俺は猫であり父である

佐倉さつき

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第2章 俺は天才?

八の段

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毎日、明莉の九九の練習が気になって、寝たふりや遊ぶふりをしながら、ついつい聞き耳をたててしまう。
五の段、二の段、三の段、四の段ときて、次は六の段。

六七ろくしち四十二。」
「ミャウ(やったー!)」
まずい・・・つい反応してしまった。
ごまかすために、ボールの方に駆けていく。
俺はボールで遊ぶ、ただの気まぐれ子猫。

明莉の九九の練習は、六の段が終わって、七の段に入る。
七六しちろく・・・えーと」
「うー(がんばれ!)」
「もう!、オト、うるさい!」
えっ!?俺、声出してた? 
「明莉、集中しなさい!オトにあたって、どうするの。」
妻は、呆れ顔だ。
「もう一回、最初からやる。」
よし、今度は邪魔をしないように、気をつけよう!

八一はちいちが八、八二はちに十六、八三はちさん二十四」
おっ、今日から八の段も増えたか。
八の段は、七の段よりも言いやすいらしく、順調だ。

そして今日も一通り終わった後、妻が明莉の苦手な九九の問題を出す。
七三しちさん?」
七三しちさん二十四。」
「うー(明莉、八三はちさん二十四と一緒になってないか?」

「ねえ、ママ。オトって、明莉が間違ったら、『うー』って怒ってない?」
「そういえば、今、うなっていたわね。」
違う!違う!気のせい、気のせい!

「うー」
俺は、ボールに対して威嚇するように、うなってみせる。
「あら、ボールを敵だと思っているのかしら?」
そうです、そうです。
俺は、ボール遊びに夢中な子猫です。
たまたまタイミングがあっていただけです。 
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