57 / 69
第4章 娘は大人の階段を上り中?
インフルエンザ
しおりを挟む
明莉がA高校に合格してから一週間ほど経ったある日の夕方。
ガチャ。
「ただいま。」
玄関から聞こえてくる明莉の声は、元気がない。
そして、そのまま二階の自分の部屋に上がっていった。
どうしたんだろう?大丈夫かな?
ガチャ。
「ただいま。あれ、明莉は?」
妻が帰ってきて、真っ暗なリビングに電気をつけ、俺しかいないことに驚く。
「明莉、帰ったわよ。」
階段下から妻が呼びかけるが返事がない。
妻と俺は、階段を上がり明莉の部屋の前までいった。
コンコン。
「入るわよ。どうしたの?」
「頭が痛くて、寒気がする。」
ベッドに寝たままで明莉がこたえた。
布団からのぞく明莉の顔は真っ赤で、話をするのもしんどそうだった。
「熱は、測ったの?」
「うううん、まだ。」
そこからは、バタバタだった。
妻が体温計を持って上がって、明莉が測ってみると三十九度あった。
妻は、冷やしたタオルを持って上がったり、生姜湯やおかゆを作って運んだりとバタバタしていた。
そして、次の日の朝、リビングにおりてきた妻はフラフラしていた。
「おかしいわね。」
と言いながら熱を測ってみると、妻も三十九度の高熱だった。
結局、二人ともインフルエンザだった。
明莉の受験まで二人とも頑張ってきたので、ホッとして疲れが一気に出て体が弱っていたのかもしれない。
二人ともインフルエンザになり、キッチンと二階との往復がしんどいということで、リビングに布団を並べて二人で寝ている。
「明莉、起きてるの?」
「うん、起きてる。」
「明莉とこうやって布団を並べて寝るなんて、何年振りかしら?」
「うーん、よく覚えてないけど、七、八年ぶりくらい?」
「もう、そんなに経つのね・・・こんなにしんどい状況じゃなかったら嬉しいんだけど・・・」
「うん、しんどくて頭がまわらない・・・」
「元気になったら、どこかに旅行に行こうか。」
「うん、いいね。でも、お仕事は大丈夫なの?」
「頑張って何とかするわよ。」
「じゃあ、早く元気になってね。」
「うん。明莉もね。」
「はい。」
そして、また二人とも夢の中へと落ちていく。
二人ともしんどくて、ご飯を用意するのもしんどいらしい。
「お金とほしい物を書いたメモ入れたカゴをオトが持って、おつかいに行ってこれたらいいのに。お店の人がメモを見て、欲しい物をカゴに入れて持たせてくれないかな。」
「ははは・・・漫画や童話の世界だったらあるかもね。」
「じゃあさ、おかゆやうどんの宅配は・・・そしたら、料理しなくても食べれるよね。」
「だけど、この格好で玄関に取りに行くのも嫌だな。かと言って、きれいにする元気もないし・・・」
ごめんね、何の役にも立てなくて・・・
一人元気な俺は、二人が早く元気になるように祈ることしかできなかった。
二人とも頑張りすぎなくらい頑張ったから、神様が休みなさいと言っているんだよ。
しっかり休んで、早く元気になってね。
新しい夢や目標に向かって歩むエネルギーを充電してね。
ガチャ。
「ただいま。」
玄関から聞こえてくる明莉の声は、元気がない。
そして、そのまま二階の自分の部屋に上がっていった。
どうしたんだろう?大丈夫かな?
ガチャ。
「ただいま。あれ、明莉は?」
妻が帰ってきて、真っ暗なリビングに電気をつけ、俺しかいないことに驚く。
「明莉、帰ったわよ。」
階段下から妻が呼びかけるが返事がない。
妻と俺は、階段を上がり明莉の部屋の前までいった。
コンコン。
「入るわよ。どうしたの?」
「頭が痛くて、寒気がする。」
ベッドに寝たままで明莉がこたえた。
布団からのぞく明莉の顔は真っ赤で、話をするのもしんどそうだった。
「熱は、測ったの?」
「うううん、まだ。」
そこからは、バタバタだった。
妻が体温計を持って上がって、明莉が測ってみると三十九度あった。
妻は、冷やしたタオルを持って上がったり、生姜湯やおかゆを作って運んだりとバタバタしていた。
そして、次の日の朝、リビングにおりてきた妻はフラフラしていた。
「おかしいわね。」
と言いながら熱を測ってみると、妻も三十九度の高熱だった。
結局、二人ともインフルエンザだった。
明莉の受験まで二人とも頑張ってきたので、ホッとして疲れが一気に出て体が弱っていたのかもしれない。
二人ともインフルエンザになり、キッチンと二階との往復がしんどいということで、リビングに布団を並べて二人で寝ている。
「明莉、起きてるの?」
「うん、起きてる。」
「明莉とこうやって布団を並べて寝るなんて、何年振りかしら?」
「うーん、よく覚えてないけど、七、八年ぶりくらい?」
「もう、そんなに経つのね・・・こんなにしんどい状況じゃなかったら嬉しいんだけど・・・」
「うん、しんどくて頭がまわらない・・・」
「元気になったら、どこかに旅行に行こうか。」
「うん、いいね。でも、お仕事は大丈夫なの?」
「頑張って何とかするわよ。」
「じゃあ、早く元気になってね。」
「うん。明莉もね。」
「はい。」
そして、また二人とも夢の中へと落ちていく。
二人ともしんどくて、ご飯を用意するのもしんどいらしい。
「お金とほしい物を書いたメモ入れたカゴをオトが持って、おつかいに行ってこれたらいいのに。お店の人がメモを見て、欲しい物をカゴに入れて持たせてくれないかな。」
「ははは・・・漫画や童話の世界だったらあるかもね。」
「じゃあさ、おかゆやうどんの宅配は・・・そしたら、料理しなくても食べれるよね。」
「だけど、この格好で玄関に取りに行くのも嫌だな。かと言って、きれいにする元気もないし・・・」
ごめんね、何の役にも立てなくて・・・
一人元気な俺は、二人が早く元気になるように祈ることしかできなかった。
二人とも頑張りすぎなくらい頑張ったから、神様が休みなさいと言っているんだよ。
しっかり休んで、早く元気になってね。
新しい夢や目標に向かって歩むエネルギーを充電してね。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
かあさん、東京は怖いところです。
木村
ライト文芸
桜川朱莉(さくらがわ あかり)は高校入学のために単身上京し、今まで一度も会ったことのないおじさん、五言時絶海(ごごんじ ぜっかい)の家に居候することになる。しかしそこで彼が五言時組の組長だったことや、桜川家は警察一族(影では桜川組と呼ばれるほどの武闘派揃い)と知る。
「知らないわよ、そんなの!」
東京を舞台に佐渡島出身の女子高生があれやこれやする青春コメディー。
鳴らない電話を抱き締めて
Saeko
ライト文芸
いくら待っても鳴らない電話
送ったメールの長さに反比例するかのような短い返信
付き合っているのに、一緒に帰る事も、週末のデートも無い
私だけが好きなんだと思い知らされた彼の裏切り
もう私 彼女辞めます
彼に裏切られ、恋を封印
夢を叶える為頑張る女子
澤木 里緒菜(16)
高校入試で里緒菜に一目惚れ
もう一度里緒菜を抱きしめる
為にやり直しを誓う男子
入間 聡(16)
もう一度お前の隣に立つ
お前を守れる男になる
だから、待っていて欲しい
必ず迎えに行くから
鳴らない電話を抱きしめて寝るのは
もう終わりにしよう
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
人外さんはお友達 ~私だって仲良くなりたい!~
こひな
ライト文芸
渡利陽香 15歳 。
もしかしたら無事出産できないかもしれない。そう言われて出産に望んだ母は妖精の力を借りて、私と双子の兄 怜君を産んでくれた。そのせいか、私が見る世界は、生まれた時からキラキラと輝いていた…。
※「人外さんに選ばれたのは私でした ~それでも私は人間です~」の双子ちゃん&「小学生だって大変なのよ。」のその後のお話しです。
腐男子(攻め)主人公の息子に転生した様なので夢の推しカプをサポートしたいと思います
たむたむみったむ
BL
前世腐男子だった記憶を持つライル(5歳)前世でハマっていた漫画の(攻め)主人公の息子に転生したのをいい事に、自分の推しカプ (攻め)主人公レイナード×悪役令息リュシアンを実現させるべく奔走する毎日。リュシアンの美しさに自分を見失ない(受け)主人公リヒトの優しさに胸を痛めながらもポンコツライルの脳筋レイナード誘導作戦は成功するのだろうか?
そしてライルの知らないところでばかり起こる熱い展開を、いつか目にする事が……できればいいな。
ほのぼのまったり進行です。
他サイトにも投稿しておりますが、こちら改めて書き直した物になります。
俺は妹が見ていた世界を見ることはできない
井藤 美樹
ライト文芸
妹が残された僅かな時間の中で書き残したその本は、十年経った今も書店の棚に並んでいる。
恋愛ものでもなければ、推理ものでもない。流行りの異世界ものでもない。ヒーローもヒロインも登場しない。
変わらない日常を淡々と描いた、目立たない内容。
血の繋がらない者同士が惹かれるように、少しノスタルジックな喫茶店に集まり家族になるお話。
ありきたりな話だけど、読者からはとても愛されている。
なんでも、読み終わった後、灰色の世界が色付いた世界に見えるらしい。そう、SNSにコメントが書かれていた。
俺は何回も読む。だけど、俺の世界はずっと灰色のままだ。
俺は親友と妹の願いを少しでも叶えるために、灰色の世界を生き続ける。
妹と親友が最後に過ごしたこの地で。
一度でいい、妹が見ていた世界を見たいと願いながらーー
下っ端妃は逃げ出したい
都茉莉
キャラ文芸
新皇帝の即位、それは妃狩りの始まりーー
庶民がそれを逃れるすべなど、さっさと結婚してしまう以外なく、出遅れた少女は後宮で下っ端妃として過ごすことになる。
そんな鈍臭い妃の一人たる私は、偶然後宮から逃げ出す手がかりを発見する。その手がかりは府庫にあるらしいと知って、調べること数日。脱走用と思われる地図を発見した。
しかし、気が緩んだのか、年下の少女に見つかってしまう。そして、少女を見張るために共に過ごすことになったのだが、この少女、何か隠し事があるようで……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる