空には美しく欠けた三日月が浮かんでいる。自分が出発した日の前の夜は満月だったのに、もうこんなに月日が流れたのか。時の流れを実感しながらも、サンは、ハクダにて日課のランニングを始めていた。
足元にある数えきれないほどの廃棄物をかわしながら、サンは、走りを進めていく。
――俺は、何のために戦っているんだろう。
サンはずっと、あの施設でカナハと話してからそればかりを考えていた。
名目状自分は、カナハの大切なものを奪い取る立場にある。だが、カナハやトゲは決してサンにとってどこか道を外した人たちではなかった。戦乱中でスラム街に住むという辛い境遇の中、少しでも強く生きようとしている、あまりにも美しい人たちだった。
しかし彼は知っている。カニバルにだってそんな人たちがいるということを。ジャカルやベアリオのように未来の平和を信じて戦う者がいるのだということを。
『お前はこの戦争の経緯を知らない! 歴史を知らない! 視野を広げれば容易くひっくり返る脆弱な正義が、信念であってなるものか!』
ふとサンは、ゲッコウの言葉を思い出す。視野を広げれば容易くひっくり返る、ゲッコウはこのことを自分に言っていたのだろうか。サンは自身の頭で考える。レプタリアにもいいやつはいて、だからこそ、視野を広げれば自分が簡単にカニバルのために武器を取れなくなる。そういう意味でゲッコウは自分にそういうことを言ったのだろうか。でもだとしたら、歴史を知らないというのは何なのか。
ぐるぐると混乱に混乱を重ねるサンの頭。適度な運動をこの身に施しているというのに、気分がちっともよくならない。
そんな周囲も気分も暗闇の最中、サンはふと、開けた広場に見知った影を見つけた。
――ん? あれはまさか?
それは、カナハだった。
咄嗟にサンは物陰に隠れる。もちろんカナハだけであるならば、サンは決して身を隠す必要などない。ただ再び会話に興じればいいだけのことだ。
しかし、今回ばかりはサンは、彼女から隠れなければならない理由があった。それは、彼女の話し相手が他ならぬアリゲイトだったからだ。
――うそ、マジかよ。本当にネクが言った通りだとは。
サンは改めて、カナハの話し相手を盗み見るが、その容姿は、ネクやシェドから見せてもらった写真と相違ない。
確かに、カナハとアリゲイトがいつごろあったのかはわかっていなかった。だから彼がここ数日の間に来ても何らおかしくはないのだが、まさか今日だとは。
サンは息を潜めて彼らの会話に耳を傾ける。もちろんサンには盗聴趣味などはない。だから本来はサンはこんなことはしたくないが、そんな気分で貴重な情報を得るチャンスをすてるのはカニバル軍に申し訳ない。サンは、呼吸の音すらも惜しみ、会話の内野に聞き耳を立てた。
カナハがアリゲイトに対し重々しく口を開く。
「ゲッコウが死んだんですってね」
「……なんだ、知っていたのか。ああ、そうさ。特に死体は見つからなかったが、あのシェドってやつと戦って敗北したんだと。とすると状況的にも死んだとみるのが確実だろう」
カナハと目を合わせることなく、つぶやくようにそう声を発するアリゲイト。そんなアリゲイトに怒りをあらわにしてカナハは静かに言う。
「ねぇ、アリゲイト。あなたいつまでこんなことを続ける気なの? もう誰もこれ以上戦争が続くことを望んでないわ! 南の峠も奪われたんでしょ。早く降伏しましょう」
「おいおい、降伏してどうなるんだよ? あいつらはカニバル先代国王の意志を継いでるんだろ。俺たちは、支配されていいように使われるようになる。そんな日々をこの土地の皆に過ごさせるくらいなら、希望にかけて戦った方がマシだ」
「何がマシなの? その戦争の中で沢山の獣人が命を落とすのよ! 私たちのように親を失う子どもが増えていくの! ねぇ、ふざけないでよ。あの子たちが一体、この世界に何をしたっていうのよ!」
ピリピリとあたりに響き渡る声。それは虚偽でもなんでもない本物の怒りを包括していた。なんだ、やっぱり、カナハはいい奴じゃないか。サンは、彼らの会話を聞きながら、それを確信する。
返す言葉もないアリゲイトは、頬をポリポリと掻いていた。そしてそのまま、カナハとは対照的に冷めたような声で彼女に語る。
「べつに何もしてないけどよ。なあ、カナハ。今日お前のところに来たのはこんな問答をするためじゃない。いい加減、都市部に来ないか? 子どもも連れてきていい。だからこのハクダを捨てて、こっちに来い。ここは南の峠に近いから危険なんだ。カニバル軍はあまり民間人には手を出さないが、変な輩がいないとも限らない」
「いや、私はどこにも行かない」
「カナハ」
カナハは、胸を張りさらに声を張り上げていく。きっとその姿が、客人に対してまとうベールを脱いだ、彼女の素の姿なのだろう。
「だって、ここは私たちの思い出の場所じゃない! アリゲイト! 私たちはここで平和を目指して戦った! みんなのために戦った! それなのにあなたは! ゲッコウは! マムスは! この地を去っていってしまった! それなのに……この地までなくなってしまったら……私たちの思い出は……消えてなくなっちゃうじゃない……」
目に涙をいっぱいに浮かべ、どうにか最後まで言葉にするカナハ。アリゲイトは拳を握りしめ、ただじっと俯いている。彼女の言葉に彼も何か思うところがあるようだった。
何も言葉を返さないアリゲイト。そんな彼に対して、カナハは、言葉を重ねる。
「……私、帰るわ。私はこの地を捨てる気はないもの。じゃあね、アリゲイト。……あなたは、死なないでね」
そして後ろを向き、去っていくカナハ。アリゲイトはそんな彼女に言葉をかけることはなく、ただその背中を黙って見送っていた。
カナハの姿が消え、見えなくなった頃、アリゲイトはふーっと一つため息を吐き、不意に言葉を発する。
「振られた男の姿を盗み見るなんて随分と趣味が悪いじゃねぇか」
その瞬間、彼が勢いよく腕を振り抜く。そして、その瞬間、白い歯のような飛来物がシュタタタタと彼の隠れていた建物に突き刺さる。
――バレた? まずい、一度逃げてシェドたちを呼んでくるか? ……いや。
サンは、覚悟を決めて物陰から出でて両方の目でアリゲイトを見据える。大きく鍛えられた体に、堅固な鱗。そして、気怠げながらもどこにも隙を感じさせない目。彼から滲み出る強者のオーラから、彼がゲッコウより強いということをサンはすぐに理解した。
「気づいてたんだな」
「ああ、だいぶ前になぁ。やっぱり若いやつだろうなと思ったんだ。あれじゃ気配は消しきれないぜ」
「なんでしぼらく放っておいたんだよ?」
「カナハにはなるべく戦いとは無縁の場所にいてほしいんだ。だからあいつが帰るまでお前に気づかないふりをした。なんの獣の風貌もしていない男、部下からは聞いたが、せっかくだし、名乗らせてやるよ。お前何者だ?」
サンは、力強く目の前の男を見つめ、手にペンダントを当てながら言葉を投げる。
「俺は、カニバル軍シェド隊の、サンだ」
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