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拡張フロント
ひらめきオーダー5
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早起きして念入りに自分を磨く。
だって今日は圭介さんに会えるから。
とびきりにカワイイ僕でいたい。
圭介さんが屋敷に到着するのが8時半。
時間はたっぷりあるから慌てる必要はない。
寝起きの身体を起こす朝風呂。
湯上がり肌をもちもちツヤツヤに磨くママ仕込のテクニック。
仕上げに身につけるのはパステルピンクのワンピースとロップイヤーのヘッドドレス。
今日の僕は圭介さんが大好きなウサギさんだよ。
鏡の前で最終確認。
よしっ。完璧。
「そろそろ圭さんが到着します」
二上さんが部屋まで呼びに来てくれた。
車のGPSを確認して最寄りの交差点まで来たら知らせてと頼んでいたんだ。
「はーい。今行きます」
玄関でラウンドトゥのコロンとした爪先が可愛いパンプスを履く。
引き戸を開ければ朝の日差しが眩しい。
今日はいい天気。絶好のお出かけ日和。
砂利道を車が走る音がどんどん大きくなる。
あと、5秒。ほら、白いヴェルファイアが見えてきた。
お行儀の悪い圭介さんが窓を開けて身を乗り出した。
全開にした窓枠に腰掛けるように大きく身体を外に出してる。
それだけ僕に会いたかったんだね。
でも、危ないから次からはやっちゃ駄目だよ。
「唯ー」
ニッコニコの笑顔でブンブンと手を振られると叱りづらい。
これは可愛い。
保護者のみんなが圭介さんを甘やかしてしまった理由はこの愛嬌が原因か?
でも僕は圭介さんが悪いことをしたら注意する約束をしているんだ。
胸が痛むけど、ここは心を鬼にして。
「圭介さん、メッですよ!」
なぜ怒られているのか分からないという顔をした圭介さんの乗る車が止まる。
分からないなら分かるまで説明します。
まずは車から降りてください。
「走行中の車両ではシートベルトを締めて座席に座ってください」
目を見て端的に話したよ。
子供でも分かるようにシンプルな説明にした。
なのに、圭介さんには伝わらない。
「私有地はハコ乗りしても道交法違反にならないよー?」
僕がしているのは法律の話じゃない!!
「危ないからやっちゃ駄目なんです。警察も法律も関係ないです」
「危なくないよ?」
何基準だよ。危ないよ。
僕の注意も馬耳東風。
けろりとした圭介さんに頭が痛くなる。
「僕も同じことしますよ」
「それは駄目」
僕はやっちゃ駄目。でも自分はやって良い。
ダブスタじゃん。
「圭介さんの体幹が強いことも運動神経が良いことも知ってます。でも、何かがあって圭介さんが怪我をしたら嫌だから。危ないことはしないでください」
「俺怪我しないしー」
「圭介さんが僕を心配するように。僕も圭介さんが心配なんです」
あっ。これは良くない伝え方だ。
変態の圭介さんはずっと自分のことを考えてもらえて嬉しいってなっちゃう。
って思ったのに、圭介さんは難しい表情になった。
もう一押し?
「もう、さっきみたいに車の窓から身体を出すなんて危ないことはしないでください。それだけで僕は安心できます」
「分かった。ハコ乗りはもうしない」
圭介さんがすんなり認めるの、それはそれで不安だな。
ちゃんと分かった?
「ストレスは病気の原因にもなる。唯が安心して過ごすのが大事ー」
素直になったのは僕の健康のため。
これは今後も使えるネタになるかも。
覚えておこう。
最後に指切りをして、この話は終了。
このあとは楽しいショッピング。
鵜飼さんが内緒のデートの段取りをしてくれた。
僕は2日連続のお買い物。
イケメンの着せ替え遊びって最高に楽しい。
普段と違うカジュアルな圭介さんが見られて心が潤う。
圭介さんも僕の服やコスメを選ぶのを楽しんでいた。
夜ご飯は圭介さんが作るというので屋敷に帰ってキッチンを借りる。
手伝いながら食べる味見が好き。
食後にはゆっくりお風呂タイム。
眠たくなるまで布団の中で話すのはいつもと同じ。
違うのは肌が触れる距離にいること。
明日の朝。僕が起きる時間に圭介さんはいない。
東京に戻らなきゃいけないから。
名残惜しくて眠りたくない。
けれども圭介さんの腕に抱きしめられていると、心地よさからまぶたが重くなる。
このまま朝が来なければ。
そんなワガママも今だけは許して。
だって今日は圭介さんに会えるから。
とびきりにカワイイ僕でいたい。
圭介さんが屋敷に到着するのが8時半。
時間はたっぷりあるから慌てる必要はない。
寝起きの身体を起こす朝風呂。
湯上がり肌をもちもちツヤツヤに磨くママ仕込のテクニック。
仕上げに身につけるのはパステルピンクのワンピースとロップイヤーのヘッドドレス。
今日の僕は圭介さんが大好きなウサギさんだよ。
鏡の前で最終確認。
よしっ。完璧。
「そろそろ圭さんが到着します」
二上さんが部屋まで呼びに来てくれた。
車のGPSを確認して最寄りの交差点まで来たら知らせてと頼んでいたんだ。
「はーい。今行きます」
玄関でラウンドトゥのコロンとした爪先が可愛いパンプスを履く。
引き戸を開ければ朝の日差しが眩しい。
今日はいい天気。絶好のお出かけ日和。
砂利道を車が走る音がどんどん大きくなる。
あと、5秒。ほら、白いヴェルファイアが見えてきた。
お行儀の悪い圭介さんが窓を開けて身を乗り出した。
全開にした窓枠に腰掛けるように大きく身体を外に出してる。
それだけ僕に会いたかったんだね。
でも、危ないから次からはやっちゃ駄目だよ。
「唯ー」
ニッコニコの笑顔でブンブンと手を振られると叱りづらい。
これは可愛い。
保護者のみんなが圭介さんを甘やかしてしまった理由はこの愛嬌が原因か?
でも僕は圭介さんが悪いことをしたら注意する約束をしているんだ。
胸が痛むけど、ここは心を鬼にして。
「圭介さん、メッですよ!」
なぜ怒られているのか分からないという顔をした圭介さんの乗る車が止まる。
分からないなら分かるまで説明します。
まずは車から降りてください。
「走行中の車両ではシートベルトを締めて座席に座ってください」
目を見て端的に話したよ。
子供でも分かるようにシンプルな説明にした。
なのに、圭介さんには伝わらない。
「私有地はハコ乗りしても道交法違反にならないよー?」
僕がしているのは法律の話じゃない!!
「危ないからやっちゃ駄目なんです。警察も法律も関係ないです」
「危なくないよ?」
何基準だよ。危ないよ。
僕の注意も馬耳東風。
けろりとした圭介さんに頭が痛くなる。
「僕も同じことしますよ」
「それは駄目」
僕はやっちゃ駄目。でも自分はやって良い。
ダブスタじゃん。
「圭介さんの体幹が強いことも運動神経が良いことも知ってます。でも、何かがあって圭介さんが怪我をしたら嫌だから。危ないことはしないでください」
「俺怪我しないしー」
「圭介さんが僕を心配するように。僕も圭介さんが心配なんです」
あっ。これは良くない伝え方だ。
変態の圭介さんはずっと自分のことを考えてもらえて嬉しいってなっちゃう。
って思ったのに、圭介さんは難しい表情になった。
もう一押し?
「もう、さっきみたいに車の窓から身体を出すなんて危ないことはしないでください。それだけで僕は安心できます」
「分かった。ハコ乗りはもうしない」
圭介さんがすんなり認めるの、それはそれで不安だな。
ちゃんと分かった?
「ストレスは病気の原因にもなる。唯が安心して過ごすのが大事ー」
素直になったのは僕の健康のため。
これは今後も使えるネタになるかも。
覚えておこう。
最後に指切りをして、この話は終了。
このあとは楽しいショッピング。
鵜飼さんが内緒のデートの段取りをしてくれた。
僕は2日連続のお買い物。
イケメンの着せ替え遊びって最高に楽しい。
普段と違うカジュアルな圭介さんが見られて心が潤う。
圭介さんも僕の服やコスメを選ぶのを楽しんでいた。
夜ご飯は圭介さんが作るというので屋敷に帰ってキッチンを借りる。
手伝いながら食べる味見が好き。
食後にはゆっくりお風呂タイム。
眠たくなるまで布団の中で話すのはいつもと同じ。
違うのは肌が触れる距離にいること。
明日の朝。僕が起きる時間に圭介さんはいない。
東京に戻らなきゃいけないから。
名残惜しくて眠りたくない。
けれども圭介さんの腕に抱きしめられていると、心地よさからまぶたが重くなる。
このまま朝が来なければ。
そんなワガママも今だけは許して。
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