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うら
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「アローネをけしかけたのは君でしょう?」
「俺は何もしてないさ。まあ、ちょっと皆に都合が良くなることは言ったかもな」
アルフォリダは息を吐くように嘘をつく。
それを嘘だと自覚なく言葉にする。
ただ、相手が傷付く嘘はアルフォリダは嫌いだった。
傷付かない嘘なら積極的につくぐらいには。
そろそろラナティンを返してほしいと考えたアルフォリダはアローネが酒浸りになるなか、双子達とこっそりとこんな話をしていた。
「そろそろアローネを焦らすのも限界だぞ。冗談は冗談で済むうちにやめとけよ」
「冗談じゃないし。僕達は本当にラナティンの友達になったんだ」
「友達と眷属は両立できるだろ」
「それに、もうアローネも僕達のこと飽きてきたんだよー。だって昨日も今日も誘われてないしー」
「毎日毎日フラれ続けて平気な奴がいるかよ。お前らの愛しい神様はああ見えて打たれ弱いんだよ」
「新米に言われなくても分かってるよ」
「じゃあ、次に誘われたら応えてやれよ。眷属続ける気があるならな」
そう言われた双子達はなにやら内緒の話を始めた。
アルフォリダが話したのは、実際にアローネから聞いた話ではない。
あくまでも憶測で裏のとれていない話。
それでも双子達は信じた。
信じたかったから。
真実だと願う心が仮説から生まれた嘘を真実にする。
双子達に根回しをしてからアルフォリダは眠れないアローネの晩酌に付き合った。
そしてアローネと双子達の仲を修復した。
「結果としてアローネ達は帰ってくれたので、君の才能は評価するよ」
「お褒めに預かり光栄だな。先輩はただ見てるだけなんて良いご身分だ」
「先達者への敬意が足りないようだね」
「感謝ならしてるぜ。ラナティンを神にしてくれたお陰で俺も今こうしていられる」
いつまでたっても仲良くなれないマリファとアルフォリダ。
それでも一緒にいるのはラナティンのため。
双子達がいなくなればラナティンは元の生活に戻る。
こうしてラナティンは村の古い家に帰って来た。
「私はラナティンの手伝いをしてくる」
マリファはラナティンのいる畑へと向かった。
これから言葉巧みに慰めるのだろう。
家にひとり残ったアルフォリダは寝室のベッドを一回り大きなものに作り替えた。
今、この家にある寝室は二つだけ。
村の新しい家に寝泊まりしている間にラナティンの個室は片付けられた。
アローネが使用していた客間のベッドもすでにない。
家にあるのはマリファとアルフォリダのベッドだけ。
ラナティンのベッドは用意されなかった。
最初の夜はアルフォリダのベッドで抱き締められて一緒に眠った。
翌日はマリファのベッドで眠るまで話をねだった。
また、その翌日はアルフォリダのベッドで共に眠り、その次はマリファと。
ラナティンはこうして二人の寝室を交互に間借りすることになった。
誰かと一緒に眠ることに慣れすぎたラナティン自身も新しい部屋を用意することは考えなかった。
それは、マリファとアルフォリダの添い寝に性的な意味合いがなかった為でもある。
だからラナティンはうっかり忘れてしまった。
自分の求められている立場を。
マリファとアルフォリダの強い自制心が功を奏して。
あの狂乱の日々はラナティンの心の片隅で忘れ去られてまった。
そうでなければ、このような誘いをラナティンがするはずはなかった。
「今夜は月が綺麗ですね。せっかくなので皆でお月見しながら湯に浸かりませんか? 裸のお付き合いです」
ラナティンは双子達と一緒にのんびり長湯をしながら、とりとめのない会話をするのが好きだった。
お互いの髪を洗いあうのが好きだった。
ときおり双子達はふざけることもあったが、あくまでもそれは友情のスキンシップだった。
今宵、マリファとアルフォリダの理性が試される。
「俺は何もしてないさ。まあ、ちょっと皆に都合が良くなることは言ったかもな」
アルフォリダは息を吐くように嘘をつく。
それを嘘だと自覚なく言葉にする。
ただ、相手が傷付く嘘はアルフォリダは嫌いだった。
傷付かない嘘なら積極的につくぐらいには。
そろそろラナティンを返してほしいと考えたアルフォリダはアローネが酒浸りになるなか、双子達とこっそりとこんな話をしていた。
「そろそろアローネを焦らすのも限界だぞ。冗談は冗談で済むうちにやめとけよ」
「冗談じゃないし。僕達は本当にラナティンの友達になったんだ」
「友達と眷属は両立できるだろ」
「それに、もうアローネも僕達のこと飽きてきたんだよー。だって昨日も今日も誘われてないしー」
「毎日毎日フラれ続けて平気な奴がいるかよ。お前らの愛しい神様はああ見えて打たれ弱いんだよ」
「新米に言われなくても分かってるよ」
「じゃあ、次に誘われたら応えてやれよ。眷属続ける気があるならな」
そう言われた双子達はなにやら内緒の話を始めた。
アルフォリダが話したのは、実際にアローネから聞いた話ではない。
あくまでも憶測で裏のとれていない話。
それでも双子達は信じた。
信じたかったから。
真実だと願う心が仮説から生まれた嘘を真実にする。
双子達に根回しをしてからアルフォリダは眠れないアローネの晩酌に付き合った。
そしてアローネと双子達の仲を修復した。
「結果としてアローネ達は帰ってくれたので、君の才能は評価するよ」
「お褒めに預かり光栄だな。先輩はただ見てるだけなんて良いご身分だ」
「先達者への敬意が足りないようだね」
「感謝ならしてるぜ。ラナティンを神にしてくれたお陰で俺も今こうしていられる」
いつまでたっても仲良くなれないマリファとアルフォリダ。
それでも一緒にいるのはラナティンのため。
双子達がいなくなればラナティンは元の生活に戻る。
こうしてラナティンは村の古い家に帰って来た。
「私はラナティンの手伝いをしてくる」
マリファはラナティンのいる畑へと向かった。
これから言葉巧みに慰めるのだろう。
家にひとり残ったアルフォリダは寝室のベッドを一回り大きなものに作り替えた。
今、この家にある寝室は二つだけ。
村の新しい家に寝泊まりしている間にラナティンの個室は片付けられた。
アローネが使用していた客間のベッドもすでにない。
家にあるのはマリファとアルフォリダのベッドだけ。
ラナティンのベッドは用意されなかった。
最初の夜はアルフォリダのベッドで抱き締められて一緒に眠った。
翌日はマリファのベッドで眠るまで話をねだった。
また、その翌日はアルフォリダのベッドで共に眠り、その次はマリファと。
ラナティンはこうして二人の寝室を交互に間借りすることになった。
誰かと一緒に眠ることに慣れすぎたラナティン自身も新しい部屋を用意することは考えなかった。
それは、マリファとアルフォリダの添い寝に性的な意味合いがなかった為でもある。
だからラナティンはうっかり忘れてしまった。
自分の求められている立場を。
マリファとアルフォリダの強い自制心が功を奏して。
あの狂乱の日々はラナティンの心の片隅で忘れ去られてまった。
そうでなければ、このような誘いをラナティンがするはずはなかった。
「今夜は月が綺麗ですね。せっかくなので皆でお月見しながら湯に浸かりませんか? 裸のお付き合いです」
ラナティンは双子達と一緒にのんびり長湯をしながら、とりとめのない会話をするのが好きだった。
お互いの髪を洗いあうのが好きだった。
ときおり双子達はふざけることもあったが、あくまでもそれは友情のスキンシップだった。
今宵、マリファとアルフォリダの理性が試される。
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