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不動ベイシン
ぼくのやりたいこと1
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HDDにドリルで穴を開けるのは壁やん達があとでやってくれることになった。
過激な作業だけど怪我をしないでね。
ちゃんと安全のためのゴーグルとかつけてよ。
これで今日のパーティーは終わりかな。
宴もたけなわ。締めの挨拶はお義父さんの仕事?
「サクちゃん、もう聞いとくことはないのか?」
お義父さんが最後に念を押すように聞いてきた。
いきなり聞かれても。
戸惑う僕に壁やんがノートを差し出した。
「さっくん。確認する?」
いつの間に持ってきたの?
やりたいことや知りたいことを書き溜めた僕のうさぎ柄ノート。
最初からページをめくる。
初めの方は屋敷に来てすぐの頃に書いた敷地内の地図。
少しずつ増えていく僕に任された仕事。
みんなで生活するなかで気をつけるべき注意点。
日々の暮らしが安定していくと、僕の意識が圭介さんに向かう。
圭介さんに聞きたい個人的な質問はいくつかあるけど。
今ここで聞く内容じゃないし。
とくにないかなって思ったんだけど、最後のページに書かれていた一文が目に止まった。
“圭介さんの会計監査”
Little WOMANや園前寺さん達は全員、最初にお金絡みの問題で警察に身柄を押さえられている。
その後で覚醒剤所持や公職選挙法などの別の罪がさらに増えて、今でも拘置所の中。
警察が圭介さんになにかしようとしたとき。
最初に狙われるのがお金の問題だとしたら。
夏目さんが管理している裏帳簿があると話していた。
僕は心配が残ったままでいるのが嫌だ。
ここには圭介さんと会計担当の夏目さんもいる。
金配り爺さんと呼ばれるお義父さんもいる。
疑惑は全て明らかにしておくべきだろう。
『僕は圭介さんの会計に問題がないかチェックをしたいです』
「監査とは何をする気だ?」
松川さんはいちいち僕の言うことにキツく反応するのをやめてほしい。
そういう口調が癖なのかもしれないけど高圧的に感じるよ。
『裏帳簿もあるって話だから。圭介さんの身の回りのお金の流れを確認したいなって思ったんですけど』
「圭君の身の回りとはどこまでを想定しているんだ? 末端まで考えると全国の団体にまで繋がる。現実的じゃない」
僕の提案を現実が分かっていない子供の絵空事だと馬鹿にされる。
『圭介さんは日本中に繋がってるの?』
「俺が理事を務める財団法人から、全国津々浦々、頑張る団体の皆様に助成金を配ってるからー」
僕の疑問には床に転がったままの圭介さんが答えてくれた。
そういえば口をふさぎ直すの忘れてた。
まあいっか。
圭介さんは法人の理事をしていたんだ。
それって金配り爺さんの法人?
お義父さんはお金を右から左に流すのがお仕事なんだよね?
『何がきっかけで家宅捜索されるか分かんないし。調べられるなら調べたほうが良いんでしょうか?』
僕は会計監査をしたことがないんだけど。
夏目さんはどう思います?
「はいっ? 自分?」
『はい。僕は夏目さんに聞いてます』
パーティーの始まりから、ずっと部屋の隅っこでご飯を食べていた夏目さん。
軽く挨拶した時に自分がなんで呼ばれたのか分からないと言っていた。
自分のことを裏方業務の人間なのだと思っているみたいだけど。
裏側を全て知っているからこそ、見えてくるものもあるよね?
「そういった実際に活動をしている法人については前々から気にはなっていたけど。いかんせん時間も人手もなくてね」
調査をしたくても現実問題としてできないという。
つまりは、圭介さんが逮捕される危険があるんだね。
それは放っておけない。
『良い機会だから一緒に調べませんか?』
「いやいや。簡単に言ったらいけないよ。本気で調べたら1年はかかる」
『夏目さんを1年雇えば監査は終わるんですか?』
「自分だけではなくて、会計士や税理士がたくさん必要だよ」
夏目さんとたくさんの会計士さんとたくさんの税理士さんを用意したらできるんですね。
それなら大丈夫。
僕に良い案があるよ。
過激な作業だけど怪我をしないでね。
ちゃんと安全のためのゴーグルとかつけてよ。
これで今日のパーティーは終わりかな。
宴もたけなわ。締めの挨拶はお義父さんの仕事?
「サクちゃん、もう聞いとくことはないのか?」
お義父さんが最後に念を押すように聞いてきた。
いきなり聞かれても。
戸惑う僕に壁やんがノートを差し出した。
「さっくん。確認する?」
いつの間に持ってきたの?
やりたいことや知りたいことを書き溜めた僕のうさぎ柄ノート。
最初からページをめくる。
初めの方は屋敷に来てすぐの頃に書いた敷地内の地図。
少しずつ増えていく僕に任された仕事。
みんなで生活するなかで気をつけるべき注意点。
日々の暮らしが安定していくと、僕の意識が圭介さんに向かう。
圭介さんに聞きたい個人的な質問はいくつかあるけど。
今ここで聞く内容じゃないし。
とくにないかなって思ったんだけど、最後のページに書かれていた一文が目に止まった。
“圭介さんの会計監査”
Little WOMANや園前寺さん達は全員、最初にお金絡みの問題で警察に身柄を押さえられている。
その後で覚醒剤所持や公職選挙法などの別の罪がさらに増えて、今でも拘置所の中。
警察が圭介さんになにかしようとしたとき。
最初に狙われるのがお金の問題だとしたら。
夏目さんが管理している裏帳簿があると話していた。
僕は心配が残ったままでいるのが嫌だ。
ここには圭介さんと会計担当の夏目さんもいる。
金配り爺さんと呼ばれるお義父さんもいる。
疑惑は全て明らかにしておくべきだろう。
『僕は圭介さんの会計に問題がないかチェックをしたいです』
「監査とは何をする気だ?」
松川さんはいちいち僕の言うことにキツく反応するのをやめてほしい。
そういう口調が癖なのかもしれないけど高圧的に感じるよ。
『裏帳簿もあるって話だから。圭介さんの身の回りのお金の流れを確認したいなって思ったんですけど』
「圭君の身の回りとはどこまでを想定しているんだ? 末端まで考えると全国の団体にまで繋がる。現実的じゃない」
僕の提案を現実が分かっていない子供の絵空事だと馬鹿にされる。
『圭介さんは日本中に繋がってるの?』
「俺が理事を務める財団法人から、全国津々浦々、頑張る団体の皆様に助成金を配ってるからー」
僕の疑問には床に転がったままの圭介さんが答えてくれた。
そういえば口をふさぎ直すの忘れてた。
まあいっか。
圭介さんは法人の理事をしていたんだ。
それって金配り爺さんの法人?
お義父さんはお金を右から左に流すのがお仕事なんだよね?
『何がきっかけで家宅捜索されるか分かんないし。調べられるなら調べたほうが良いんでしょうか?』
僕は会計監査をしたことがないんだけど。
夏目さんはどう思います?
「はいっ? 自分?」
『はい。僕は夏目さんに聞いてます』
パーティーの始まりから、ずっと部屋の隅っこでご飯を食べていた夏目さん。
軽く挨拶した時に自分がなんで呼ばれたのか分からないと言っていた。
自分のことを裏方業務の人間なのだと思っているみたいだけど。
裏側を全て知っているからこそ、見えてくるものもあるよね?
「そういった実際に活動をしている法人については前々から気にはなっていたけど。いかんせん時間も人手もなくてね」
調査をしたくても現実問題としてできないという。
つまりは、圭介さんが逮捕される危険があるんだね。
それは放っておけない。
『良い機会だから一緒に調べませんか?』
「いやいや。簡単に言ったらいけないよ。本気で調べたら1年はかかる」
『夏目さんを1年雇えば監査は終わるんですか?』
「自分だけではなくて、会計士や税理士がたくさん必要だよ」
夏目さんとたくさんの会計士さんとたくさんの税理士さんを用意したらできるんですね。
それなら大丈夫。
僕に良い案があるよ。
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