時計台で会いましょう

いちむら

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5·終わるとき

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ギルドから出ていった者。ログインしなくなった者。
半壊したギルドを維持する意味もないのに。
家賃を稼ぐために独りでダンジョンに潜る。

ぼんやりとしていたのが悪かったんだろう。
ダンジョンの袋小路で待ち構えていたPKに襲われて全財産を奪われた。

また1から金を集める気にもなれず。
ギルドは解散した。

新しくギルドを作る気にはなれなかった。
適当に野良タンクとして遊べばいいと思ってた。
これまでだって、ネットの募集で一期一会のパーティーに入ることはあった。
しばらくはそんな遊び方で良いだろう。

それなのに、俺の名前を見た瞬間。

『すみません。無理です』

一旦は組んだパーティーを解散された。
それも何度も。
理由が分からない。

「無理じゃねえよ。レベルとスキルを確認してくれ」
『人としてのレベルが低すぎるんだよ。僕は楽しくゲームがしたいんだ。君のような暴言を吐く人とは遊べない』

どうやら俺は掲示板に晒されているらしい。
口汚いクズだと。

ご丁寧にも動画付きで告発されていた。

『ブス! うせろ! その面二度と見せんじゃねえぞ!』

瀕死のパーティーがイカに殴られる最期の瞬間。
ゲームのエフェクト音に被さる俺の声。
似たような内容の動画が何本も、要注意ユーザーとしてネットにアップされていた。

そのほとんどは姉貴に向けて言ったこと。
仲間に対して言ったことは少しだけ。
それを切り貼りしてチームパーティーに言ったように脚色されていた。

もうなにも話したくない。
どこにも居場所がない。
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