恋愛サティスファクション

くらげ

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不動ベイシン

そうかつリザルト3

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部屋の真ん中。大きなソファの主役の席に戻ったタイミングで。
壁やんがファイルの中身を印刷したものを持ってきてくれたので受け取る。
まずは僕が見るね。
中身の確認ができてから他の人にも見てもらおう。

思った通り。部屋の見取り図に書き込まれていたのはカメラとマイクの位置だった。
僕達が一緒に住んでいたマンションだけじゃなくて。
同棲前の僕のマンションの部屋にもカメラが仕掛けられていた。

『僕がひとりで住んでたマンションにまで。いつの間に』

他にも予想はしていたけどクラブのVIPルームにも複数のカメラが隠されていた。
残りの資料も圭介さんが連れて行ってくれたお店の見取り図なんだろうな。
図面だけではどこの店か分からないけど。

『見たい人は見てもいいよ。ただのマップです』

パーティーに参加してくれた人達が、壁やんから資料を受け取っていく。
みんなが黙って読み込む中、ママが叫んだ。

「やだっ！おトイレにまでカメラ付いてる」

えっ！？そうなの？

「ほら、ここ。これって唯ちゃん達が一緒に生活していたお家でしょ。まじでキモいわー」

ママが僕の隣に座って、持っている図面を指差して教えてくれた。
本当だ。トイレにまでカメラがついてる。
お風呂は確認したけど、まさかトイレまで隠し撮りされてるとは思ってなくて気付かなかったよ。

『トイレなんて覗いて何が楽しいの？』

つい聞いちゃったけど、仕方ないよね。
だって、僕は人のトイレを覗きたいなんて思ったことないんだもん。

「俺は便所なんて見ねぇよ」

玲司君の回答はこちらです。
じゃあトイレの覗きは圭介さんだけ？
圭介さんは仕方ないね。変態だからね。

これだけたくさんのカメラがあったなら。
やっぱり仲良くしていたところも撮られているんだろうな。
それこそ、園前寺さんが撮っていたような隠し撮りSEX動画みたいな。

『もしかして、僕の隠し撮り動画をネットに投稿していないよね？前に隠し撮りは需要があるって圭介さんが言ってたけど』

ついつい疑いの目を向けてしまうのも許してほしい。
だって、この隠しカメラの量は尋常ではないよ。

「ネットにアップもしてねえって」

うん。玲司君はそんなことしないって分かってるけど、確認しておきたかっただけ。

『トイレも覗いてないし、投稿もしてない。だけど、隠し撮りした映像を玲司君は見てるんだよね？』

返事がないのはYESって意味かな？
隠しカメラの存在を知っていて、実際に撮られた映像を見ていないっていうのは考えにくいから。
たぶん、玲司君も隠し撮りの映像は見てる。

でも、どうやって？
圭介さんのことだから見やすい専用のアプリとか作ってそう。
玲司君は仕事以外でパソコンに触れてるところを見ないから。
普段から持ち歩いてるiPhoneが怪しい。

『iPhone借りるね』

テーブルの上に置きっぱなしだった玲司君のiPhoneに手を伸ばす。
ロック画面になってるけど、ちょっと顔貸してよ。
はい。Face ID認証クリア。

どのアプリで僕の隠し撮り動画を管理してたのかな？
使用頻度が多いアプリならホーム画面の1枚目にいるはず。

メッセージやカメラ、電子決済アプリに天気予報。
普段使いするメジャーなアプリの中に黒色のアイコンがひとつ。
この黒いマークを僕は見たことある。
前に玲司君が押し付けてきたゲイ向けのR18動画投稿サイトもこんなアイコンだった気がする。

アプリの中身を確認するためにタップした。
また顔認証を求められる。この厳重さは怪しい。

『玲司君、もう一度顔見せて』

iPhoneのインカメラで玲司君の顔を写す。
それなのに認証が解除されない。
なんでだろう。床に寝転がってるせい？
でも、こういういかがわしい動画ってベッドの中で横になって使ったりしない？

何度か試すけど、やっぱりエラーになっちゃう。
圭介さんの顔でも認証はされなかった。

「もしかして、音声も合わせてロックがかかっているんじゃない？」

壁やんがひとつの可能性を思いついた。
アプリのロック解除に音声データも必要。
試してみる価値はあるね。

『玲司君、パスワード言ってよ』

ここで無言を貫くのは、音声認証されるって言ってるのと同じだよ。
ほら、早く言っちゃいなって。

「体に聞くか？」

元ヤクザの染井さんが握った拳をベキバキと鳴らして威嚇をする。
暴力に訴えてパスワードを吐かせるのは最後の手段にしようよ。
まだお願いの段階だから。

『僕がパスワードを当てられたら、観念して解除してくれる？』

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