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第4章 娘は大人の階段を上り中?
受験生の夏休み
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明莉は、夏休み前の成績では合格するのが厳しいA高校を第一志望にした。
提出した進路志望調査票をもとに、先生、保護者、生徒で話し合う三者懇談が夏休みに入ってすぐにあった。
そこで、担任の先生には、
「今の成績では、正直言って厳しいです。夏休みが勝負なので、夏休み中に苦手がなくなるよう頑張ってください。夏休み明けても成績が変わらないようなら、志望校を考え直してください。」
と言われた。
そして、迎えた夏休み。
明莉は、朝から晩まで勉強していた。
同じバスケ部だった友だちには、
「部活が忙しくて今まで遊べなかったんだから、遊ぼう。」
「中学生最後の夏なんだから、一緒に海やプールに行って思い出を作ろう。」
などと誘われたり、
「付き合いが悪い。」
と言われたりしているみたいだが、我慢して断っているようだ。
妻は心配して、
「少しくらい息抜きしてもいいんじゃない?」
と声をかけたりもするが、
「一度、遊びに行ったら、次から断れなくなるから。」
と、明莉は断り続けている。
「駅前のケーキ屋さんで、新作が出ていたから買ってきたわよ。休憩しない?」
買い物から帰ってきた妻が、玄関から二階に向かって声をかける。
「あと、十分待って。」
二階の明莉の部屋から返事が返ってくる。
「了解。キリがよくなったら、降りてきてね。」
そう言って、妻はリビングに入ってきた。
「ただいま、オト。」
俺に声をかけて、買ってきた物をダイニングテーブルの上に置く。
「オトも明莉が遊んでくれないから寂しいわね。」
買ってきた物を片付けながら妻が俺に話しかけてくる。
「ニャー。(大丈夫だよ。)」
「私も明莉と出かけたいけど、言ったら怒られそうね。」
妻が俺の方を見て苦笑している。
「ニャー。(一緒に我慢しないといけないね。)」
「ありがとう、話し相手になってくれて。オトがいてくれてよかったわ。」
妻も、寂しいのかもしれない。
今までは部活が忙しくて、一緒に過ごす時間がとれなかった。
部活がなくなったら、勉強が忙しくて一緒に過ごす時間がとれなくなった。
そして高校に入ったら、また勉強に部活に忙しくなり、一緒に過ごせないだろう。
こうして子どもは、どんどん親から離れていくのだろう。
子どもの成長は嬉しいけど、寂しくもある。
「ママ、終わったよ。」
明莉がリビングに入ってきた。
「お疲れさま。見て、ブドウとイチジクのケーキが出てたわよ。美味しそうでしょう?」
「美味しそうだけど、ママ、最近、スイーツ多くない?」
「明莉が頑張ってるから、ご褒美よ。」
「ありがとう。・・・だけど、これからお金がかかるから節約するんじゃなかった?大丈夫なの?」
「大丈夫よ。遊びに行くお金がかかってないもん。出かけないから、洋服代もかかってないし・・・」
スイーツは、妻のストレス発散でもあるかもしれない。
「ブドウとイチジクか・・・。秋が近づいている感じがするね。」
ケーキを食べながら、明莉が言った。
「そうね、外に出ないんだから、スイーツで季節の変化を感じなきゃね。」
「ママはいいよね、気楽で。私は、二学期までに勉強ができるようになるか、不安でしょうがないのに・・・」
「頑張ってるから大丈夫よ。」
妻は笑顔で言い、明莉はため息をついた。
「ママのように図太い神経の持ち主になりたい。」
「まあ、失礼ね。ママは、こう見えて繊細で傷つきやすいのよ。」
こんな何気ないやり取りが、少しは息抜きになっていますように。
提出した進路志望調査票をもとに、先生、保護者、生徒で話し合う三者懇談が夏休みに入ってすぐにあった。
そこで、担任の先生には、
「今の成績では、正直言って厳しいです。夏休みが勝負なので、夏休み中に苦手がなくなるよう頑張ってください。夏休み明けても成績が変わらないようなら、志望校を考え直してください。」
と言われた。
そして、迎えた夏休み。
明莉は、朝から晩まで勉強していた。
同じバスケ部だった友だちには、
「部活が忙しくて今まで遊べなかったんだから、遊ぼう。」
「中学生最後の夏なんだから、一緒に海やプールに行って思い出を作ろう。」
などと誘われたり、
「付き合いが悪い。」
と言われたりしているみたいだが、我慢して断っているようだ。
妻は心配して、
「少しくらい息抜きしてもいいんじゃない?」
と声をかけたりもするが、
「一度、遊びに行ったら、次から断れなくなるから。」
と、明莉は断り続けている。
「駅前のケーキ屋さんで、新作が出ていたから買ってきたわよ。休憩しない?」
買い物から帰ってきた妻が、玄関から二階に向かって声をかける。
「あと、十分待って。」
二階の明莉の部屋から返事が返ってくる。
「了解。キリがよくなったら、降りてきてね。」
そう言って、妻はリビングに入ってきた。
「ただいま、オト。」
俺に声をかけて、買ってきた物をダイニングテーブルの上に置く。
「オトも明莉が遊んでくれないから寂しいわね。」
買ってきた物を片付けながら妻が俺に話しかけてくる。
「ニャー。(大丈夫だよ。)」
「私も明莉と出かけたいけど、言ったら怒られそうね。」
妻が俺の方を見て苦笑している。
「ニャー。(一緒に我慢しないといけないね。)」
「ありがとう、話し相手になってくれて。オトがいてくれてよかったわ。」
妻も、寂しいのかもしれない。
今までは部活が忙しくて、一緒に過ごす時間がとれなかった。
部活がなくなったら、勉強が忙しくて一緒に過ごす時間がとれなくなった。
そして高校に入ったら、また勉強に部活に忙しくなり、一緒に過ごせないだろう。
こうして子どもは、どんどん親から離れていくのだろう。
子どもの成長は嬉しいけど、寂しくもある。
「ママ、終わったよ。」
明莉がリビングに入ってきた。
「お疲れさま。見て、ブドウとイチジクのケーキが出てたわよ。美味しそうでしょう?」
「美味しそうだけど、ママ、最近、スイーツ多くない?」
「明莉が頑張ってるから、ご褒美よ。」
「ありがとう。・・・だけど、これからお金がかかるから節約するんじゃなかった?大丈夫なの?」
「大丈夫よ。遊びに行くお金がかかってないもん。出かけないから、洋服代もかかってないし・・・」
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「ブドウとイチジクか・・・。秋が近づいている感じがするね。」
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「そうね、外に出ないんだから、スイーツで季節の変化を感じなきゃね。」
「ママはいいよね、気楽で。私は、二学期までに勉強ができるようになるか、不安でしょうがないのに・・・」
「頑張ってるから大丈夫よ。」
妻は笑顔で言い、明莉はため息をついた。
「ママのように図太い神経の持ち主になりたい。」
「まあ、失礼ね。ママは、こう見えて繊細で傷つきやすいのよ。」
こんな何気ないやり取りが、少しは息抜きになっていますように。
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