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第4章 娘は大人の階段を上り中?
反抗期
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「期末テストの結果を見て、明莉はどう思ったの?」
明莉の期末テストの結果が返ってきた。
期末テストの結果をダイニングテーブルに置き、妻と明莉が向かい合わせに座って話している。
国語、社会、理科は、平均並みだったが、数学と英語は平均の半分程度しかなかった。
順位も、1学期の中間テストから急降下した。
「別に。」
「『別に』って、どういう意味?この結果をみて、何とも思わないの?」
明莉の返答に、妻の口調が厳しくなっていく。
「そんなこと、言ってない!」
冷めた感じだった明莉の口調や表情が険しいものに変わる。
「じゃあ、どう思ってるの?」
「取ってしまったものは、しょうがないじゃん。騒いだからって、点数や順位が上がるわけじゃないでしょう。」
「はあ⁉しょうがないじゃないでしょう。」
「じゃあ、お母さんが騒いだら点数や順位が上がるの?だったら騒いで上げてきたら?」
「明莉!これは、あなたのテストでしょう。」
「そうよ、私のテストよ。だから、お母さんには関係ないでしょ。」
「関係なくない。お母さんは明莉のことを心配して言ってるの。」
「お母さんに心配してほしいなんて、言ってない。」
話は平行線のままで、一向に噛み合わない。
「このままだと、どんどん勉強がわからなくなって、どこの高校にも入れなくなるわよ。それでも、いいの?」
「別に。」
「だから、『別に』って、どういう意味なの⁉きちんと話してくれないと、明莉の気持ちがわからないでしょう。」
「わからなくてもいい。」
そう言うと、明莉は立ち上がり部屋から出ていこうとする。
「ちょっと、待ちなさい、明莉!まだ、話は終わってないわよ。」
「・・・。」
妻も立ち上がって、明莉を引き留めようとするが、明莉は立ち止まらない。
バタン!
明莉は妻の手を振り払い、無言のまま出ていった。
妻は、閉じられたドアを見つめたまま、その場にしゃがみこんだ。
妻の頬を涙が濡らしていく。
しゃがみこんだまま、妻は静かに泣いていた。
これが、世に言う「反抗期」というものなのだろうか。
明莉が小学生の間は、明莉と妻の関係は良好で、二人で助け合って生きている感じだった。
みんなが一度は通る道というけれど、いつまで続くのだろうか。
「おはよう、明莉。朝ご飯は食べていきなさい。」
次の日の朝、朝食を食べずに家を出ようとしている明莉を妻が引き止める。
明莉は、しぶしぶダイニングチェアーに座った。
妻も明莉も一言も話さずに、黙々と朝食を食べている。
「私に何か言いたいことがあるんじゃないの?」
沈黙に耐えきれなくなった明莉が口を開いた。
「朝から喧嘩しても、しょうがないでしょう。明莉、急がないと、朝練に遅れるわよ。お先に、ごちそうさま。」
妻は微笑んでそう言うと、食べ終わった食器を持って立ち上がった。
明莉も慌てて食べ終わると、食器を運んで出ていく。
「いってきます!」
玄関で挨拶をして、明莉は学校に向かった。
妻も、明莉も、二人とも昨日のことについては何も語らなかった。
お互いに謝罪もなければ、さらなる非難もなかった。
ひとまず休戦したのか、冷戦が続いているのか、俺にはわからない。
もしかしたら、当人たちにもわからないのかもしれない。
ただ、二人が同じ食卓について朝ごはんを食べれたことにホッと胸をなでおろした。
明莉の期末テストの結果が返ってきた。
期末テストの結果をダイニングテーブルに置き、妻と明莉が向かい合わせに座って話している。
国語、社会、理科は、平均並みだったが、数学と英語は平均の半分程度しかなかった。
順位も、1学期の中間テストから急降下した。
「別に。」
「『別に』って、どういう意味?この結果をみて、何とも思わないの?」
明莉の返答に、妻の口調が厳しくなっていく。
「そんなこと、言ってない!」
冷めた感じだった明莉の口調や表情が険しいものに変わる。
「じゃあ、どう思ってるの?」
「取ってしまったものは、しょうがないじゃん。騒いだからって、点数や順位が上がるわけじゃないでしょう。」
「はあ⁉しょうがないじゃないでしょう。」
「じゃあ、お母さんが騒いだら点数や順位が上がるの?だったら騒いで上げてきたら?」
「明莉!これは、あなたのテストでしょう。」
「そうよ、私のテストよ。だから、お母さんには関係ないでしょ。」
「関係なくない。お母さんは明莉のことを心配して言ってるの。」
「お母さんに心配してほしいなんて、言ってない。」
話は平行線のままで、一向に噛み合わない。
「このままだと、どんどん勉強がわからなくなって、どこの高校にも入れなくなるわよ。それでも、いいの?」
「別に。」
「だから、『別に』って、どういう意味なの⁉きちんと話してくれないと、明莉の気持ちがわからないでしょう。」
「わからなくてもいい。」
そう言うと、明莉は立ち上がり部屋から出ていこうとする。
「ちょっと、待ちなさい、明莉!まだ、話は終わってないわよ。」
「・・・。」
妻も立ち上がって、明莉を引き留めようとするが、明莉は立ち止まらない。
バタン!
明莉は妻の手を振り払い、無言のまま出ていった。
妻は、閉じられたドアを見つめたまま、その場にしゃがみこんだ。
妻の頬を涙が濡らしていく。
しゃがみこんだまま、妻は静かに泣いていた。
これが、世に言う「反抗期」というものなのだろうか。
明莉が小学生の間は、明莉と妻の関係は良好で、二人で助け合って生きている感じだった。
みんなが一度は通る道というけれど、いつまで続くのだろうか。
「おはよう、明莉。朝ご飯は食べていきなさい。」
次の日の朝、朝食を食べずに家を出ようとしている明莉を妻が引き止める。
明莉は、しぶしぶダイニングチェアーに座った。
妻も明莉も一言も話さずに、黙々と朝食を食べている。
「私に何か言いたいことがあるんじゃないの?」
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「朝から喧嘩しても、しょうがないでしょう。明莉、急がないと、朝練に遅れるわよ。お先に、ごちそうさま。」
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「いってきます!」
玄関で挨拶をして、明莉は学校に向かった。
妻も、明莉も、二人とも昨日のことについては何も語らなかった。
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ひとまず休戦したのか、冷戦が続いているのか、俺にはわからない。
もしかしたら、当人たちにもわからないのかもしれない。
ただ、二人が同じ食卓について朝ごはんを食べれたことにホッと胸をなでおろした。
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