恋愛サティスファクション

拡張フロント

愛を込めて監査を1

ひと夏の経験で、人は成長すると言う。
僕も様々な経験を重ねて一回り大きくなれたかな。

好きなだけでは解決できない問題も。
好きな人のことだから向き合えた。

辛くて、悲しくて、やりきれない気持ちを抱えても。
最後まで逃げ出さなかった。

その結果。
自分でも覚えていない過去を知り。
圭介さんや玲司君の過去を聞き。
真実の先にある正しさを教わった。

その過程で知ったのは。
女の子達を虐待して売春をさせたり、違法なサプリを製造していた福祉団体Little WOMAN。
彼らが逮捕されたのは僕達の行動の影響でもあるけど。
それよりも悪いことをしたら逮捕される。当たり前。

でも、違法行為って話だと。
圭介さん達もやってる。
ヤクザとの関係を継続したまま、福祉関連の仕事をしてる。
元ヤクザのお義父さんのもとに集う人達はあやうい存在なんだ。

だから圭介さん達のやっている福祉関連の会計について調査するのが僕の新しい仕事。
魔女見習いとして責任を持って取り組むよ。

実際の陣頭指揮を取るのは帳簿管理をしていた会計士の夏目さん。
昔、女性絡みで金銭トラブルになっていたところを鈴村さんに助けられたんだって。
その御恩があるからお義父さんに関わる良くないお金の流れを処理する危ない仕事を受け持ってる。らしい。

お義父さんや鈴村さんの周りにいる人って。
そういう忠誠心みたいなものが強い人が集まってるように僕は思う。

元組員の吉野さんや染井さんだけじゃなくて。
なぜかずっと屋敷にいる二上さんも。

籠城戦が終わって、いろんな業者さんやお手伝いの人が屋敷を出入りするようになった。
普通の園芸屋さんだと思った庭師さんも。
話を聞いてみたら、若い頃に車上荒らしで逮捕歴のある人だった。

「兄ちゃんは俺みたいな前科者になんてなったらいかんよ。一遍でもムショに入っちまうとやれる仕事がなくなるんだ。そうなると働いて自立したくてもできない。食うためには裏バイトって呼ばれるような仕事に手ぇ出すしかなかった」

そうやって前科を重ねてしまった庭師さんに更生の手を差し伸べたのはお義父さん。

「保さんだけは“真っ当な仕事”に繋いでくれた。だから、どんなに辛くても投げ出さないと誓ってんだ」

人生をやり直したいと頑張る人を応援する仕事。
それがお義父さんのやりたいこと。

「口先だけの綺麗事じゃなくて。最後まで見捨てないでいてくれたのは保さんなんだよ。だから俺達は保さんに一生頭が上がらないし。保さんの顔に泥塗るようなことはしない」

僕も皆さんの頑張り、応援させてください。